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第7章

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私はオロバスに問いかけたが返事が無かった。
いないのかしら。だとしたらどこに言っているの?
暫く黙って考え事をしていたらイリスがお茶を持って部屋になって来た。


「失礼します」
「どうぞ、此方で一緒に頂きましょう」
「はい…アレーレ様」


イリスは私の向かい側のソファに腰かけカップにお茶を注いでくれた。
先に私のカップに入れ、その後自分のカップに注ぐ。
私は一足先にお茶を口にした。


「これは、美味しいですね」
「これは私が好きな茶葉を使ったお茶です」
「なんていう茶葉ですか?」
「ジャスミンです」
「ジャスミンですか。なんだか心がほっとする味ですね」


ええ、とイリスが笑顔で私の顔を見ながらお茶を口にしていた。
明日はターバリン様とのデート。
私は一体どうすればいいのやら……。
昔の乙女ゲームだったからどんなイベンドが発生してハッピーエンドやバッドエンドを選択肢一つで攻略できるのに。


「アレーレ様。どうしたのですか? 考え事ですか?」
「あ、あ、ええ、まぁ~」
「私は難しい事は分かりませんが、一番はアレーレ様がなされたい事をされることが重要だと思います。婚約の事は色々と侍女の間でも噂になっているのですが、どういう選択をしてもアレーレ様の考えが正しいと、私は思います」


イリス……マロンと同じようなことを、貴方も仰るのね。
私は心の中でそう思った。
そういえばアレンダリア国に残して此処に来てしまったけれど、皆無事にしているだろうか。
早く私の罪が冤罪として処理して貰えることを私は望んでいる。


「お屋敷へ戻りたい……」

ぼそっと口から出た言葉。
私はお屋敷に残してきてしまった人たちに会いたくなってしまった。
所謂ホームシックというやつだ。
前世出の私はずっと家族と一緒に暮らしていた。
此方に来てからは色々な事が起こり過ぎて考えても居なかったけれど。


「一度帰れると良いのですね」
「イリス……有難う」


傍で心配してくれている彼女の事を見つめながら私は微笑んだ。
私の査問委員会での沙汰は相変わらず変わってはいないのだろう。
エクアが見せてくれた事実を話せば、私がエルフ族を奴隷として扱ってはいなかったことが証明できるのに。


「本当に、早く国へ戻りたい」
「アレーレ様……」

でも、その前に私は今度ターバリン王子とのデートをしないといけない。
どんなデートをするのだろう。
ターバリン王子に私がエルフ族との事を話した時、信じてくれるだろうか。
私はターバリン王子とのデートにその話をしようと思った。
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