3 / 12
3
しおりを挟む
私には夢がありました。
以前本で読んだ時に衝撃的な出会いがありました。
それは恋愛物語。
主人公はごく普通の庶民で幼馴染との甘酸っぱい物語だったのです。
最初読んだ時にはそれほど面白みを感じませんでした。
こんな出会いがあるとは思わなかったからです。
それはそうでしょう、わたくしには将来決まった王太子との婚約があったのですから。
しかし今ではこういう出会いがあって恋愛したいと思うようになりました。
さぁ、自由になった私。
これからは恋愛というものを始めましょう。
ワクワクドキドキが楽しめるというのはなんと素晴らしい事でしょうっ!
王太子から婚約破棄されてからわたくしの立場も代わっていました。
今まで友達だったと思われていた人からわたくしを避けるような行動があったのです。
それはそれで仕方がない事だと思いました。
あれだけ公の場で揶揄されてしまったのでわたくしが悪役としてレッテルを貼られてしまい中々声を掛けづらいのではないかと思われたのです。
仕方がありません。
わたくしの友達として残ったのはたった二人だけになってしまったのです。
一人はリーデン家の次女アンヌ。
そしてチャンブラー家の長女カムラン。
二人とも貴族同士の親との繋がりで昔から仲良くさせて貰っている間柄です。
今日も学園での昼食の時に話がありました。
それは王太子との婚約破棄の事でした。
「この度の一件、本当に災難でしたわね、メリーザ」
「本当に困ったものです。わたくしが悪事を働くなどありもしないことを公然としゃべっておられたのには正直拍子抜けしましたわ」
「全くだわ。それにしても他の方々もそれを訊いて離れて行くなんてなんて酷い方々なのでしょう」
「それは仕方がない事だと思っています。わたくしと距離を置かなければ同じ事を王太子様に言われるかもしれないと恐れているのでしょう」
「そうですけれど。私もカムランもそんなことは決して致しませんわ」
「それだけでも有難いと思っております。二人とも有難う」
アンヌの話にカムランはにこやかに頷きました。
二人には感謝しかありません。
わたくしの事を信頼している証だと思いました。
この二人とは今後も大切なお友達として接していきたいと思いました。
それにしても王太子にあのような事を吹きかけた輩が居ることが少々気がかりです。
わたくしが他の貴族令嬢に悪役非道な振る舞いを行っていたなどと、本当に困ったものです。
その人物を特定しようとしても多分無理であることは分かっております。
なので敢えてそのことには触れませんでした。
***
王室での出来事。
フィリップ王太子が国王と王妃の前で跪いている。
婚約破棄に対する話し合いをしている最中だった。
「お前はいつまで子供のような振る舞いをするつもりだ、フィリップっ! メリーザとの婚約は以前より決まりきったことでは無いか。それをお前は学園の、皆の居る前で彼女に罵声を浴びせたというではないか。一体どういうことなのだ?」
国王は声を大きくして王太子に詰め寄った。
自分は悪いことをしたつもりはない王太子は首を傾げて話をし始めた。
「何を仰っているのです、陛下。私は真実を公にしただけで御座います。あの者は貴族令嬢を辱め裏で暗躍している悪女で御座います。そのような者が妃などと到底理解できるわけが御座いませんっ」
「何を言っているのだ。何処にそのような証拠があるというのだ、フィリップ」
「それは私に密書が届いていたのです。そこには私の愛するアリーシャの名も記されていたのです。それに私は元々あのような悪女と婚約するなどと嫌だったので御座います」
以前本で読んだ時に衝撃的な出会いがありました。
それは恋愛物語。
主人公はごく普通の庶民で幼馴染との甘酸っぱい物語だったのです。
最初読んだ時にはそれほど面白みを感じませんでした。
こんな出会いがあるとは思わなかったからです。
それはそうでしょう、わたくしには将来決まった王太子との婚約があったのですから。
しかし今ではこういう出会いがあって恋愛したいと思うようになりました。
さぁ、自由になった私。
これからは恋愛というものを始めましょう。
ワクワクドキドキが楽しめるというのはなんと素晴らしい事でしょうっ!
王太子から婚約破棄されてからわたくしの立場も代わっていました。
今まで友達だったと思われていた人からわたくしを避けるような行動があったのです。
それはそれで仕方がない事だと思いました。
あれだけ公の場で揶揄されてしまったのでわたくしが悪役としてレッテルを貼られてしまい中々声を掛けづらいのではないかと思われたのです。
仕方がありません。
わたくしの友達として残ったのはたった二人だけになってしまったのです。
一人はリーデン家の次女アンヌ。
そしてチャンブラー家の長女カムラン。
二人とも貴族同士の親との繋がりで昔から仲良くさせて貰っている間柄です。
今日も学園での昼食の時に話がありました。
それは王太子との婚約破棄の事でした。
「この度の一件、本当に災難でしたわね、メリーザ」
「本当に困ったものです。わたくしが悪事を働くなどありもしないことを公然としゃべっておられたのには正直拍子抜けしましたわ」
「全くだわ。それにしても他の方々もそれを訊いて離れて行くなんてなんて酷い方々なのでしょう」
「それは仕方がない事だと思っています。わたくしと距離を置かなければ同じ事を王太子様に言われるかもしれないと恐れているのでしょう」
「そうですけれど。私もカムランもそんなことは決して致しませんわ」
「それだけでも有難いと思っております。二人とも有難う」
アンヌの話にカムランはにこやかに頷きました。
二人には感謝しかありません。
わたくしの事を信頼している証だと思いました。
この二人とは今後も大切なお友達として接していきたいと思いました。
それにしても王太子にあのような事を吹きかけた輩が居ることが少々気がかりです。
わたくしが他の貴族令嬢に悪役非道な振る舞いを行っていたなどと、本当に困ったものです。
その人物を特定しようとしても多分無理であることは分かっております。
なので敢えてそのことには触れませんでした。
***
王室での出来事。
フィリップ王太子が国王と王妃の前で跪いている。
婚約破棄に対する話し合いをしている最中だった。
「お前はいつまで子供のような振る舞いをするつもりだ、フィリップっ! メリーザとの婚約は以前より決まりきったことでは無いか。それをお前は学園の、皆の居る前で彼女に罵声を浴びせたというではないか。一体どういうことなのだ?」
国王は声を大きくして王太子に詰め寄った。
自分は悪いことをしたつもりはない王太子は首を傾げて話をし始めた。
「何を仰っているのです、陛下。私は真実を公にしただけで御座います。あの者は貴族令嬢を辱め裏で暗躍している悪女で御座います。そのような者が妃などと到底理解できるわけが御座いませんっ」
「何を言っているのだ。何処にそのような証拠があるというのだ、フィリップ」
「それは私に密書が届いていたのです。そこには私の愛するアリーシャの名も記されていたのです。それに私は元々あのような悪女と婚約するなどと嫌だったので御座います」
0
お気に入りに追加
1,043
あなたにおすすめの小説
王太子が悪役令嬢ののろけ話ばかりするのでヒロインは困惑した
葉柚
恋愛
とある乙女ゲームの世界に転生してしまった乙女ゲームのヒロイン、アリーチェ。
メインヒーローの王太子を攻略しようとするんだけど………。
なんかこの王太子おかしい。
婚約者である悪役令嬢ののろけ話しかしないんだけど。
私は、あいつから逃げられるの?
神桜
恋愛
5月21日に表示画面変えました
乙女ゲームの悪役令嬢役に転生してしまったことに、小さい頃あいつにあった時に気づいた。あいつのことは、ゲームをしていた時からあまり好きではなかった。しかも、あいつと一緒にいるといつかは家がどん底に落ちてしまう。だから、私は、あいつに関わらないために乙女ゲームの悪役令嬢役とは違うようにやろう!
悪役令嬢になりたくないので、攻略対象をヒロインに捧げます
久乃り
恋愛
乙女ゲームの世界に転生していた。
その記憶は突然降りてきて、記憶と現実のすり合わせに毎日苦労する羽目になる元日本の女子高校生佐藤美和。
1周回ったばかりで、2週目のターゲットを考えていたところだったため、乙女ゲームの世界に入り込んで嬉しい!とは思ったものの、自分はヒロインではなく、ライバルキャラ。ルート次第では悪役令嬢にもなってしまう公爵令嬢アンネローゼだった。
しかも、もう学校に通っているので、ゲームは進行中!ヒロインがどのルートに進んでいるのか確認しなくては、自分の立ち位置が分からない。いわゆる破滅エンドを回避するべきか?それとも、、勝手に動いて自分がヒロインになってしまうか?
自分の死に方からいって、他にも転生者がいる気がする。そのひとを探し出さないと!
自分の運命は、悪役令嬢か?破滅エンドか?ヒロインか?それともモブ?
ゲーム修正が入らないことを祈りつつ、転生仲間を探し出し、この乙女ゲームの世界を生き抜くのだ!
他サイトにて別名義で掲載していた作品です。
堕とされた悪役令嬢
芹澤©️
恋愛
「アーリア・メリル・テレネスティ。今日を持って貴様との婚約は破棄する。今迄のレイラ・コーストへの数々の嫌がらせ、脅迫はいくら公爵令嬢と言えども見過ごす事は出来ない。」
学園の恒例行事、夏の舞踏会場の真ん中で、婚約者である筈の第二王子殿下に、そう宣言されたアーリア様。私は王子の護衛に阻まれ、彼女を庇う事が出来なかった。
断罪される前に市井で暮らそうとした悪役令嬢は幸せに酔いしれる
葉柚
恋愛
侯爵令嬢であるアマリアは、男爵家の養女であるアンナライラに婚約者のユースフェリア王子を盗られそうになる。
アンナライラに呪いをかけたのはアマリアだと言いアマリアを追い詰める。
アマリアは断罪される前に市井に溶け込み侯爵令嬢ではなく一市民として生きようとする。
市井ではどこかの王子が呪いにより猫になってしまったという噂がまことしやかに流れており……。
婚約破棄をいたしましょう。
見丘ユタ
恋愛
悪役令嬢である侯爵令嬢、コーデリアに転生したと気づいた主人公は、卒業パーティーの婚約破棄を回避するために奔走する。
しかし無慈悲にも卒業パーティーの最中、婚約者の王太子、テリーに呼び出されてしまうのだった。
悪役令嬢に転生して主人公のメイン攻略キャラである王太子殿下に婚約破棄されましたので、張り切って推しキャラ攻略いたしますわ
奏音 美都
恋愛
私、アンソワーヌは婚約者であったドリュー子爵の爵士であるフィオナンテ様がソフィア嬢に心奪われて婚約破棄され、傷心……
いいえ、これでようやく推しキャラのアルモンド様を攻略することができますわ!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる