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「貴様など、私の婚約者として認めるわけにはいかぬぞ、メリーザっ! 其方のこれまでの数々の悪行、この私が見て見ぬふりをすると思っておったのか! 其方との婚約等此方から破棄してくれるわっ! そしてその悪行を償って貰うぞ」
学園内の講堂に響き渡る罵声に皆が驚きわたくしの事を見つめていました。
罵声を浴びせられたわたくしの名はメリーザ・エリクトン。
そしてわたくしの目の前で怒り狂っているのがこの国の王太子であらせられるフィリップ王太子でした。
わたくしとの婚約発表から数日後の事であります。
わたくしの家はこの国の宰相を務めているお父様エリクトン伯爵の娘として産まれました。
幼少のころより両親に大切に育てられ、英才教育も受けていました。
お話を幼少期の頃に遡ります。
わたくしが5歳の時初めて国王に呼ばれ両親とともにお城に向かいました。
その時同じ歳の男の子が国王様の傍で遊んでいるのが目に入りました。
その方こそ後に王太子になられるフィリップ様でした。
フィリップ様は元気が良く何にでも興味を示されていたのを覚えております。
そしてその時両親が国王に呼ばれた意味を知ったのはそれから数年経ったときの事でした。
わたくしはその時15歳。
貴族が通う王立学園に通い始めた時の事でした。
学園にも慣れ友達も数名出来ました。
順風満帆な日々を送っている時父がわたくしを呼びつけたのです。
何かと思い行ってみるとそこには母も同席していました。
そして父がわたくしにソファへ座るよう言われました。
「メリーザ。其方はフィリップ王太子と婚約することになったぞ」
それを訊いて驚くこともありませんでした。
予想されていたことだったからです。
ただ政略結婚を受け入れる事。
これが貴族として生まれたわたくしの運命だと思っておりました。
わたくしは、はい、と小さな声で返事をしました。
父も母も安堵した表情でわたくしを見つめていました。
そして話をまた進めて先程の王太子が放った話に戻ります。
「わたくしが一体何をしたのというのでしょう?」
わたくしは皆が居る前で辱めを受けながらそう話すとフィリップ王太子は更に声を荒げて答えました。
「何を今更言っておるのだ。其方の悪行の数々、私が知らないとでもいうのか!? 貴様、あろう事か貴族の令嬢達に対して散々悪事を働き、裏で操っていたというではないか。いい加減に白状したらどうだっ!」
身に覚えのない事を目の前で言われても何も言う事はありませんでした。
そして婚約破棄されたことに対しては全く問題ない事でした。
わたくしだって時に恋愛というやつをやってみたかったのです。
足枷がなくなったことへの喜びに酔いしれてしまいそうです。
しかし今は止めておきます。
まずはこの状況をどうにかしないといけませんから。
「ではわたくしとの婚約は破棄されるということで宜しいのでしょうか?」
「ああ。勿論だ。私にはアリーシャがおる。彼女は貴様と違って気立てが良く顔立ちも整った美人。しかもあの綺麗な金髪ロングヘアに魅了されているのだ。貴様のような黒髪の薄汚い顔など見たくはないわ」
「そうですか。分かりました。それではわたくしはこれで失礼致します」
学園内の講堂に響き渡る罵声に皆が驚きわたくしの事を見つめていました。
罵声を浴びせられたわたくしの名はメリーザ・エリクトン。
そしてわたくしの目の前で怒り狂っているのがこの国の王太子であらせられるフィリップ王太子でした。
わたくしとの婚約発表から数日後の事であります。
わたくしの家はこの国の宰相を務めているお父様エリクトン伯爵の娘として産まれました。
幼少のころより両親に大切に育てられ、英才教育も受けていました。
お話を幼少期の頃に遡ります。
わたくしが5歳の時初めて国王に呼ばれ両親とともにお城に向かいました。
その時同じ歳の男の子が国王様の傍で遊んでいるのが目に入りました。
その方こそ後に王太子になられるフィリップ様でした。
フィリップ様は元気が良く何にでも興味を示されていたのを覚えております。
そしてその時両親が国王に呼ばれた意味を知ったのはそれから数年経ったときの事でした。
わたくしはその時15歳。
貴族が通う王立学園に通い始めた時の事でした。
学園にも慣れ友達も数名出来ました。
順風満帆な日々を送っている時父がわたくしを呼びつけたのです。
何かと思い行ってみるとそこには母も同席していました。
そして父がわたくしにソファへ座るよう言われました。
「メリーザ。其方はフィリップ王太子と婚約することになったぞ」
それを訊いて驚くこともありませんでした。
予想されていたことだったからです。
ただ政略結婚を受け入れる事。
これが貴族として生まれたわたくしの運命だと思っておりました。
わたくしは、はい、と小さな声で返事をしました。
父も母も安堵した表情でわたくしを見つめていました。
そして話をまた進めて先程の王太子が放った話に戻ります。
「わたくしが一体何をしたのというのでしょう?」
わたくしは皆が居る前で辱めを受けながらそう話すとフィリップ王太子は更に声を荒げて答えました。
「何を今更言っておるのだ。其方の悪行の数々、私が知らないとでもいうのか!? 貴様、あろう事か貴族の令嬢達に対して散々悪事を働き、裏で操っていたというではないか。いい加減に白状したらどうだっ!」
身に覚えのない事を目の前で言われても何も言う事はありませんでした。
そして婚約破棄されたことに対しては全く問題ない事でした。
わたくしだって時に恋愛というやつをやってみたかったのです。
足枷がなくなったことへの喜びに酔いしれてしまいそうです。
しかし今は止めておきます。
まずはこの状況をどうにかしないといけませんから。
「ではわたくしとの婚約は破棄されるということで宜しいのでしょうか?」
「ああ。勿論だ。私にはアリーシャがおる。彼女は貴様と違って気立てが良く顔立ちも整った美人。しかもあの綺麗な金髪ロングヘアに魅了されているのだ。貴様のような黒髪の薄汚い顔など見たくはないわ」
「そうですか。分かりました。それではわたくしはこれで失礼致します」
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