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22 決着
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次の日。
私は相変わらずというか、マリア―ヌ様達に囲まれていた。
裏庭に連れ込まれて誹謗中傷を受けていたのだ。
それには『泥棒猫』『死んで詫びなさい』『何であんたなんかが王太子様とっ! 釣り合わないわ』など……。
本当に面倒くさい人たちだなと思った。
私の事で迷惑にならないようにリエットとクリシア達にはこのことに首を突っ込まないように言ってある。
勿論王太子にもだ。
私が黙っているとマリア―ヌ様が腕を組んだまま話し出した。
「貴女、プライドというモノは無いの?」
そう言って蔑んだような目で私を見つめた。
私は顔を上げてマリア―ヌ様を見つめて口を開こうとした。
その時後ろから声がした。
私は振り返ってみるとそこ立っていたのはダリウス王太子だったのだ。
ビックリして取り巻き達がオドオドし始めた。
私はどうしてここに居るのと思いながら彼を見つめた。
「もうやめにしないか。こういうことは」
「ダリウス様……わたくしは許せませんのっ。こんな小娘に……」
「其方は分かってない。私が其方と婚約破棄したことと彼女は関係ないのだ。ただ結果として私は彼女を選んだ。ただそれだけの事なのだよ。だからもうこういうことは止めてくれないか?」
「そ、そんな……わたくしが悪いと言いたいのですか?」
「もう決まったことなのだ。数日後には婚約の話は表に出る。それに彼女だって不本意なのだよ。私との婚約は国王と彼女の両親で決めたことなのだから」
そう言って私の手を取って私の目の前に立つと彼の背中を見つめた。
大きな背中。
初めて見るその姿に少し見惚れてしまった。
なんか格好いい。
そんなことを思っている場合じゃないことは分かっているのだけれど……。
「もう止めですわっ! くだらない。さようならですわ」
突然マリア―ヌ様がそう言い放つと取り巻き達はさっさと私の元から姿を消し始めた。
マリア―ヌ様を中心した団体はその場を後にしたのだった。
「大丈夫か?」
「は、はい。有難う御座います。でもこれで何とか話はついたようですね」
「ああ。これで其方との婚約発表が出来るということだ」
「はい……」
本当は嬉しい筈なのに何故か空虚感が私を襲う。
これで本当に良かったのか。
確かに障害は何もなくなったけれど本当にこれでいいのかしら。
私の選択って此れで間違っていないのかしら。
そんな事を考えてしまった。
私の傍には笑顔で見つめている王太子の顔が。
「わたくしはこれでよかったのでしょうか?」
「何を言っている。これでいいのだよ」
「そうでしょうか」
「そうだとも」
王太子はそう言って私の事を抱きしめた。
誰も見ていないのは分かっていたから抵抗することをしなかった。
だかそれを陰で見ていた人が居たことに気が付かなかった。
本当は一部始終このことを見ていた人物がいたのだった。
私は相変わらずというか、マリア―ヌ様達に囲まれていた。
裏庭に連れ込まれて誹謗中傷を受けていたのだ。
それには『泥棒猫』『死んで詫びなさい』『何であんたなんかが王太子様とっ! 釣り合わないわ』など……。
本当に面倒くさい人たちだなと思った。
私の事で迷惑にならないようにリエットとクリシア達にはこのことに首を突っ込まないように言ってある。
勿論王太子にもだ。
私が黙っているとマリア―ヌ様が腕を組んだまま話し出した。
「貴女、プライドというモノは無いの?」
そう言って蔑んだような目で私を見つめた。
私は顔を上げてマリア―ヌ様を見つめて口を開こうとした。
その時後ろから声がした。
私は振り返ってみるとそこ立っていたのはダリウス王太子だったのだ。
ビックリして取り巻き達がオドオドし始めた。
私はどうしてここに居るのと思いながら彼を見つめた。
「もうやめにしないか。こういうことは」
「ダリウス様……わたくしは許せませんのっ。こんな小娘に……」
「其方は分かってない。私が其方と婚約破棄したことと彼女は関係ないのだ。ただ結果として私は彼女を選んだ。ただそれだけの事なのだよ。だからもうこういうことは止めてくれないか?」
「そ、そんな……わたくしが悪いと言いたいのですか?」
「もう決まったことなのだ。数日後には婚約の話は表に出る。それに彼女だって不本意なのだよ。私との婚約は国王と彼女の両親で決めたことなのだから」
そう言って私の手を取って私の目の前に立つと彼の背中を見つめた。
大きな背中。
初めて見るその姿に少し見惚れてしまった。
なんか格好いい。
そんなことを思っている場合じゃないことは分かっているのだけれど……。
「もう止めですわっ! くだらない。さようならですわ」
突然マリア―ヌ様がそう言い放つと取り巻き達はさっさと私の元から姿を消し始めた。
マリア―ヌ様を中心した団体はその場を後にしたのだった。
「大丈夫か?」
「は、はい。有難う御座います。でもこれで何とか話はついたようですね」
「ああ。これで其方との婚約発表が出来るということだ」
「はい……」
本当は嬉しい筈なのに何故か空虚感が私を襲う。
これで本当に良かったのか。
確かに障害は何もなくなったけれど本当にこれでいいのかしら。
私の選択って此れで間違っていないのかしら。
そんな事を考えてしまった。
私の傍には笑顔で見つめている王太子の顔が。
「わたくしはこれでよかったのでしょうか?」
「何を言っている。これでいいのだよ」
「そうでしょうか」
「そうだとも」
王太子はそう言って私の事を抱きしめた。
誰も見ていないのは分かっていたから抵抗することをしなかった。
だかそれを陰で見ていた人が居たことに気が付かなかった。
本当は一部始終このことを見ていた人物がいたのだった。
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