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第8章
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記憶の改ざんされた事が分かった私は部屋に戻りオロバスを呼んだ。
すると何処からともなく魔法陣が展開されてオロバスが跪いていた。
「記憶を誰かが改ざんしているようです。誰だかわかりますか?」
「私にはそこまでは……しかし、何故そのような事を?」
「それは、私にも分からないわ。それにしても、どうしてこのような事になったのでしょう」
オロバスに訊ねても答えは返ってこない。
私はオロバスに周辺の調査を依頼した後誰が犯人なのかを考えた。
一番怪しいのは私を根に持つ存在。
一人はファイフ伯爵家の令嬢エミリー。
それともエルフ族の姫君でアンダリエル。
エルフ族の事は今の私には分からない。
過去に何があったのかを知るためにはやはり前のアレーレの記憶が欲しい。
それの為には女神エクアに会わなければならない。
「でも今回は自分で何とかしないとね。このままって訳にはいかないんだから」
奮起して、私はそう口にした。
暫くソファに座って考え事をしているとマロンが部屋にやって来た。
侍女の姿で帽子を被りいつものように笑顔を私に向けていた。
「貴女の顔を見るのも久しぶりね」
「はい……。でも、戻って来られて本当に嬉しいです。私たちの所為であのような事になってしまったとなっては……」
「貴女がそのような事を心配する必要はないのよ。これは私に対する当てつけなんですから。私の事を面白くない連中がいるようだわ。なんだかそんなことを考えてると急にワクワクしちゃったの。可笑しいかしら、私って」
ふふふ、と私が笑うとマロンも笑った。
以前のアレーレの記憶が欲しい。
私は強くそう思った。
その日の夜はお父様と共に久々の夕食を済ませ、これまた久々にサロン達にお風呂場で身体を洗って貰った。
何もかもが久々。
そしてベッドに仰向けになって布団を被り眠りについた。
*****
「アレーレ……、アレーレ……」
「だ、誰? 私の事を呼ぶのは?」
私ですわ、目の前に光がっ。
眩しくて目を瞑ってしまった。
光が弱まり目を開けるとそこには私が居たのだ。
「あ、貴女は……? 私?」
「そう。貴女は私。そして私は貴女。やっと出会えました」
「どういう事?」
「ふふふ。それは鍵が掛けられていたのです。前世の記憶だけが貴女に残るように、仕向けられたのです」
「誰に?」
「それは私には分かりません。何せ私を恨んでいる人達は沢山いるのですから」
そう言ってふふふ、と笑う私…アレーレ。
何が何だか、いったい何が起こっているのか全く分からなかった。
「今からあなたと私が一体になります。そうすれば私の記憶も残るでしょう」
すると何処からともなく魔法陣が展開されてオロバスが跪いていた。
「記憶を誰かが改ざんしているようです。誰だかわかりますか?」
「私にはそこまでは……しかし、何故そのような事を?」
「それは、私にも分からないわ。それにしても、どうしてこのような事になったのでしょう」
オロバスに訊ねても答えは返ってこない。
私はオロバスに周辺の調査を依頼した後誰が犯人なのかを考えた。
一番怪しいのは私を根に持つ存在。
一人はファイフ伯爵家の令嬢エミリー。
それともエルフ族の姫君でアンダリエル。
エルフ族の事は今の私には分からない。
過去に何があったのかを知るためにはやはり前のアレーレの記憶が欲しい。
それの為には女神エクアに会わなければならない。
「でも今回は自分で何とかしないとね。このままって訳にはいかないんだから」
奮起して、私はそう口にした。
暫くソファに座って考え事をしているとマロンが部屋にやって来た。
侍女の姿で帽子を被りいつものように笑顔を私に向けていた。
「貴女の顔を見るのも久しぶりね」
「はい……。でも、戻って来られて本当に嬉しいです。私たちの所為であのような事になってしまったとなっては……」
「貴女がそのような事を心配する必要はないのよ。これは私に対する当てつけなんですから。私の事を面白くない連中がいるようだわ。なんだかそんなことを考えてると急にワクワクしちゃったの。可笑しいかしら、私って」
ふふふ、と私が笑うとマロンも笑った。
以前のアレーレの記憶が欲しい。
私は強くそう思った。
その日の夜はお父様と共に久々の夕食を済ませ、これまた久々にサロン達にお風呂場で身体を洗って貰った。
何もかもが久々。
そしてベッドに仰向けになって布団を被り眠りについた。
*****
「アレーレ……、アレーレ……」
「だ、誰? 私の事を呼ぶのは?」
私ですわ、目の前に光がっ。
眩しくて目を瞑ってしまった。
光が弱まり目を開けるとそこには私が居たのだ。
「あ、貴女は……? 私?」
「そう。貴女は私。そして私は貴女。やっと出会えました」
「どういう事?」
「ふふふ。それは鍵が掛けられていたのです。前世の記憶だけが貴女に残るように、仕向けられたのです」
「誰に?」
「それは私には分かりません。何せ私を恨んでいる人達は沢山いるのですから」
そう言ってふふふ、と笑う私…アレーレ。
何が何だか、いったい何が起こっているのか全く分からなかった。
「今からあなたと私が一体になります。そうすれば私の記憶も残るでしょう」
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