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135 いい角度からの威嚇

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 私は自分のステータスを確認する。

 名前  ボロディア
 職業  剣士(見習い)
 レベル 5
 スキル 斬撃補正Lv1 打撃補正Lv1
 体力  42/50
 魔力  10/10
 状態  通常

 ついでに武器の状態を見る。

 安物の剣 
  基本攻撃力 12
  強化補正  4
  練度補正  12
  消耗補正  -5


 現在私がいるのは、トルキア大空洞の地下一階。
 チュートリアル的な場所である。
 この階層のボスはボブゴブリンLv4。
 事前にレベルを上げていけば、ソロでも何とかなる敵だ。  

 さらに管理者権限を使いサーバの状態を確認。

 サーバノード番号 1(3)
 CPU使用率 34%
 メモリ使用率 22%
 エラー発生 350回/時 

 ちょっとエラーが多い。
 私はログを確認して、沢山のエラーを出しているモジュールを切り離す。
 今回はエフェクトの状態を送るためのモジュールなので、切り離しても問題は無い。
 このシステムは多少エラーでは鯖そのものがダウンするようなことは無い。
 しかしモジュールがクラッシュするたびに、再ロード用のスレッドが走るのはよろしくない。
 後で修正の必要がある。

 そして私は大きな扉の前に立つ。
 この先はボス部屋だ。
 自分で作ったはずなのに、初めてのボス戦はなかなか緊張してしまう。
 ステータスに脈拍数の上昇が表示される。
 ウエアラブル端末と連携して、体の状況に合わせたボーナスが付くようになっている。
 端末を身につけていない人は、単純にそのボーナスを得られない仕様になっている。

 扉を開け中に入る。
 するとそこにまた扉がある。
 入ってきた方の扉を閉めると次の扉が開く仕組みだ。
 これはボスと戦える最大人数を調整するためだ。
 そうしないとゲームバランスが崩壊してしまうからね。
 適正人数は四人。
 それ以上だと、次の扉が開かない仕組みになっている。

 私には仲間がいない。
 何故なら、まだ自分だけでテストしている段階だからだ。
 そして私はボス部屋に通じる扉を開いた。

 ボブゴブリンは幅広な剣を手に持ち佇んでいた。
 私は一気に突入する。
 安物の剣を大ぶりし、ボブゴブリンを攻撃。
 ガっという手応えがあった。

「ギヒャァァ。」

 ボブゴブリンが威嚇なのか悲鳴なのか分からない声をあげる。
 こんな声を実装した記憶は無い。
 GISUKEがやったのか?

 今度はボブゴブリンの攻撃だ。
 一撃目で体勢を崩していた私は、もろにその攻撃を受ける。
 左腕に衝撃を感じる。
 私は身体ごと吹っ飛ばされる。
 それに続いて強烈なしびれを伴う感覚と痛み。
 痛み?

「え?」

 ちょっと待て。
 そういえば、何かおかしい。
 この世界はGISUKEによってリアルに作られている。
 しかし360度、私がどこを見渡してもこの世界なのだ。
 自分の部屋がどこにも無い。
 私が使っているのはVRではない。
 ただの液晶ディスプレイなのだ。

 ボブゴブリンが迫ってくる。
 幅広の剣は僕の血で、少しだけ赤く染まっていた。

「まてまてまてまて。」

 その叫びも空しく、ボブゴブリンが幅広の剣を振り上げる。
 私は何とか体勢を立て直し、入ってきた扉に向けて駆け出そうとする。
 背中から鈍い衝撃が体に走った。

「うわぁぁぁ。」

 私は叫ぶ。
 全てが終わった。

 ・・・・。
 ・・・・。

 私は飛び起きた。
 そこは・・・自分の部屋だった。

「夢か?」

 どうやら寝落ちしてしまったようだ。

「痛い。」

 私は左腕をさする。
 痺れていた。
 たぶん変な体勢で寝てしまっていたのだろう。
 じんじんする左腕。

 気が付くと体中が汗でべとべとになっている。
 この気持ち悪い汗を流そうと風呂へ向かう。
 服の中に手を突っ込んで、背中にしたたる汗をぬぐう。
 べちゃべちゃで凄い量だ。

 そしてふと気付く。
 汗をぬぐった手が赤いことに。
 これ汗じゃ無い・・・。
 赤黒い血だ。
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