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ローブとベール

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感傷に浸っていたらダメだ。
切り替えて仕事をしなければ。この職場での仕事は最後まで手を抜かずにキッチリやり切りたい。イケメンに初めて出会い一目惚れしたこの思い出深い職場を去るときは、さる鳥跡を濁さずでいたいのだ。

イケメンに注文を頼まれた物を確認した。

ローブとベールだった。色は水色が指定してあった。注文を頼まれたときに渡された紙には付箋がついていた。「サイズはSかMか分からなかったので、成田さんのサイズで注文してください。」と書いてあった。

私達の会社は占い用品の会社だが、自社で在庫を持っているものだけではない。在庫の無い物は取り引きのある別の会社から卸値で買うのだ。今回もそうだ。

それでもやはり、イケメンは社長なだけあり、良い物を熟知している。注文を頼まれたものはデザインも品質もよい。そして、他とかぶることも少なく差別化もできる。

智絵はイケメンからの注文も分析しながら見ていた。

サイズは、Sにした。

ローブの下に着ぶくれするようなものは着ないだろう。ブカブカのローブを着ていたら借り物のようで、占い師としての信用が落ちそうだ。だからジャストサイズのSを選んだ。

水色のローブをきて冷静な分析をし、相手を幸せに導く占い師。そんな未来が少し近づいてきた気がした。
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