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特別編
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サターニャ国王との婚儀が進まない原因を模索していた時、国王に呼び出された。
私は王宮にある王の間に向かう長い廊下を歩いているといきなり魔法陣が展開された。
その中から出てきたのはサタナキアだった。
「アレーレ様。大変な事が起こりました。お父様が失職されたらしいのです」
突然の出来事で言葉を失くしてしまいその場で立ち止まってしまった。
私の選択の所為でお父様が……。
「アレーレ様、お気を確かにっ! 今は動揺している場合ではありません。直ぐにでも国に戻り状況を把握する必要があります。私とオロバスだけでは限界があります故。一度祖国へ戻られた方がっ!!」
「それは……一度サターニャ国王に進言せねばならない事だわ。でも、何故そのような事が起こったの!? いったい何があったというの??」
「私たちには人間族の考えていることは分かりません。ただ内紛があったらしいという専らの噂です。一刻も早く父君の元へ戻ることが先決」
「とにかく貴方達でお父様を守りなさい。これは命令よっ! いい、分かった!?」
「御意っ」
サタナキアはそう言って跪いた後魔法陣の中へ消えていった。
一体何が……。
私は足早に王の間の前についてノックをして中に入った。
玉座に腰を下ろしている国王の目の前に立つと跪いた。
「サターニャ様、一大事が起こりました。わたくしの父が失職したとの報告があり、いったい何が起きているのかを確認したく、一度祖国へ戻りたいのです」
国王は私の話を訊いた後直ぐに国に戻ることを許してくれた。
私たちの婚儀が進まない原因、そして内紛、お父様の失職、アレンダリア王国に一刻も早く戻ること。
王の間を出た私はテラスに出て、オロバスを召喚するために魔方陣を展開した。
オロバスが魔法陣の中から出て来て私の前で跪く。
「直ぐに祖国へ戻ります。転移してっ!」
「御意っ!」
私の手を持ち私の肩を支えるように抱くとそのまま魔法陣の中へ入った。
直ぐに私が住んでいた屋敷の広場に着くと私を待っていたかのようにマロンが泣きそうな顔をしていたのだ。
「マロン、いったい何が起こったの?」
「主様が、主様が……何者かに襲われたのですっ!」
「ええっ!!」
「今ベッドの上で応急処置をしている所ですが、治癒……傷が塞がらず治癒が追い付かず……」
「直ぐに私がやりますっ!」
オドオドしていたマロンをしっかりしなさいと大きな声を掛けた。
マロンははっとした。
実はマロンを数日前に屋敷に戻って貰っていたのだ。
婚儀の交渉が進まないことで一度祖国へ戻るつもりで居たから。
私はマロンの後ろを足早に進みお父様の所へ向かう。
長い廊下を歩くこと数十秒。
大きな扉の前に着いた。
「お父様っ!」
ドアを開けて私は叫んだ。
そこにはベッドに横たわり苦しそうな表情をしているお父様。
周りには魔法治癒をしている魔術師が数名いた。
「退いてっ! 私が直ぐに直しますっ!」
「あ、アレーレ様。どうしてこの場に!?」
「いいから、退きなさいっ!」
荒ぶる声で魔術師にそう言うとそっと後ろに後ずさり私は横たわっているお父様の前に立つ。
「お父様、今直しますっ」
私が詠唱を始めると手のひらをお父様に向けた。
手のひらから光が放たれるとお父様の身体が光で包まれる。
「リカバリ―っ!」
魔力を相当喰らう魔法を使ってなんとかお父様の傷が塞がった。
私はその場で足元が崩れ両足を地面につけた状態で座り込んだ。
「はぁ……一体何があったの?」
私はその場にいた数名の魔術師とオロバス、マロンにそう訊ねた。
私は王宮にある王の間に向かう長い廊下を歩いているといきなり魔法陣が展開された。
その中から出てきたのはサタナキアだった。
「アレーレ様。大変な事が起こりました。お父様が失職されたらしいのです」
突然の出来事で言葉を失くしてしまいその場で立ち止まってしまった。
私の選択の所為でお父様が……。
「アレーレ様、お気を確かにっ! 今は動揺している場合ではありません。直ぐにでも国に戻り状況を把握する必要があります。私とオロバスだけでは限界があります故。一度祖国へ戻られた方がっ!!」
「それは……一度サターニャ国王に進言せねばならない事だわ。でも、何故そのような事が起こったの!? いったい何があったというの??」
「私たちには人間族の考えていることは分かりません。ただ内紛があったらしいという専らの噂です。一刻も早く父君の元へ戻ることが先決」
「とにかく貴方達でお父様を守りなさい。これは命令よっ! いい、分かった!?」
「御意っ」
サタナキアはそう言って跪いた後魔法陣の中へ消えていった。
一体何が……。
私は足早に王の間の前についてノックをして中に入った。
玉座に腰を下ろしている国王の目の前に立つと跪いた。
「サターニャ様、一大事が起こりました。わたくしの父が失職したとの報告があり、いったい何が起きているのかを確認したく、一度祖国へ戻りたいのです」
国王は私の話を訊いた後直ぐに国に戻ることを許してくれた。
私たちの婚儀が進まない原因、そして内紛、お父様の失職、アレンダリア王国に一刻も早く戻ること。
王の間を出た私はテラスに出て、オロバスを召喚するために魔方陣を展開した。
オロバスが魔法陣の中から出て来て私の前で跪く。
「直ぐに祖国へ戻ります。転移してっ!」
「御意っ!」
私の手を持ち私の肩を支えるように抱くとそのまま魔法陣の中へ入った。
直ぐに私が住んでいた屋敷の広場に着くと私を待っていたかのようにマロンが泣きそうな顔をしていたのだ。
「マロン、いったい何が起こったの?」
「主様が、主様が……何者かに襲われたのですっ!」
「ええっ!!」
「今ベッドの上で応急処置をしている所ですが、治癒……傷が塞がらず治癒が追い付かず……」
「直ぐに私がやりますっ!」
オドオドしていたマロンをしっかりしなさいと大きな声を掛けた。
マロンははっとした。
実はマロンを数日前に屋敷に戻って貰っていたのだ。
婚儀の交渉が進まないことで一度祖国へ戻るつもりで居たから。
私はマロンの後ろを足早に進みお父様の所へ向かう。
長い廊下を歩くこと数十秒。
大きな扉の前に着いた。
「お父様っ!」
ドアを開けて私は叫んだ。
そこにはベッドに横たわり苦しそうな表情をしているお父様。
周りには魔法治癒をしている魔術師が数名いた。
「退いてっ! 私が直ぐに直しますっ!」
「あ、アレーレ様。どうしてこの場に!?」
「いいから、退きなさいっ!」
荒ぶる声で魔術師にそう言うとそっと後ろに後ずさり私は横たわっているお父様の前に立つ。
「お父様、今直しますっ」
私が詠唱を始めると手のひらをお父様に向けた。
手のひらから光が放たれるとお父様の身体が光で包まれる。
「リカバリ―っ!」
魔力を相当喰らう魔法を使ってなんとかお父様の傷が塞がった。
私はその場で足元が崩れ両足を地面につけた状態で座り込んだ。
「はぁ……一体何があったの?」
私はその場にいた数名の魔術師とオロバス、マロンにそう訊ねた。
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