上 下
57 / 80
第7章

56 ①

しおりを挟む
次の日。今度はサターニャ王とデートする日。
私は自室で準備をしていた。
珍しく朝早く音が冷めた事前に用意してあったドレスに袖を通した。
朝食をと侍女に呼ばれた私は食堂へ向かった。食堂には既に三人の美男子が座って談笑しながら食事をしていた。


「おはようございます。皆様」
「おはよう、アレーレ」


サターニャ様がいち早く私に声を掛けてくれた。
他の2人も同じように挨拶をしてくれた。
私は席に着いて目の前に用意された食事を口にした。
今日はサターニャ様とのデート。
ちゃんとデート出来るのかしら。
それにしても三人ともとても仲が良いんだなぁ~。
一人の女を取り合うって感じには見えない。


「アレーレ。朝食が終わったら出掛けるとしようか」


サターニャ様がそう言うと私はこくりと頷いた。
ターバリン様とアンドレ―様は笑顔で私の事を見つめている。
妙な雰囲気だと思ってしまった。
朝食を済ませ、いざお城を出発。
馬車に乗り込むとサターニャ様が私に話しかけてきた。


「今日は何処へ向かおうか」
「サターニャ様が行きたいところがいいですわ」
「私がか……それならば良い所があるぞ」


馬車を運転する兵士に何やら耳打ちをするサターニャ様。
私は馬車から見える街並みを眺めながら目的地に着くのを待った。
馬車は町の中心街から離れ森の見える場所で止まった。
ここが、目的地?


「アレーレ。此処だ」
「ここは……?」
「ここは私が唯一羽が伸ばせる場所なのだ。さぁ、馬車から降りて森の中へ向かうとしよう」


私は馬車から降りるとサターニャ様に手を繋ぎ森へと向かって歩いて行った。
木々から太陽の光が差し込んできて幻想的に見える。
目の前に切り株が見えてきたところでサターニャ様は立ち止まった。
どうやらここが目的地らしい。


「この森の守り神だった神木だ。今は切り取られてしまってこのように切り株になってしまったがな」
「どうして、ご神木を、このような姿に」
「其方が反乱分子を抑えていてた時こちらでも内乱が勃発してな。その時そ奴ら切り落としてしまったのだ。惨いことをと思っている」


切り株を見つめながら寂しそうな表情を見せるさサターニャ様。
決して悪い人には見えない。
私は寂しそうにするサターニャ様の腕を掴んでぎゅっとした。


「私なら大丈夫だ。此処へ来てどうしてあのような事になったのかを戒める場所にしたのだ。もうあのような者たちが出ぬようしっかり政治をしたいと思っている。此処へ其方を招いたのは事実を知ってほしかったからだ」

サターニャ様がそう言うと私の顔を見つめて微笑んでいた。
私もサターニャ様を見つめて微笑んだ。
私はこの人はとても心が優しい人だと思った。

それからしばらくそこで話をした後馬車に戻り街中へ向かったのだった。
しおりを挟む
感想 15

あなたにおすすめの小説

友達の妹が、入浴してる。

つきのはい
恋愛
 「交換してみない?」  冴えない高校生の藤堂夏弥は、親友のオシャレでモテまくり同級生、鈴川洋平にバカげた話を持ちかけられる。  それは、お互い現在同居中の妹達、藤堂秋乃と鈴川美咲を交換して生活しようというものだった。  鈴川美咲は、美男子の洋平に勝るとも劣らない美少女なのだけれど、男子に嫌悪感を示し、夏弥とも形式的な会話しかしなかった。  冴えない男子と冷めがちな女子の距離感が、二人暮らしのなかで徐々に変わっていく。  そんなラブコメディです。

上司に恋していいですか?

茜色
恋愛
恋愛に臆病な28歳のOL椎名澪(しいな みお)は、かつて自分をフッた男性が別の女性と結婚するという噂を聞く。ますます自信を失い落ち込んだ日々を送っていた澪は、仕事で大きなミスを犯してしまう。ことの重大さに動揺する澪の窮地を救ってくれたのは、以前から密かに憧れていた課長の成瀬昇吾(なるせ しょうご)だった。 澪より7歳年上の成瀬は、仕事もできてモテるのに何故か未だに独身で謎の多い人物。澪は自分など相手にされないと遠慮しつつ、仕事を通して一緒に過ごすうちに、成瀬に惹かれる想いを抑えられなくなっていく。けれども社内には、成瀬に関する気になる噂があって・・・。 ※ R18描写は後半まで出てきません。「ムーンライトノベルズ」様にも投稿しています。

溺愛社長の欲求からは逃れられない

鳴宮鶉子
恋愛
溺愛社長の欲求からは逃れられない

【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される

奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。 けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。 そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。 2人の出会いを描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630 2人の誓約の儀を描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」 https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041

婚約破棄寸前の悪役令嬢に転生したはずなのに!?

もふきゅな
恋愛
現代日本の普通一般人だった主人公は、突然異世界の豪華なベッドで目を覚ます。鏡に映るのは見たこともない美しい少女、アリシア・フォン・ルーベンス。悪役令嬢として知られるアリシアは、王子レオンハルトとの婚約破棄寸前にあるという。彼女は、王子の恋人に嫌がらせをしたとされていた。 王子との初対面で冷たく婚約破棄を告げられるが、美咲はアリシアとして無実を訴える。彼女の誠実な態度に次第に心を開くレオンハルト 悪役令嬢としてのレッテルを払拭し、彼と共に幸せな日々を歩もうと試みるアリシア。

悪役令嬢になりたくないので、攻略対象をヒロインに捧げます

久乃り
恋愛
乙女ゲームの世界に転生していた。 その記憶は突然降りてきて、記憶と現実のすり合わせに毎日苦労する羽目になる元日本の女子高校生佐藤美和。 1周回ったばかりで、2週目のターゲットを考えていたところだったため、乙女ゲームの世界に入り込んで嬉しい!とは思ったものの、自分はヒロインではなく、ライバルキャラ。ルート次第では悪役令嬢にもなってしまう公爵令嬢アンネローゼだった。 しかも、もう学校に通っているので、ゲームは進行中!ヒロインがどのルートに進んでいるのか確認しなくては、自分の立ち位置が分からない。いわゆる破滅エンドを回避するべきか?それとも、、勝手に動いて自分がヒロインになってしまうか? 自分の死に方からいって、他にも転生者がいる気がする。そのひとを探し出さないと! 自分の運命は、悪役令嬢か?破滅エンドか?ヒロインか?それともモブ? ゲーム修正が入らないことを祈りつつ、転生仲間を探し出し、この乙女ゲームの世界を生き抜くのだ! 他サイトにて別名義で掲載していた作品です。

変態王子&モブ令嬢 番外編

咲桜りおな
恋愛
「完璧(変態)王子は悪役(天然)令嬢を今日も愛でたい」と 「モブ令嬢はシスコン騎士様にロックオンされたようです~妹が悪役令嬢なんて困ります~」の 番外編集です。  本編で描ききれなかったお話を不定期に更新しています。 「小説家になろう」でも公開しています。

義弟の為に悪役令嬢になったけど何故か義弟がヒロインに会う前にヤンデレ化している件。

あの
恋愛
交通事故で死んだら、大好きな乙女ゲームの世界に転生してしまった。けど、、ヒロインじゃなくて攻略対象の義姉の悪役令嬢!? ゲームで推しキャラだったヤンデレ義弟に嫌われるのは胸が痛いけど幸せになってもらうために悪役になろう!と思ったのだけれど ヒロインに会う前にヤンデレ化してしまったのです。 ※初めて書くので設定などごちゃごちゃかもしれませんが暖かく見守ってください。

処理中です...