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19 告白

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「それでどうすればいいのかを考えていた。其方の事を大切にするためにはどうすればいいのかをな。それが先程行ったことになるのだが……どうだろうか」
「それはお互いこれから考えればいいことなのでは?」
「そうだな…とりあえずは報告までだ……では、またな」


ダリウス王太子はそう言って姿を消した。
その場に残った私はため息をついた。
これでまたマリア―ヌ様達の嫌がらせが増えるかも知れない。
リエットやクリシア達に迷惑を掛けるわけにはいかないな……。


「取り敢えず戻りますか」

私はお弁当箱をしまい屋上の扉を開けてその場を後にした。
屋上から戻るとリエットが私の元に来て色々話をしていた。
私がいなかったことで寂しかったのだろう。
不安げな顔をしながら寄り添ってくる様子を例えるなら子犬のように可愛らしい。
その傍にはクリシアが微笑みながら見守っている。


午後の授業は魔法歴史についてだった。
この学園に入る前に各貴族の子供たちは自宅で家庭教師を雇い一通り魔法について勉強させられていた。
勿論私もその一人だった。
前世では女子高生で何のとりえもなかった私だけどここでは優秀な魔法使い。
膨大な魔力を秘めていることでその扱いにも慎重にするよう幼い頃から言われ続けていた。


歴史は苦手だ。
何せ難しい事は分からない。
なぜ魔法が貴族だけに与えられた特権なのか、どうして魔法が使えるようになったのか、その起源は何なのか。
未だに分からないことだらけらしい。
その分からないことを分かった部分のみ抽出して勉強することになっている。
分からないことを分からない人が訳の分からないこじつけで教えている。
全く滑稽な話だ。


やっと授業も終わってさ、帰るぞという時にアドルフ達が声を掛けてきた。
そうだ、アドルフには王太子の事を言わないといけないよな。
そう思った私はアドルフと話があると持ち掛け二人だけで喫茶店に向かうことにした。
前に行ったところだ。


「それで、どうしたんだ?」


カップを持ち上げながら話し出したのアドルフだった。
私はカップに口を付けて紅茶を啜ってから話し出した。


「実はね、私とダリウス王太子の婚約が正式に決まったの」
「ええっ!?」


驚いたアドルフが持っていたカップをおいて私の事を見つめている。
あまりにも突然の告白で踊り気を隠せないでいる様子だった。
確かにそうだろう。
あれだけ私はダリウス王太子との婚約に固辞していたことだったのに急にこんな話になってしまえば誰だって驚く。
私はカップをおいて話を続けた。


「色々あったの。それでお父様やお母様との話し合いもあって。それで私はアドルフ、色々貴方には助けて貰ったから教えておこうと思って。まだ正式発表はされないのだけれど……」
「そ、そうなんだ……そっか……そう言う事か……」

アドフルはそう言って顎に手を当てながら頷いた。
私はカップをまた手にして残っていた紅茶を啜った。
美味しい口いっぱい広がる味。これで何も言う事はない。
後はリエットたちに話をするだけだと私は思った。

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