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33 卑劣な王太子に頭に来ました。

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侍女たちのストライキがまた始まった。
王太子のおバカな行動が引き金を引いてしまったのだ。

「私の子を孕んでくれっ」

そう言って夜な夜な侍女たちの居る別棟のある場所に足を運んでいたことが公になってしまったのだ。
流石の国民達も怒りを露わにしていた。
そんな中私は彼の妻として周りから『大丈夫』だの『本当にどうしようもない王太子だわね』などと声を掛けられることが多くなっていた。

何故、私はこの人の妻になったんだろう。
よくよく考えるといきなり私の部屋に入って来て『私の子を孕んでくれ』と言われ無理やりねじ込まれたの事が原因だ。

「ストライキの理由と一緒」

私はそう呟くと、隣に寝ていたリリアンが泣き出してしまった。
私は彼女を抱き寄せるとぽんぽんと背中を叩きながらあやしていた。
こうなったら……離縁よ。

そう思いながら部屋にいると王太子がやって来た。
表情が硬く真剣な視線を私に向けると話し出した。

「今回の事は私は何もしていない」
「そんな事、信じろとても?」
「ああ、信じてくれ」
「何をその口がひょうひょうと……」
「私は何もしていない。侍女たちが行き成り言い出した事なのだ。私は其方だけだ。私には」
「その言葉も聞き飽きましたわ」
「そ、そんな……私の世継ぎはどうするのだ? 姫では世継ぎとしては認められない。頼むから機嫌を直してくれ」

全く自分の体裁の事しか考えていない王太子に怒りを覚える。

侍女たちのストライキは数日間行われた。
私は元侍女として、そして今は王太子の妃として侍女たちの所へ向かって事情を聞くことになった。

「あの王太子が……っ」
「私たちは侍女としての仕事をするだけでいいというのに」
「マリア様、どうかあの女たらしを何とかしてください」
「ホントです。おちおち寝ていられません」

わーわー、言われ、他の侍女は泣きじゃくって言葉も発することが出来なかった。
私はそれらを全て聞いたうえで侍女たちに話をした。

「本当に御免なさい。私から強く王太子には躾ておきます。もう、一切侍女に手を出さないことを約束させます。ですから、どうか、どうか、お仕事をしてくださいませ」

私が深々とお辞儀をすると周りにいた数十名の侍女たちが沈黙した。
そしてそのストライキの代表者だった侍女が口を開いた。

「マリア様の所為ではないのです。前回も同じことで私たちの協定を破る王太子に怒りを覚えています。ですが、アリア様がお困りになるのは私たちの本意ではありません。ですので、マリア様に王太子の事はお願い致します。私たちは明日から通常業務を行うことに致します。どうか、マリア様、宜しくお願い致します」

ええ、私は侍女に約束をして事が円満に収まることになった。
そして、私は心の中からあの王太子にお仕置きをすることを誓ったのだった。
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