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99話
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からくり屋敷をあとにした公のスマホに着信があった。
「誰だ?」
スマホを取り出すと、画面には庵の表示。
「う~ん」
しかし、少しイヤな予感もあったので電話に出るか悩んだ公だが、出なかったら出なかったでしつこそうだと思い、電話に出た。
「もしもし。どうした、庵」
「公。今暇か?暇だよな?暇だと言ってくれ!」
この会話だけで公は電話に出たことを後悔した。
「おい!公!聞いてるか!?」
「聞いてるぞ」
内心ため息を吐きながら公は答えた。
「それで暇だよな?」
「暇じゃねーよ」
平然と嘘をつく公。
「暇なくせしてなにウソついてやがる!」
「ウソじゃねーよ」
「ウソだ!」
しつこい庵に公はため息を吐いた。
「電話ごしで見えもしないのになんでウソだってわかるんだよ」
こう言えば庵も諦めるだろうと思っていた公。しかし、返ってきた言葉は、
「作者が今お前は1人で暇してるって言ってたんだよ!」
「チッ!」
私から聞いたという言葉に公は盛大に舌打ちをした。
「舌打ちをして、やっぱり暇なんじゃねーか!」
さらに舌打ちをしたくなった公だが、それをどうにかおさえて代わりにため息を吐いた。
「さっき舌打ちしたのは、作者の言うことをあっさり信じたお前に対して舌打ちしたんだよ」
「なにっ!」
「だって今までさんざんヒドいことを色々してきた作者だぞ。今回だってお前をおとしめるためにウソを言っている可能性だって十分あるだろ」
「それもそうだな」
庵が納得しかけたのでこのまま押しきろうと公は考えた。
「だけど、今回は作者の言うことが正しかったみたいだな」
背後から聞こえてきた庵の声に、公は小さく舌打ちをすると振り返った。
振り返った先にいたのは公を睨み付ける庵と苦笑しながら手を振っている蛙の2人。
公は額に手を当てながら電話を切っていると2人は公のもとにやって来た。
「ウソつき」
ウソつきと言われた公は庵を見た。
「どうしてここにいるんだ?」
「作者が連れてきてくれたんだよ」
また作者、私のしたことに頭を掻きながら公は舌打ちをした。
「で、なんだよ?」
色々と諦めた公は用件を問いかけた。
「その前に、作者」
はいはい。
私は3人を庵と蛙の地元へと転移させた。
「ここは?」
見たことのない場所に公は庵を見た。
「俺達の地元の駅前だな」
庵の答えに「ふ~ん」と頷いた公は再度用件を問いかける。
「それで、なんなんだよ。まぁ、お前のことだからたいした用件じゃないんだろうけど」
「なんだと~」
怒っている庵の後ろでは蛙が苦笑していたので、公はやっぱりたいした用件じゃないと確信した。
「じゃあどんな用件なんだよ」
「遊ぼうぜ!」
庵の一言に公は大きくため息を吐いた。
「やっぱりたいした用件じゃねーじゃねーか。しかも、それだけが俺に電話してきた理由じゃねーだろ」
「なっ!」
公の指摘に庵はあからさまに動揺していた。
「ほ、他にりりり理由がああああるわけ、な、ないだろ」
あははは!わかりやすすぎるわね!
「うるせーぞ!作者!」
笑っている私に向かって怒鳴る庵。
あら。私に対して怒る前に、ちゃんと理由を説明しないといけない相手がいるんじゃない?
私の言葉で庵の視線がジトーと見つめてきている公に向いた。
「それで、理由はなんだ?」
庵が徐々に視線を反らし始めたので、公は蛙のほうを見た。
それは、私から説明しましょう。
「作者!」
◇
朝10時。
庵に呼び出された蛙は駅前にやって来た。
「お前も暇だな」
出会って1番にそんなことを言ってきた庵の頭を叩く蛙。
「テメーにだけは言われたくねーよ」
「さて、あとは朧月だけだけど」
「朧月も来るのか?」
「いや、今から電話するところだ。ちょっと前にした時は電源切れてたからな」
そう言いながらスマホを操作した庵は朧月に電話をかけた。
数度のコールののちに朧月は電話に出た。
『こんな朝早くからなんだよ』
「遊ぼうぜ」
『紘とデートだからムリ』
「ガバッ!」
デートという言葉にダメージを受けた庵は吐血しながら膝をついた。
「お前はまたデートなのか!この夏休みの間どれだけデートすれば気がすむんだ!テメーは!」
『お前と遊ぶよりかはよっぽど有意義だからな』
「ぐふっ!」
さらなる口撃にダメージを受けた庵は片手を地面についた。
『そういうわけだから切るぞ』
電話が切れると庵はもう片手も地面について涙を流した。
「なぁ、蛙。俺と遊ぶよりデートするほうが有意義なのか?」
「そんな当たり前なこと聞くなよ」
「ガハッ!」
トドメの一撃をもらった庵は地面に倒れ伏した。
そのまま数秒してゆらゆらと立ち上がった庵は「フハハ」と笑い始めた。
「もともと壊れてたのがさらに壊れたか」
「壊れてねーし!」
庵は蛙を睨み付けるが、蛙は気にした様子はない。
「こうなったら」
庵はスマホを操作し始めた。
「なにする気だ?」
「公を呼ぶだけさ」
「なんで公を呼ぶんだよ」
「あいつを暇にさせているとまた新しい女の子と出会うだろうからな。そんな出会いなんて俺が許さねーよ」
滅茶苦茶なことを言っている庵に蛙は呆れていた。
「朧月に断られたからって公に八つ当たりするなよ」
「八つ当たりじゃなくて嫌がらせだ」
「どっちにしても公にとってははた迷惑な話じゃねーか」
「知るか!」
呆れている蛙の隣ではすでに庵が公へ電話をかけていた。
◇
と、いうのが今回の理由だね。
「ホントにはた迷惑でしかねーな」
公が庵を睨み付けると庵は完璧に視線を反らして口笛を吹き出した。そんな庵の姿に、呆れた公は大きくため息を吐いた。
でも、庵が電話をしなければ、新しいヒロインが登場してただろうね。
「やっぱりそうじゃねーか!」
私の言葉で勢いを取り戻した庵だが、公の強烈な拳を頭にくらい、頭を押さえながらうずくまった。
「少しはすっきりしたな」
うずくまっている庵を見て公は「ふぅ」と息を吐いた。
「お前なぁ~。手加減しろよ~」
「あぁ」
文句を言ってきた庵を睨み付ける公。
「八つ当たりしてきたテメーが悪いんじゃねーか」
「だから、嫌がらせだって」
笑顔の庵の頭にさらに拳を振り下ろす公。
「ぐおぉぉぉ」
頭を押さえながら転がる庵を蛙が踏みつけて止めた。
「ぐぇ!」
「庵の相手は俺がしとくから、公は帰ってもいいぞ」
悶絶している庵を放置して蛙が言ったが、少し考えた公は苦笑しながらも、
「どうせ暇だったし、付き合うよ」
「そうか」
「お~い!蛙!」
公の答えに蛙が苦笑していると、手を振りながら近づいてきた人がいた。
「よう、両」
蛙も手を振り返した。
3人のもとまでやって来た両は地面に倒れ伏し、蛙に踏みつけられている庵は気にした様子もなく、公を見ていた。
「蛙。この人は?」
「こいつは高校で出来た友達の公だ。公。こいつは友達の両」
「蛙とそこのバカの友達の両だ。よろしく」
両は笑顔で手を差し出した。
「誰だ?」
スマホを取り出すと、画面には庵の表示。
「う~ん」
しかし、少しイヤな予感もあったので電話に出るか悩んだ公だが、出なかったら出なかったでしつこそうだと思い、電話に出た。
「もしもし。どうした、庵」
「公。今暇か?暇だよな?暇だと言ってくれ!」
この会話だけで公は電話に出たことを後悔した。
「おい!公!聞いてるか!?」
「聞いてるぞ」
内心ため息を吐きながら公は答えた。
「それで暇だよな?」
「暇じゃねーよ」
平然と嘘をつく公。
「暇なくせしてなにウソついてやがる!」
「ウソじゃねーよ」
「ウソだ!」
しつこい庵に公はため息を吐いた。
「電話ごしで見えもしないのになんでウソだってわかるんだよ」
こう言えば庵も諦めるだろうと思っていた公。しかし、返ってきた言葉は、
「作者が今お前は1人で暇してるって言ってたんだよ!」
「チッ!」
私から聞いたという言葉に公は盛大に舌打ちをした。
「舌打ちをして、やっぱり暇なんじゃねーか!」
さらに舌打ちをしたくなった公だが、それをどうにかおさえて代わりにため息を吐いた。
「さっき舌打ちしたのは、作者の言うことをあっさり信じたお前に対して舌打ちしたんだよ」
「なにっ!」
「だって今までさんざんヒドいことを色々してきた作者だぞ。今回だってお前をおとしめるためにウソを言っている可能性だって十分あるだろ」
「それもそうだな」
庵が納得しかけたのでこのまま押しきろうと公は考えた。
「だけど、今回は作者の言うことが正しかったみたいだな」
背後から聞こえてきた庵の声に、公は小さく舌打ちをすると振り返った。
振り返った先にいたのは公を睨み付ける庵と苦笑しながら手を振っている蛙の2人。
公は額に手を当てながら電話を切っていると2人は公のもとにやって来た。
「ウソつき」
ウソつきと言われた公は庵を見た。
「どうしてここにいるんだ?」
「作者が連れてきてくれたんだよ」
また作者、私のしたことに頭を掻きながら公は舌打ちをした。
「で、なんだよ?」
色々と諦めた公は用件を問いかけた。
「その前に、作者」
はいはい。
私は3人を庵と蛙の地元へと転移させた。
「ここは?」
見たことのない場所に公は庵を見た。
「俺達の地元の駅前だな」
庵の答えに「ふ~ん」と頷いた公は再度用件を問いかける。
「それで、なんなんだよ。まぁ、お前のことだからたいした用件じゃないんだろうけど」
「なんだと~」
怒っている庵の後ろでは蛙が苦笑していたので、公はやっぱりたいした用件じゃないと確信した。
「じゃあどんな用件なんだよ」
「遊ぼうぜ!」
庵の一言に公は大きくため息を吐いた。
「やっぱりたいした用件じゃねーじゃねーか。しかも、それだけが俺に電話してきた理由じゃねーだろ」
「なっ!」
公の指摘に庵はあからさまに動揺していた。
「ほ、他にりりり理由がああああるわけ、な、ないだろ」
あははは!わかりやすすぎるわね!
「うるせーぞ!作者!」
笑っている私に向かって怒鳴る庵。
あら。私に対して怒る前に、ちゃんと理由を説明しないといけない相手がいるんじゃない?
私の言葉で庵の視線がジトーと見つめてきている公に向いた。
「それで、理由はなんだ?」
庵が徐々に視線を反らし始めたので、公は蛙のほうを見た。
それは、私から説明しましょう。
「作者!」
◇
朝10時。
庵に呼び出された蛙は駅前にやって来た。
「お前も暇だな」
出会って1番にそんなことを言ってきた庵の頭を叩く蛙。
「テメーにだけは言われたくねーよ」
「さて、あとは朧月だけだけど」
「朧月も来るのか?」
「いや、今から電話するところだ。ちょっと前にした時は電源切れてたからな」
そう言いながらスマホを操作した庵は朧月に電話をかけた。
数度のコールののちに朧月は電話に出た。
『こんな朝早くからなんだよ』
「遊ぼうぜ」
『紘とデートだからムリ』
「ガバッ!」
デートという言葉にダメージを受けた庵は吐血しながら膝をついた。
「お前はまたデートなのか!この夏休みの間どれだけデートすれば気がすむんだ!テメーは!」
『お前と遊ぶよりかはよっぽど有意義だからな』
「ぐふっ!」
さらなる口撃にダメージを受けた庵は片手を地面についた。
『そういうわけだから切るぞ』
電話が切れると庵はもう片手も地面について涙を流した。
「なぁ、蛙。俺と遊ぶよりデートするほうが有意義なのか?」
「そんな当たり前なこと聞くなよ」
「ガハッ!」
トドメの一撃をもらった庵は地面に倒れ伏した。
そのまま数秒してゆらゆらと立ち上がった庵は「フハハ」と笑い始めた。
「もともと壊れてたのがさらに壊れたか」
「壊れてねーし!」
庵は蛙を睨み付けるが、蛙は気にした様子はない。
「こうなったら」
庵はスマホを操作し始めた。
「なにする気だ?」
「公を呼ぶだけさ」
「なんで公を呼ぶんだよ」
「あいつを暇にさせているとまた新しい女の子と出会うだろうからな。そんな出会いなんて俺が許さねーよ」
滅茶苦茶なことを言っている庵に蛙は呆れていた。
「朧月に断られたからって公に八つ当たりするなよ」
「八つ当たりじゃなくて嫌がらせだ」
「どっちにしても公にとってははた迷惑な話じゃねーか」
「知るか!」
呆れている蛙の隣ではすでに庵が公へ電話をかけていた。
◇
と、いうのが今回の理由だね。
「ホントにはた迷惑でしかねーな」
公が庵を睨み付けると庵は完璧に視線を反らして口笛を吹き出した。そんな庵の姿に、呆れた公は大きくため息を吐いた。
でも、庵が電話をしなければ、新しいヒロインが登場してただろうね。
「やっぱりそうじゃねーか!」
私の言葉で勢いを取り戻した庵だが、公の強烈な拳を頭にくらい、頭を押さえながらうずくまった。
「少しはすっきりしたな」
うずくまっている庵を見て公は「ふぅ」と息を吐いた。
「お前なぁ~。手加減しろよ~」
「あぁ」
文句を言ってきた庵を睨み付ける公。
「八つ当たりしてきたテメーが悪いんじゃねーか」
「だから、嫌がらせだって」
笑顔の庵の頭にさらに拳を振り下ろす公。
「ぐおぉぉぉ」
頭を押さえながら転がる庵を蛙が踏みつけて止めた。
「ぐぇ!」
「庵の相手は俺がしとくから、公は帰ってもいいぞ」
悶絶している庵を放置して蛙が言ったが、少し考えた公は苦笑しながらも、
「どうせ暇だったし、付き合うよ」
「そうか」
「お~い!蛙!」
公の答えに蛙が苦笑していると、手を振りながら近づいてきた人がいた。
「よう、両」
蛙も手を振り返した。
3人のもとまでやって来た両は地面に倒れ伏し、蛙に踏みつけられている庵は気にした様子もなく、公を見ていた。
「蛙。この人は?」
「こいつは高校で出来た友達の公だ。公。こいつは友達の両」
「蛙とそこのバカの友達の両だ。よろしく」
両は笑顔で手を差し出した。
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