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18 屋上
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アドルフに連れられたまま講堂に着くとリエットたちが私の事を心配そうな表情で待っていた。
既にアドルフは講堂の中に入ったところで手を放してくれていた。
胸の中のドキドキが収まることを知らない……。
でも私の事を心配してくれる二人を私は大丈夫だと言い彼女らの不安を取り除く。
こんな私にも優しくしてくれる友達が居るんだわ。
そう思うと本当に嬉しく思ってくる。
前世のエリート官僚の時は誰も友達と呼べる人はいなかった。
それは男女問わず。
私にはゲームしかなかった。
乙女ゲーム……今この世界そのものが私の理想……だったのに。
何故か悪役令嬢達に絡まれて、しかも私はダリウス王太子と婚約する羽目になってしまって。
いい事なんだろうけれど周りに敵は作りたくない。
午前中、魔法講義が終わり午後のお昼休憩の時間になった。
ひときわ目立つ私達。
イケメン2人と美女2人に囲まれて居たらそら目立つわな。
私は一人になりたいとみんなに告げて一人講堂を後にした。
ひっそりとした所でご飯が食べたい。
屋上に向かって階段を上って屋上の扉の前に着いた。
息をすっと吸ってゆっくりと吐いてからドアの扉を開ける。
すると気持ちの良い風と共に光り輝く太陽、青い空が目の前に広がった。
「綺麗な場所……」
私はベンチが置いて居あるところに向かって歩く。
恐らく誰もいないここはまるで天国のような清々しい場所だ。
偶にならこの場所で本でも読んで見てもいいと思う。
そんな事を考えながら屋敷から持ってきたお弁当を開けた。
色とりどりの食事が入っているメイド達の手料理弁当。
私はフォークを握り料理を口に運ぶ。
美味しい卵料理。
ニガウリが入っているだろうか、少し苦みが口の中に広がってゆく。
「おいしいわ」
「そんなにおいしいのか? 一人のご飯って」
だ、誰っ!!
私は周りをキョロキョロ首を左右に振るが誰もいない。
気の所為かしら……。
私は再び弁当の料理に口を付ける。
美味しいサラダ。
トマトが甘くておいしい。
するとまた声が聞こえた。
「一人で寂しくないのか?」
「だ、誰ですかっ!?」
「私だ私、覚えておらぬのか?」
「あ、貴方は……」
ダリウス王太子だった。
何処からいつから見ていたのか分からないがなんだか恥ずかしくなってきてしまった。
自分でも分かるくらい顔が赤くなっているのが分かるくらい熱い。
あわあわしている私の顔を見ると王太子は笑いながら話し出した。
「そんなに驚くことでもないだろう。それより何で一人でおるのだ? 皆とは仲良くしていたのではないのか?」
「一人で食事がしたかったのです。色々と考えがありますし」
「私たちの事か……それは済まないな。あれから色々考えたのだが少し話をしても良いか?」
「あ、はい。何でしょう」
「うむ―――――」
王太子が言うにはこういうことだ。
取り敢えず婚約話は延期することにしようという事。
それとしっかりと周りに理解を貰うまでは今まで通りにするということ。
後王太子側からマリア―ヌを説得して私の嫌がらせを止めさせること。
この条件を言ってきたのだ。
「私がマリア―ヌ様達に嫌がらせを受けていたこと、知っていたのですか?」
「ああ。知っていた」
それは意外な言葉だった。
既にアドルフは講堂の中に入ったところで手を放してくれていた。
胸の中のドキドキが収まることを知らない……。
でも私の事を心配してくれる二人を私は大丈夫だと言い彼女らの不安を取り除く。
こんな私にも優しくしてくれる友達が居るんだわ。
そう思うと本当に嬉しく思ってくる。
前世のエリート官僚の時は誰も友達と呼べる人はいなかった。
それは男女問わず。
私にはゲームしかなかった。
乙女ゲーム……今この世界そのものが私の理想……だったのに。
何故か悪役令嬢達に絡まれて、しかも私はダリウス王太子と婚約する羽目になってしまって。
いい事なんだろうけれど周りに敵は作りたくない。
午前中、魔法講義が終わり午後のお昼休憩の時間になった。
ひときわ目立つ私達。
イケメン2人と美女2人に囲まれて居たらそら目立つわな。
私は一人になりたいとみんなに告げて一人講堂を後にした。
ひっそりとした所でご飯が食べたい。
屋上に向かって階段を上って屋上の扉の前に着いた。
息をすっと吸ってゆっくりと吐いてからドアの扉を開ける。
すると気持ちの良い風と共に光り輝く太陽、青い空が目の前に広がった。
「綺麗な場所……」
私はベンチが置いて居あるところに向かって歩く。
恐らく誰もいないここはまるで天国のような清々しい場所だ。
偶にならこの場所で本でも読んで見てもいいと思う。
そんな事を考えながら屋敷から持ってきたお弁当を開けた。
色とりどりの食事が入っているメイド達の手料理弁当。
私はフォークを握り料理を口に運ぶ。
美味しい卵料理。
ニガウリが入っているだろうか、少し苦みが口の中に広がってゆく。
「おいしいわ」
「そんなにおいしいのか? 一人のご飯って」
だ、誰っ!!
私は周りをキョロキョロ首を左右に振るが誰もいない。
気の所為かしら……。
私は再び弁当の料理に口を付ける。
美味しいサラダ。
トマトが甘くておいしい。
するとまた声が聞こえた。
「一人で寂しくないのか?」
「だ、誰ですかっ!?」
「私だ私、覚えておらぬのか?」
「あ、貴方は……」
ダリウス王太子だった。
何処からいつから見ていたのか分からないがなんだか恥ずかしくなってきてしまった。
自分でも分かるくらい顔が赤くなっているのが分かるくらい熱い。
あわあわしている私の顔を見ると王太子は笑いながら話し出した。
「そんなに驚くことでもないだろう。それより何で一人でおるのだ? 皆とは仲良くしていたのではないのか?」
「一人で食事がしたかったのです。色々と考えがありますし」
「私たちの事か……それは済まないな。あれから色々考えたのだが少し話をしても良いか?」
「あ、はい。何でしょう」
「うむ―――――」
王太子が言うにはこういうことだ。
取り敢えず婚約話は延期することにしようという事。
それとしっかりと周りに理解を貰うまでは今まで通りにするということ。
後王太子側からマリア―ヌを説得して私の嫌がらせを止めさせること。
この条件を言ってきたのだ。
「私がマリア―ヌ様達に嫌がらせを受けていたこと、知っていたのですか?」
「ああ。知っていた」
それは意外な言葉だった。
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