7 / 7
第五話 花火大会と彼女 前半
しおりを挟む
それから数週間がたち、俺の宿題も無事終わりを迎えた。そして今日はお待ちかねの花火大会祭り。俺は親が用意したピンク色が基調の百合の花柄の浴衣に身を包み楓の待つ鳥居前に向かっている。
すでに楓が待ち合わせ場所で俺を待っていた。俺は歩くスピードを少し上げて楓の元へ向かった。カランコロンとなる下駄の音が淡い夕焼けの風景と混ざり合い雅な空間が俺と楓を包み込むようだった。
「楓、待った?ごめん遅くなった」
俺を見つけるや否や楓は笑顔で俺の傍にやってきた。楓の浴衣は淡い水色に種類は分からないけどお魚の絵が描かれていた。とてもきれいで夕焼けの光をバックで浴びてまる神々しく見えた。
「私もさっき来たところだよ。冬ちゃんの浴衣すごくきれいね。ピンク色が似あう女の子、初めて見たよ」
「あ、有難う・・・。女の子、なのかな俺。まぁいいや、楓もすごく綺麗だよ。まるで女神様が降臨されたと思っちゃった」
「うふふ、私ほめ過ぎじゃない?とりあえず出店回る?」
「うん。いこっか」
俺から楓の手を握り鳥居を潜る。楓を引っ張る形になって歩くのは初めてかもしれない。今日は楓を肌で感じたい気分なのだ。これが好き、好意というやつなのだろうか。生まれて初めての体験だった。
いろんな出店を横目に楓と談笑にしながら歩く行為はとてもドキドキする。たまに楓の目が合うと恥ずかしくなって頬が熱くなるのが分かる。だんだん暗くなって周りの人込みの中で楓と逸れてしまいそうだと思った。
「楓、もっと俺の傍に来て。この人込みの中で逸れたら探すの大変になりそうだ」
「うん。冬ちゃんにくっつくね。今日の冬ちゃんは彼氏さん、だね。すごく頼りがいがあってかっこいいよ」
「あはは・・・。今度は男の子になっちゃった、ね・・・」
俺の渋い苦笑いを楓が見つめている。うす暗い空間の中で楓の表情が正確に分からなくなってしまった。すると楓が俺を引っ張る形で境内へ向かって歩き出した。だんだん人がいなくなっていき、境内に到着した。誰もいない場所で俺と楓の日二人きり、遠くから祭りの音楽の音が微かに聞こえるが人の声は聞こえない。
「冬ちゃん、女の子とか男の子とか、気にしてるの?」
え?怒ってるの?楓。楓は近くのベンチまで俺を誘導するとちょこんと座り隣の場所をとんとんと手で叩いた。ここに座りなさいと言わんばかりの目が背中がゾクゾクするくらい恐怖を覚えた。
「き、気にしてないよ。そういう身体なんだから。知ってるでしょ、楓は。」
「知ってるよ。でも私は冬ちゃんが好きなの。男とか女とかじゃない。冬ちゃんは一人しかいないのよ。だから自分を卑下するようなこと、わたしの好きな人の事悪く言わないで」
怒ってる。眉が逆立ちして怒っていらっしゃる。楓の目元がきゅっと吊り上がっている。別に自分を卑下してるわけじゃない。ただたまに俺は男でもあり女でもあることを客観視しているだけなのだ。生理が来れば女なんだなと思うし自慰行為の時は勃起するから男なんだなって思う、ただそれだけの事なのだ。それをいちいち楓に話すのもめんどくさいやつだと思われると思っているから母さないだけ。俺は激おこぷんぷん丸の楓の手をそっと握った。
「ごめん。俺、めんどくさい奴だね。楓の言うことが正しい。約束する。」
「うん・・・。私もめんどくさい女よ。ね、キスしたい…。仲直りのキスがほしい」
「・・・うん、わかった」
俺は隣に座っている楓の肩に両手をそっと置き、楓の顔にゆっくりと近づいた。途中から顔を少し斜めにして唇がしっかりと当たる位置取りするとそのまま楓の唇にそっと自分の唇を重ねた。誰もいない空間の中キスのリップ音が響き渡る。初めて自分からするキスの味は少し甘かった。
すでに楓が待ち合わせ場所で俺を待っていた。俺は歩くスピードを少し上げて楓の元へ向かった。カランコロンとなる下駄の音が淡い夕焼けの風景と混ざり合い雅な空間が俺と楓を包み込むようだった。
「楓、待った?ごめん遅くなった」
俺を見つけるや否や楓は笑顔で俺の傍にやってきた。楓の浴衣は淡い水色に種類は分からないけどお魚の絵が描かれていた。とてもきれいで夕焼けの光をバックで浴びてまる神々しく見えた。
「私もさっき来たところだよ。冬ちゃんの浴衣すごくきれいね。ピンク色が似あう女の子、初めて見たよ」
「あ、有難う・・・。女の子、なのかな俺。まぁいいや、楓もすごく綺麗だよ。まるで女神様が降臨されたと思っちゃった」
「うふふ、私ほめ過ぎじゃない?とりあえず出店回る?」
「うん。いこっか」
俺から楓の手を握り鳥居を潜る。楓を引っ張る形になって歩くのは初めてかもしれない。今日は楓を肌で感じたい気分なのだ。これが好き、好意というやつなのだろうか。生まれて初めての体験だった。
いろんな出店を横目に楓と談笑にしながら歩く行為はとてもドキドキする。たまに楓の目が合うと恥ずかしくなって頬が熱くなるのが分かる。だんだん暗くなって周りの人込みの中で楓と逸れてしまいそうだと思った。
「楓、もっと俺の傍に来て。この人込みの中で逸れたら探すの大変になりそうだ」
「うん。冬ちゃんにくっつくね。今日の冬ちゃんは彼氏さん、だね。すごく頼りがいがあってかっこいいよ」
「あはは・・・。今度は男の子になっちゃった、ね・・・」
俺の渋い苦笑いを楓が見つめている。うす暗い空間の中で楓の表情が正確に分からなくなってしまった。すると楓が俺を引っ張る形で境内へ向かって歩き出した。だんだん人がいなくなっていき、境内に到着した。誰もいない場所で俺と楓の日二人きり、遠くから祭りの音楽の音が微かに聞こえるが人の声は聞こえない。
「冬ちゃん、女の子とか男の子とか、気にしてるの?」
え?怒ってるの?楓。楓は近くのベンチまで俺を誘導するとちょこんと座り隣の場所をとんとんと手で叩いた。ここに座りなさいと言わんばかりの目が背中がゾクゾクするくらい恐怖を覚えた。
「き、気にしてないよ。そういう身体なんだから。知ってるでしょ、楓は。」
「知ってるよ。でも私は冬ちゃんが好きなの。男とか女とかじゃない。冬ちゃんは一人しかいないのよ。だから自分を卑下するようなこと、わたしの好きな人の事悪く言わないで」
怒ってる。眉が逆立ちして怒っていらっしゃる。楓の目元がきゅっと吊り上がっている。別に自分を卑下してるわけじゃない。ただたまに俺は男でもあり女でもあることを客観視しているだけなのだ。生理が来れば女なんだなと思うし自慰行為の時は勃起するから男なんだなって思う、ただそれだけの事なのだ。それをいちいち楓に話すのもめんどくさいやつだと思われると思っているから母さないだけ。俺は激おこぷんぷん丸の楓の手をそっと握った。
「ごめん。俺、めんどくさい奴だね。楓の言うことが正しい。約束する。」
「うん・・・。私もめんどくさい女よ。ね、キスしたい…。仲直りのキスがほしい」
「・・・うん、わかった」
俺は隣に座っている楓の肩に両手をそっと置き、楓の顔にゆっくりと近づいた。途中から顔を少し斜めにして唇がしっかりと当たる位置取りするとそのまま楓の唇にそっと自分の唇を重ねた。誰もいない空間の中キスのリップ音が響き渡る。初めて自分からするキスの味は少し甘かった。
0
お気に入りに追加
2
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
ダメな君のそばには私
蓮水千夜
恋愛
ダメ男より私と付き合えばいいじゃない!
友人はダメ男ばかり引き寄せるダメ男ホイホイだった!?
職場の同僚で友人の陽奈と一緒にカフェに来ていた雪乃は、恋愛経験ゼロなのに何故か恋愛相談を持ちかけられて──!?
わたしと彼女の●●●●●●な関係
悠生ゆう
恋愛
とある会社のとある社員旅行。
恋人(女性)との仲がうまくいていない後輩(女性)と、恋人(男性)からプロポーズされた先輩(女性)のお話。
そして、その旅行の後……
〈社会人百合〉アキとハル
みなはらつかさ
恋愛
女の子拾いました――。
ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?
主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。
しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……?
絵:Novel AI
さくらと遥香(ショートストーリー)
youmery
恋愛
「さくらと遥香」46時間TV編で両想いになり、周りには内緒で付き合い始めたさくちゃんとかっきー。
その後のメインストーリーとはあまり関係してこない、単発で読めるショートストーリー集です。
※さくちゃん目線です。
※さくちゃんとかっきーは周りに内緒で付き合っています。メンバーにも事務所にも秘密にしています。
※メインストーリーの長編「さくらと遥香」を未読でも楽しめますが、46時間TV編だけでも読んでからお読みいただくことをおすすめします。
※ショートストーリーはpixivでもほぼ同内容で公開中です。
さくらと遥香
youmery
恋愛
国民的な人気を誇る女性アイドルグループの4期生として活動する、さくらと遥香(=かっきー)。
さくら視点で描かれる、かっきーとの百合恋愛ストーリーです。
◆あらすじ
さくらと遥香は、同じアイドルグループで活動する同期の2人。
さくらは"さくちゃん"、
遥香は名字にちなんで"かっきー"の愛称でメンバーやファンから愛されている。
同期の中で、加入当時から選抜メンバーに選ばれ続けているのはさくらと遥香だけ。
ときに"4期生のダブルエース"とも呼ばれる2人は、お互いに支え合いながら数々の試練を乗り越えてきた。
同期、仲間、戦友、コンビ。
2人の関係を表すにはどんな言葉がふさわしいか。それは2人にしか分からない。
そんな2人の関係に大きな変化が訪れたのは2022年2月、46時間の生配信番組の最中。
イラストを描くのが得意な遥香は、生配信中にメンバー全員の似顔絵を描き上げる企画に挑戦していた。
配信スタジオの一角を使って、休む間も惜しんで似顔絵を描き続ける遥香。
さくらは、眠そうな顔で頑張る遥香の姿を心配そうに見つめていた。
2日目の配信が終わった夜、さくらが遥香の様子を見に行くと誰もいないスタジオで2人きりに。
遥香の力になりたいさくらは、
「私に出来ることがあればなんでも言ってほしい」
と申し出る。
そこで、遥香から目をつむるように言われて待っていると、さくらは唇に柔らかい感触を感じて…
◆章構成と主な展開
・46時間TV編[完結]
(初キス、告白、両想い)
・付き合い始めた2人編[完結]
(交際スタート、グループ内での距離感の変化)
・かっきー1st写真集編[完結]
(少し大人なキス、肌と肌の触れ合い)
・お泊まり温泉旅行編[完結]
(お風呂、もう少し大人な関係へ)
・かっきー2回目のセンター編[完結]
(かっきーの誕生日お祝い)
・飛鳥さん卒コン編[完結]
(大好きな先輩に2人の関係を伝える)
・さくら1st写真集編[完結]
(お風呂で♡♡)
・Wセンター編[不定期更新中]
※女の子同士のキスやハグといった百合要素があります。抵抗のない方だけお楽しみください。
学園の美人三姉妹に告白して断られたけど、わたしが義妹になったら溺愛してくるようになった
白藍まこと
恋愛
主人公の花野明莉は、学園のアイドル 月森三姉妹を崇拝していた。
クールな長女の月森千夜、おっとり系な二女の月森日和、ポジティブ三女の月森華凛。
明莉は遠くからその姿を見守ることが出来れば満足だった。
しかし、その情熱を恋愛感情と捉えられたクラスメイトによって、明莉は月森三姉妹に告白を強いられてしまう。結果フラれて、クラスの居場所すらも失うことに。
そんな絶望に拍車をかけるように、親の再婚により明莉は月森三姉妹と一つ屋根の下で暮らす事になってしまう。義妹としてスタートした新生活は最悪な展開になると思われたが、徐々に明莉は三姉妹との距離を縮めていく。
三姉妹に溺愛されていく共同生活が始まろうとしていた。
※他サイトでも掲載中です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる