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私と貴婦人が対峙している時扉がバンと開きました。
入って来たのはレイヤード様でした。
急いで来たのかはぁはぁと息をしながら部屋に入って来たのです。
「叔母様!ちょっと待ってよっ!」
「なんです。なぜ貴方がこんな場所に?学校はどうしたのです」
「そんなことどうでもいいよ。それよりお兄様から訊いたんだけど、舞さんをどうして卑下するの?」
「貴方にはもっとふさわしい女性が必要です。こんな女よりね」
「それは僕が決めることだよ。僕は舞さんと結婚するんだ」
「それがダメなのです。王もすっかりこの娘に騙されたそうですが私は騙されません」
「何がいけないって言うんだ?」
「まず……」
貴婦人は私の過去の噂話をし始めました。
王国追放のきっかけ。
家を潰した事。
悪役非情なことをした事。
どれも私がずっと否定していたことです。
私はこの世界に来てまだ日が浅いのにどうしてそのような事が出来るのか。
何故私が責められなければならいのか。
本当に悔しいです。
眼から涙が溢れ出してきてしまいました。
するとレイヤード様がそれに気づいたのか、私の所へ歩み寄ってきました。
私の手を握り優しく微笑んでくれました。
私は涙をぬぐい貴婦人と話すをすることにしました。
「私は王国での噂話のことはやっておりません。誰かが私を嵌めたのです」
毅然とした態度でそういうと貴婦人が口元に手を当てながら笑みを浮かべました。
「それは貴女の主張でしょ?証拠はあるのかしら?」
証拠……そんなものは有りません。
やってもいないことを証明することなんてできるわけがありません。
私は唇を噛みしめてじっと考えました。
どうしたらこの状況を打破できるのか。
私が考え込んでいる時お父様が話し出しました。
「うちの娘、舞は無実です。それは王の御前で証明されました。それが証拠です。貴女こそなぜうちの娘に酷い事を言われるのでしょうか?私は貴女から娘に対しての意地悪をしているとしか思えない」
そう言うと貴婦人が話し出しました。
「それが証拠?そんなの証拠とは言えません。私は断じて認めない!」
そう吐き出しました。
そのやり取りを見ていたアルフォンド侯爵が口を開きました。
「もういい加減にしなさい。舞殿はこの帝国にとってとても重要な役割をしてくれた娘だ。私とキンバリー侯爵の家が親戚同士になればその力は他の貴族をも上回る。発言力も強くなるのだ。舞殿は納得してレイヤードと婚約することに理解してくれている。お前の出る幕ではない」
「お兄様!何をお戯れを」
「戯れているのはお前だ。もうこの話はこれでお仕舞にしよう。お前の意見には従わない。私は今お前たちのやり取りを見ていてそう確信した」
「……っ!!」
『何故お兄様までこの娘の肩を持つのっ!!この娘にその価値があるとでもいうの??』
貴婦人の心の声が聞こえてきました。
私はその様子をじっと見つめています。
隣にはレイヤード様が、お父様が、いてくれています。
これほど力強い味方はいません。
貴婦人が悔しがっているとレイヤード様が話し出しました。
「叔母様。僕の意思は変わらないよ。安心して。両家の架け橋になるよう努力するから」
「レイヤード……貴方がそこまで言うのでしたら…それにお兄様にも……仕方ありませんわね。ですが舞さん。今後貴女の態度次第ではこの婚約は認めませんよ!いいですね!」
「分かりました。私の今後の行動をよく見ていてください。私は逃げも隠れもしませんからっ」
少し強気の発言をすると貴婦人はくるりと背中を向けると部屋から出ていきました。
これで何とか事なきを得たのでしょうか。
「よかったね。舞さん」
「すまなかったな。舞殿」
「よく言った。舞」
残っていた三人にそう言われると急に照れ臭くなってしましました。
珍しく強気に出たのを少し後悔もしましたが、あれくらい言わないと貴婦人は納得してくれないと思ったのです。
最大の山場を凌ぐことが何とか出来てほっとして全身の力が抜け落ちてしまいソファーの上に腰かけました。
入って来たのはレイヤード様でした。
急いで来たのかはぁはぁと息をしながら部屋に入って来たのです。
「叔母様!ちょっと待ってよっ!」
「なんです。なぜ貴方がこんな場所に?学校はどうしたのです」
「そんなことどうでもいいよ。それよりお兄様から訊いたんだけど、舞さんをどうして卑下するの?」
「貴方にはもっとふさわしい女性が必要です。こんな女よりね」
「それは僕が決めることだよ。僕は舞さんと結婚するんだ」
「それがダメなのです。王もすっかりこの娘に騙されたそうですが私は騙されません」
「何がいけないって言うんだ?」
「まず……」
貴婦人は私の過去の噂話をし始めました。
王国追放のきっかけ。
家を潰した事。
悪役非情なことをした事。
どれも私がずっと否定していたことです。
私はこの世界に来てまだ日が浅いのにどうしてそのような事が出来るのか。
何故私が責められなければならいのか。
本当に悔しいです。
眼から涙が溢れ出してきてしまいました。
するとレイヤード様がそれに気づいたのか、私の所へ歩み寄ってきました。
私の手を握り優しく微笑んでくれました。
私は涙をぬぐい貴婦人と話すをすることにしました。
「私は王国での噂話のことはやっておりません。誰かが私を嵌めたのです」
毅然とした態度でそういうと貴婦人が口元に手を当てながら笑みを浮かべました。
「それは貴女の主張でしょ?証拠はあるのかしら?」
証拠……そんなものは有りません。
やってもいないことを証明することなんてできるわけがありません。
私は唇を噛みしめてじっと考えました。
どうしたらこの状況を打破できるのか。
私が考え込んでいる時お父様が話し出しました。
「うちの娘、舞は無実です。それは王の御前で証明されました。それが証拠です。貴女こそなぜうちの娘に酷い事を言われるのでしょうか?私は貴女から娘に対しての意地悪をしているとしか思えない」
そう言うと貴婦人が話し出しました。
「それが証拠?そんなの証拠とは言えません。私は断じて認めない!」
そう吐き出しました。
そのやり取りを見ていたアルフォンド侯爵が口を開きました。
「もういい加減にしなさい。舞殿はこの帝国にとってとても重要な役割をしてくれた娘だ。私とキンバリー侯爵の家が親戚同士になればその力は他の貴族をも上回る。発言力も強くなるのだ。舞殿は納得してレイヤードと婚約することに理解してくれている。お前の出る幕ではない」
「お兄様!何をお戯れを」
「戯れているのはお前だ。もうこの話はこれでお仕舞にしよう。お前の意見には従わない。私は今お前たちのやり取りを見ていてそう確信した」
「……っ!!」
『何故お兄様までこの娘の肩を持つのっ!!この娘にその価値があるとでもいうの??』
貴婦人の心の声が聞こえてきました。
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隣にはレイヤード様が、お父様が、いてくれています。
これほど力強い味方はいません。
貴婦人が悔しがっているとレイヤード様が話し出しました。
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「レイヤード……貴方がそこまで言うのでしたら…それにお兄様にも……仕方ありませんわね。ですが舞さん。今後貴女の態度次第ではこの婚約は認めませんよ!いいですね!」
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最大の山場を凌ぐことが何とか出来てほっとして全身の力が抜け落ちてしまいソファーの上に腰かけました。
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