79 / 80
特別編
77
しおりを挟む
サターニャ国へ着いた私達は魔法陣の中から出るとお城のテラスに到着していた。
オロバスが気を使ってくれたのだろう。
直ぐに国王に会える場所に転送してくれたのだ。
こういう時オロバスは忠実で誠実な魔族で助かる。
「直ぐに国王様にお目通りをっ」
「御意」
私はテラスからお城の中へ入り玉座の間に向かった。
お城の中は閑散としていて侍女たちも姿を見せていなかった。
違和感ようなそんな感じがした。
玉座の間のドアの前に着くとオロバスがドアを掛けると奥に国王が座っていた。
「サターニャ国王様。アレーレで御座います。しばしお話宜しいでしょうか」
「アレーレか。どうしたのだ? 突然」
「すみません。わたくしの国で問題が発生してしまいました。先ほどまでアレンダリア王国に住んでいるお父様が何者かに襲われ、そして国の執務を失脚するという事態です。このままだとわたくしはこの国で過ごすことが出来ません」
「それは穏やかな話ではないな。それでどうしたのだ?」
「はい。何とかお父様の御命には問題はなくなりましたが今後の事が心配なのです」
私がそう訴えるとサターニャ国王は親身に話を訊き言ってくれている様子だった。
この後私が話すことを理解してくれる、私はそう思い話を続けた。
「そこでこの度の婚約の話ですが、無かったことにしたいのです。わたくしがあの国を離れる事は今は出来ません。大変ご迷惑をお掛けしますがご了承頂きますようお願い申し上げます」
最期まで何も言わずに聞き入っていた国王が私の話が終わるとゆっくりと口を開いた。
「ならん。それをすれば人間族と魔族との繋がりがなくなってしまう。そうなればまた魔族の間で暴動が出るだろう。今の私にはそれを止める術がない。情けない話なのだが其方の力が必要なのだ。どうか考えなおしてほしい」
意外な話が出た。
私の力がそこまで必要だとは思わなかったからだ。
そんなことを言われても今の私にはそれを受け入れることが出来なかった。
私は国王にそれは出来ないことを告げるとため息をついて呆れた表情を浮かべた。
「其方が戻ったところで国は基に戻るのか?」
「いえ……それは……」
「戻りはしない。父君も同じことを言うだろう。もう一度よく考えるのだ。そして賢明な判断を願っている。話は終わりだ。下がりなさい」
国王はそう言うと私を部屋から追い出してしまった。
私は茫然としてドアの前に立ちすくんでいるとオロバスが話しかけてきた。
「アレーレ嬢。此処は国王の言う通りにした方がいいと思います」
オロバスが気を使ってくれたのだろう。
直ぐに国王に会える場所に転送してくれたのだ。
こういう時オロバスは忠実で誠実な魔族で助かる。
「直ぐに国王様にお目通りをっ」
「御意」
私はテラスからお城の中へ入り玉座の間に向かった。
お城の中は閑散としていて侍女たちも姿を見せていなかった。
違和感ようなそんな感じがした。
玉座の間のドアの前に着くとオロバスがドアを掛けると奥に国王が座っていた。
「サターニャ国王様。アレーレで御座います。しばしお話宜しいでしょうか」
「アレーレか。どうしたのだ? 突然」
「すみません。わたくしの国で問題が発生してしまいました。先ほどまでアレンダリア王国に住んでいるお父様が何者かに襲われ、そして国の執務を失脚するという事態です。このままだとわたくしはこの国で過ごすことが出来ません」
「それは穏やかな話ではないな。それでどうしたのだ?」
「はい。何とかお父様の御命には問題はなくなりましたが今後の事が心配なのです」
私がそう訴えるとサターニャ国王は親身に話を訊き言ってくれている様子だった。
この後私が話すことを理解してくれる、私はそう思い話を続けた。
「そこでこの度の婚約の話ですが、無かったことにしたいのです。わたくしがあの国を離れる事は今は出来ません。大変ご迷惑をお掛けしますがご了承頂きますようお願い申し上げます」
最期まで何も言わずに聞き入っていた国王が私の話が終わるとゆっくりと口を開いた。
「ならん。それをすれば人間族と魔族との繋がりがなくなってしまう。そうなればまた魔族の間で暴動が出るだろう。今の私にはそれを止める術がない。情けない話なのだが其方の力が必要なのだ。どうか考えなおしてほしい」
意外な話が出た。
私の力がそこまで必要だとは思わなかったからだ。
そんなことを言われても今の私にはそれを受け入れることが出来なかった。
私は国王にそれは出来ないことを告げるとため息をついて呆れた表情を浮かべた。
「其方が戻ったところで国は基に戻るのか?」
「いえ……それは……」
「戻りはしない。父君も同じことを言うだろう。もう一度よく考えるのだ。そして賢明な判断を願っている。話は終わりだ。下がりなさい」
国王はそう言うと私を部屋から追い出してしまった。
私は茫然としてドアの前に立ちすくんでいるとオロバスが話しかけてきた。
「アレーレ嬢。此処は国王の言う通りにした方がいいと思います」
0
お気に入りに追加
856
あなたにおすすめの小説
【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
前世軍医だった傷物令嬢は、幸せな花嫁を夢見る
花雨宮琵
恋愛
侯爵令嬢のローズは、10歳のある日、背中に刀傷を負い生死の境をさまよう。
その時に見た夢で、軍医として生き、結婚式の直前に婚約者を亡くした前世が蘇る。
何とか一命を取り留めたものの、ローズの背中には大きな傷が残った。
“傷物令嬢”として揶揄される中、ローズは早々に貴族女性として生きることを諦め、隣国の帝国医学校へ入学する。
背中の傷を理由に六回も婚約を破棄されるも、18歳で隣国の医師資格を取得。自立しようとした矢先に王命による7回目の婚約が結ばれ、帰国を余儀なくされる。
7人目となる婚約者は、弱冠25歳で東の将軍となった、ヴァンドゥール公爵家次男のフェルディナンだった。
長年行方不明の想い人がいるフェルディナンと、義務ではなく愛ある結婚を夢見るローズ。そんな二人は、期間限定の条件付き婚約関係を結ぶことに同意する。
守られるだけの存在でいたくない! と思うローズは、一人の医師として自立し、同時に、今世こそは愛する人と結ばれて幸せな家庭を築きたいと願うのであったが――。
この小説は、人生の理不尽さ・不条理さに傷つき悩みながらも、幸せを求めて奮闘する女性の物語です。
※この作品は2年前に掲載していたものを大幅に改稿したものです。
(C)Elegance 2025 All Rights Reserved.無断転載・無断翻訳を固く禁じます。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
【完結】引きこもり令嬢は迷い込んできた猫達を愛でることにしました
かな
恋愛
乙女ゲームのモブですらない公爵令嬢に転生してしまった主人公は訳あって絶賛引きこもり中!
そんな主人公の生活はとある2匹の猫を保護したことによって一変してしまい……?
可愛い猫達を可愛がっていたら、とんでもないことに巻き込まれてしまった主人公の無自覚無双の幕開けです!
そしていつのまにか溺愛ルートにまで突入していて……!?
イケメンからの溺愛なんて、元引きこもりの私には刺激が強すぎます!!
毎日17時と19時に更新します。
全12話完結+番外編
「小説家になろう」でも掲載しています。
妹に正妻の座を奪われた公爵令嬢
岡暁舟
恋愛
妹に正妻の座を奪われた公爵令嬢マリアは、それでも婚約者を憎むことはなかった。なぜか?
「すまない、マリア。ソフィアを正式な妻として迎え入れることにしたんだ」
「どうぞどうぞ。私は何も気にしませんから……」
マリアは妹のソフィアを祝福した。だが当然、不気味な未来の陰が少しずつ歩み寄っていた。
「君の為の時間は取れない」と告げた旦那様の意図を私はちゃんと理解しています。
あおくん
恋愛
憧れの人であった旦那様は初夜が終わったあと私にこう告げた。
「君の為の時間は取れない」と。
それでも私は幸せだった。だから、旦那様を支えられるような妻になりたいと願った。
そして騎士団長でもある旦那様は次の日から家を空け、旦那様と入れ違いにやって来たのは旦那様の母親と見知らぬ女性。
旦那様の告げた「君の為の時間は取れない」という言葉はお二人には別の意味で伝わったようだ。
あなたは愛されていない。愛してもらうためには必要なことだと過度な労働を強いた結果、過労で倒れた私は記憶喪失になる。
そして帰ってきた旦那様は、全てを忘れていた私に困惑する。
※35〜37話くらいで終わります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる