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特別編

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サターニャ国へ着いた私達は魔法陣の中から出るとお城のテラスに到着していた。
オロバスが気を使ってくれたのだろう。
直ぐに国王に会える場所に転送してくれたのだ。
こういう時オロバスは忠実で誠実な魔族で助かる。

「直ぐに国王様にお目通りをっ」
「御意」

私はテラスからお城の中へ入り玉座の間に向かった。
お城の中は閑散としていて侍女たちも姿を見せていなかった。
違和感ようなそんな感じがした。
玉座の間のドアの前に着くとオロバスがドアを掛けると奥に国王が座っていた。

「サターニャ国王様。アレーレで御座います。しばしお話宜しいでしょうか」
「アレーレか。どうしたのだ? 突然」
「すみません。わたくしの国で問題が発生してしまいました。先ほどまでアレンダリア王国に住んでいるお父様が何者かに襲われ、そして国の執務を失脚するという事態です。このままだとわたくしはこの国で過ごすことが出来ません」
「それは穏やかな話ではないな。それでどうしたのだ?」
「はい。何とかお父様の御命には問題はなくなりましたが今後の事が心配なのです」

私がそう訴えるとサターニャ国王は親身に話を訊き言ってくれている様子だった。
この後私が話すことを理解してくれる、私はそう思い話を続けた。

「そこでこの度の婚約の話ですが、無かったことにしたいのです。わたくしがあの国を離れる事は今は出来ません。大変ご迷惑をお掛けしますがご了承頂きますようお願い申し上げます」

最期まで何も言わずに聞き入っていた国王が私の話が終わるとゆっくりと口を開いた。

「ならん。それをすれば人間族と魔族との繋がりがなくなってしまう。そうなればまた魔族の間で暴動が出るだろう。今の私にはそれを止める術がない。情けない話なのだが其方の力が必要なのだ。どうか考えなおしてほしい」

意外な話が出た。
私の力がそこまで必要だとは思わなかったからだ。
そんなことを言われても今の私にはそれを受け入れることが出来なかった。
私は国王にそれは出来ないことを告げるとため息をついて呆れた表情を浮かべた。

「其方が戻ったところで国は基に戻るのか?」
「いえ……それは……」
「戻りはしない。父君も同じことを言うだろう。もう一度よく考えるのだ。そして賢明な判断を願っている。話は終わりだ。下がりなさい」

国王はそう言うと私を部屋から追い出してしまった。
私は茫然としてドアの前に立ちすくんでいるとオロバスが話しかけてきた。

「アレーレ嬢。此処は国王の言う通りにした方がいいと思います」

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