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本編 魔神の誕生と滅びの帝都
25 パタンと倒れるパターンだ
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「そもそも死に戻りって、どの時点まで遡るんだ?」
俺はエスフェリアに聞いた。
「ギスケと最初に会った日の三日前。
私の9歳の誕生日が終わった直後です。」
お前、9歳だったのか。
あまりにしっかりしているから、もう少し上かと思ってた。
おそらくこの国の皇族は、英才教育でも受けているんだろうな。
「それなら街で俺に会った時にその話をした方が早かっただろ。
おかげで面倒なことに巻き込まれたぞ。」
「もちろんそのパターンも試しました。
協力が得られないパターンと、ギスケの魔法の力が使えないパターン。
どっちも最悪の結果です。
一番成功するのはこのタイミングでした。
そして今回はその内容をなぞって行動しました。」
「お・・・おう、そうか。」
死に戻り系の話はいくつか知っている。
主人公が何度も死にながら、最適なパターンを模索する内容だ。
先のことが分かるから、それに合わせて最速パターンで行動しようとすると、周りの理解が得られず失敗したり、必要なフラグが立たずに次のイベントが発生したりする。
死に戻り13回目らしいが、並の精神力ではもたないだろう。
しかしどちらかというと死に戻りって異世界転移してきた俺がやるべきなんじゃ無いのか?
なんでヒロインっぽいこいつが死に戻りしているんだ?
「とりあえず俺はこの先どう行動するのが適切なんだ?」
「まずは魔法の力を身に付けてください。
その為にこれを受け取って。」
俺は紐で束ねられた紙の束を受け取る。
「これは?」
「魔術師オルドウルの研究レポートです。
アグレスに命じて、廃棄場から拾い集めました。」
「オルドウル?」
「少し前までここで魔術研究をしていた魔術師で、魔法は算術だという理論を唱えていました。
他の魔術師から煙たがられて、ミスを理由に辺境に飛ばされたようです。
以前の周回で偶然これを見つけたあなたは、内容を見て魔法の研究を飛躍的に発展させました。」
なんだ、この世界にも分かっている奴がいたんじゃないか。
アホばかりだと誤解するところだったぜ。
「分かった。
魔法の研究を進めればいいんだな。」
「はい。
それから、魔王アストレイアがここに攻めてくる前に、まずは魔族の襲撃があります。
最初はそれに備えてください。
刻限は一週間後。
そして狙いはギスケ、あなたです。
ただ、襲撃のパターンに揺らぎがあって、どこから来るのかは微妙。
一応、今までの内容を伝えますね。」
俺は襲撃者の能力や襲撃場所と方法を聞く。
「そもそもなんで俺を狙ってくるんだ?」
「それは分かりません。
ギスケが凄い力を身に付けるのを、何らかの手段で知ったのかもしれません。」
「期限は一週間か。
そんなんで魔族の手練れに俺は勝てるのか?」
「今まであなたが襲撃者に負けたパターンは一度もありません。
イリンやアグレスが死ぬパターンならありますが・・・。」
「お、おい・・・。」
「あなたが・・・ギスケが強くなれば、誰も犠牲は出ない。
・・・。
お願いします、どうかみんなを助けてください。」
エスフェリアの瞳から、涙がこぼれ落ちる。
ここまで淡々と話してきた彼女も、本当は必死だったのだ。
「分かった。
必ず誰も犠牲を出さずにクリアしてやる。」
俺はエスフェリアに誓った。
俺はエスフェリアに聞いた。
「ギスケと最初に会った日の三日前。
私の9歳の誕生日が終わった直後です。」
お前、9歳だったのか。
あまりにしっかりしているから、もう少し上かと思ってた。
おそらくこの国の皇族は、英才教育でも受けているんだろうな。
「それなら街で俺に会った時にその話をした方が早かっただろ。
おかげで面倒なことに巻き込まれたぞ。」
「もちろんそのパターンも試しました。
協力が得られないパターンと、ギスケの魔法の力が使えないパターン。
どっちも最悪の結果です。
一番成功するのはこのタイミングでした。
そして今回はその内容をなぞって行動しました。」
「お・・・おう、そうか。」
死に戻り系の話はいくつか知っている。
主人公が何度も死にながら、最適なパターンを模索する内容だ。
先のことが分かるから、それに合わせて最速パターンで行動しようとすると、周りの理解が得られず失敗したり、必要なフラグが立たずに次のイベントが発生したりする。
死に戻り13回目らしいが、並の精神力ではもたないだろう。
しかしどちらかというと死に戻りって異世界転移してきた俺がやるべきなんじゃ無いのか?
なんでヒロインっぽいこいつが死に戻りしているんだ?
「とりあえず俺はこの先どう行動するのが適切なんだ?」
「まずは魔法の力を身に付けてください。
その為にこれを受け取って。」
俺は紐で束ねられた紙の束を受け取る。
「これは?」
「魔術師オルドウルの研究レポートです。
アグレスに命じて、廃棄場から拾い集めました。」
「オルドウル?」
「少し前までここで魔術研究をしていた魔術師で、魔法は算術だという理論を唱えていました。
他の魔術師から煙たがられて、ミスを理由に辺境に飛ばされたようです。
以前の周回で偶然これを見つけたあなたは、内容を見て魔法の研究を飛躍的に発展させました。」
なんだ、この世界にも分かっている奴がいたんじゃないか。
アホばかりだと誤解するところだったぜ。
「分かった。
魔法の研究を進めればいいんだな。」
「はい。
それから、魔王アストレイアがここに攻めてくる前に、まずは魔族の襲撃があります。
最初はそれに備えてください。
刻限は一週間後。
そして狙いはギスケ、あなたです。
ただ、襲撃のパターンに揺らぎがあって、どこから来るのかは微妙。
一応、今までの内容を伝えますね。」
俺は襲撃者の能力や襲撃場所と方法を聞く。
「そもそもなんで俺を狙ってくるんだ?」
「それは分かりません。
ギスケが凄い力を身に付けるのを、何らかの手段で知ったのかもしれません。」
「期限は一週間か。
そんなんで魔族の手練れに俺は勝てるのか?」
「今まであなたが襲撃者に負けたパターンは一度もありません。
イリンやアグレスが死ぬパターンならありますが・・・。」
「お、おい・・・。」
「あなたが・・・ギスケが強くなれば、誰も犠牲は出ない。
・・・。
お願いします、どうかみんなを助けてください。」
エスフェリアの瞳から、涙がこぼれ落ちる。
ここまで淡々と話してきた彼女も、本当は必死だったのだ。
「分かった。
必ず誰も犠牲を出さずにクリアしてやる。」
俺はエスフェリアに誓った。
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