82 / 208
四章 予想はよそう、第四層
82 恨めしい裏
しおりを挟む
微妙な音の警告音が響く。どうやら転送エラーになったようだ。心配になって身体の様子を一応確認したけれど、特に変化は無い。そもそも転送が開始されていないので、ハエ男になってしまうようなことは無いはずだ。失敗の原因として、人間が駄目なのか、生き物一般が駄目なのか分からない。しかしとにかく転送が出来ない。
逆に一つ出来ることを発見した。転送装置を経由して、ノートPCとジャンク製造工場のネットワークを接続が可能なようだ。これで作成中ロボットの進行状況がリアルタイムに分かる。さらに転送装置を持ち出すことによって、遠隔地からの追加素材投入も可能となった。手に入れた素材をすぐにロボット製造に利用することが出来る。でも、あまりやり過ぎると売るものがなくなり、金欠で僕が死ぬのは確実だ。
とりあえず製造部分に関しては、これ以上することは無い。他に何か無いかとシステムを弄っていくと、第四層のフィールド情報へアクセスすることが出来た。これはもしや、ボス部屋がどこか検索できるんじゃないか?
さっそくボス部屋の位置を調べてみる。そしてあっさりと結果が返ってきた。マップにどくろマークが表示されている。ええっと、ドームの位置関係から考えて、ふむふむここか。
・・・
・・・
・・・
場所は分かった。しかし頭が理解を拒否していた。情報を飲み込むことが出来ない。よりにもよって、あの場所がボス部屋の入り口だとは・・・。
ボス部屋の場所は、第四層入り口を裏側に回り込んだ場所だった。
「くそぉぉぉ、やられたぁぁぁぁ!!!!」
気がつくと僕は叫んでいた。文字通り、完全に裏をかかれた格好だ。ゴールは入り口の裏にあったのだ。最初からその事実を知っていたら、第四層は探索する必要すら無い場所だったのだ。下手をすると、今いるジャンク製造工場まで来た間抜けな人間は、僕ぐらいなものなのかもしれない。
そういえば僕がジャンクを連れていると、他の冒険者達から口々に珍しがられた気がする。その理由はテイムする難易度だけでは無かったのだ。やられた、本当にやられた。しかし多少なりとも第三層にジャンクパーツが並んでいたんだから、僕と同じように探索した人がいるんだよね。
僕はジャンク製造工場から外に出た。そこで空気を一回深く吸い、そして吐き出す。第四層の天気は良く晴れている。僕は魔法の袋から装甲車を出して、来た道を引き返すことにした。
一切寄り道をせずに進むこと2時間、ようやく戻ってくることが出来た。さっそく入り口の裏を確認すると、そこにはあった。ボス部屋の扉だ。仲間をゲットしたり、ジャンク製造工場での収穫を考えると、第四層探索が無駄とは言い切れないけれど、何だろうこの悔しさは。
運転し続けていて疲れてたので、ボス戦前に一休みすることにした。箱庭に入って、以前に大量に買い込んだ保存食を食べる。考えてみるとキッチンがあるので、料理をすることも可能なんだよね。僕は料理が得意なわけでは無いけれど、肉を焼くぐらいは出来る。しかし残念ながら、箱庭ハウスにはフライパンなどの調理道具まで用意されていなかった。まあ、その辺りはまた今度で良いだろう。
食事を終えた僕は、何気なく転移の水晶を眺めた。転移先が第三層の町の入り口に設定されているので、その場所を映し出すことが出来るのだ。フィールドにしか設定できないけれど、ある意味監視カメラ的な使い方も可能なのだ。
お茶を飲みながら町の入り口を見ていると、冒険者が何度か出入りしている光景が映し出された。僕は冷やしたお茶を飲みながら、ぼうっとその光景を見ていた。
「ブゥゥゥゥゥ、グハァ、ゲホゲホ」
僕はお茶を吹き出してむせ返る。見てはいけないものを見てしまった。ついに来てしまったのだ。彼女が・・・。
その名はリコッテ。僕の幼なじみで村長の孫。大賢者リコリースの子孫で、既に大魔術師としての片鱗を見せている。そして僕にとってのターミネーター。
サドンから事実を告げられたとき、ある程度の覚悟はしていた。いや、覚悟したつもりになっていただけだったようだ。身体がガタガタと震え始める。ぶっちゃけこれから戦うボスよりも、リコッテの方が怖い。
彼女は二人の仲間を連れて町の中へ入っていった。一人知らない人物が増えている。綺麗で上品そうな女性だった。格好から考えて、回復担当の魔術師かな。攻撃担当の魔術師は十分に間に合っているだろうし。
身の危険を感じた僕は箱庭から出てボス部屋の扉に近づく。ボス部屋が避難先のようにすら感じられる。
グィィィィン
さすがは第四層、ボス部屋の扉は自動で開く。そして特に部屋に入るのにキーのような物は必要としない。やっぱり探索しなくても良かったらしい。さあ、第四層のボスとの戦いだ。
逆に一つ出来ることを発見した。転送装置を経由して、ノートPCとジャンク製造工場のネットワークを接続が可能なようだ。これで作成中ロボットの進行状況がリアルタイムに分かる。さらに転送装置を持ち出すことによって、遠隔地からの追加素材投入も可能となった。手に入れた素材をすぐにロボット製造に利用することが出来る。でも、あまりやり過ぎると売るものがなくなり、金欠で僕が死ぬのは確実だ。
とりあえず製造部分に関しては、これ以上することは無い。他に何か無いかとシステムを弄っていくと、第四層のフィールド情報へアクセスすることが出来た。これはもしや、ボス部屋がどこか検索できるんじゃないか?
さっそくボス部屋の位置を調べてみる。そしてあっさりと結果が返ってきた。マップにどくろマークが表示されている。ええっと、ドームの位置関係から考えて、ふむふむここか。
・・・
・・・
・・・
場所は分かった。しかし頭が理解を拒否していた。情報を飲み込むことが出来ない。よりにもよって、あの場所がボス部屋の入り口だとは・・・。
ボス部屋の場所は、第四層入り口を裏側に回り込んだ場所だった。
「くそぉぉぉ、やられたぁぁぁぁ!!!!」
気がつくと僕は叫んでいた。文字通り、完全に裏をかかれた格好だ。ゴールは入り口の裏にあったのだ。最初からその事実を知っていたら、第四層は探索する必要すら無い場所だったのだ。下手をすると、今いるジャンク製造工場まで来た間抜けな人間は、僕ぐらいなものなのかもしれない。
そういえば僕がジャンクを連れていると、他の冒険者達から口々に珍しがられた気がする。その理由はテイムする難易度だけでは無かったのだ。やられた、本当にやられた。しかし多少なりとも第三層にジャンクパーツが並んでいたんだから、僕と同じように探索した人がいるんだよね。
僕はジャンク製造工場から外に出た。そこで空気を一回深く吸い、そして吐き出す。第四層の天気は良く晴れている。僕は魔法の袋から装甲車を出して、来た道を引き返すことにした。
一切寄り道をせずに進むこと2時間、ようやく戻ってくることが出来た。さっそく入り口の裏を確認すると、そこにはあった。ボス部屋の扉だ。仲間をゲットしたり、ジャンク製造工場での収穫を考えると、第四層探索が無駄とは言い切れないけれど、何だろうこの悔しさは。
運転し続けていて疲れてたので、ボス戦前に一休みすることにした。箱庭に入って、以前に大量に買い込んだ保存食を食べる。考えてみるとキッチンがあるので、料理をすることも可能なんだよね。僕は料理が得意なわけでは無いけれど、肉を焼くぐらいは出来る。しかし残念ながら、箱庭ハウスにはフライパンなどの調理道具まで用意されていなかった。まあ、その辺りはまた今度で良いだろう。
食事を終えた僕は、何気なく転移の水晶を眺めた。転移先が第三層の町の入り口に設定されているので、その場所を映し出すことが出来るのだ。フィールドにしか設定できないけれど、ある意味監視カメラ的な使い方も可能なのだ。
お茶を飲みながら町の入り口を見ていると、冒険者が何度か出入りしている光景が映し出された。僕は冷やしたお茶を飲みながら、ぼうっとその光景を見ていた。
「ブゥゥゥゥゥ、グハァ、ゲホゲホ」
僕はお茶を吹き出してむせ返る。見てはいけないものを見てしまった。ついに来てしまったのだ。彼女が・・・。
その名はリコッテ。僕の幼なじみで村長の孫。大賢者リコリースの子孫で、既に大魔術師としての片鱗を見せている。そして僕にとってのターミネーター。
サドンから事実を告げられたとき、ある程度の覚悟はしていた。いや、覚悟したつもりになっていただけだったようだ。身体がガタガタと震え始める。ぶっちゃけこれから戦うボスよりも、リコッテの方が怖い。
彼女は二人の仲間を連れて町の中へ入っていった。一人知らない人物が増えている。綺麗で上品そうな女性だった。格好から考えて、回復担当の魔術師かな。攻撃担当の魔術師は十分に間に合っているだろうし。
身の危険を感じた僕は箱庭から出てボス部屋の扉に近づく。ボス部屋が避難先のようにすら感じられる。
グィィィィン
さすがは第四層、ボス部屋の扉は自動で開く。そして特に部屋に入るのにキーのような物は必要としない。やっぱり探索しなくても良かったらしい。さあ、第四層のボスとの戦いだ。
0
お気に入りに追加
366
あなたにおすすめの小説
【完結】彼女以外、みんな思い出す。
❄️冬は つとめて
ファンタジー
R15をつける事にしました。
幼い頃からの婚約者、この国の第二王子に婚約破棄を告げられ。あらぬ冤罪を突きつけられたリフィル。この場所に誰も助けてくれるものはいない。
他国から来た王妃ですが、冷遇? 私にとっては厚遇すぎます!
七辻ゆゆ
ファンタジー
人質同然でやってきたというのに、出されるご飯は母国より美味しいし、嫌味な上司もいないから掃除洗濯毎日楽しいのですが!?
私と母のサバイバル
だましだまし
ファンタジー
侯爵家の庶子だが唯一の直系の子として育てられた令嬢シェリー。
しかしある日、母と共に魔物が出る森に捨てられてしまった。
希望を諦めず森を進もう。
そう決意するシャリーに異変が起きた。
「私、別世界の前世があるみたい」
前世の知識を駆使し、二人は無事森を抜けられるのだろうか…?
【本編完結】さようなら、そしてどうかお幸せに ~彼女の選んだ決断
Hinaki
ファンタジー
16歳の侯爵令嬢エルネスティーネには結婚目前に控えた婚約者がいる。
23歳の公爵家当主ジークヴァルト。
年上の婚約者には気付けば幼いエルネスティーネよりも年齢も近く、彼女よりも女性らしい色香を纏った女友達が常にジークヴァルトの傍にいた。
ただの女友達だと彼は言う。
だが偶然エルネスティーネは知ってしまった。
彼らが友人ではなく想い合う関係である事を……。
また政略目的で結ばれたエルネスティーネを疎ましく思っていると、ジークヴァルトは恋人へ告げていた。
エルネスティーネとジークヴァルトの婚姻は王命。
覆す事は出来ない。
溝が深まりつつも結婚二日前に侯爵邸へ呼び出されたエルネスティーネ。
そこで彼女は彼の私室……寝室より聞こえてくるのは悍ましい獣にも似た二人の声。
二人がいた場所は二日後には夫婦となるであろうエルネスティーネとジークヴァルトの為の寝室。
これ見よがしに少し開け放たれた扉より垣間見える寝台で絡み合う二人の姿と勝ち誇る彼女の艶笑。
エルネスティーネは限界だった。
一晩悩んだ結果彼女の選んだ道は翌日愛するジークヴァルトへ晴れやかな笑顔で挨拶すると共にバルコニーより身を投げる事。
初めて愛した男を憎らしく思う以上に彼を心から愛していた。
だから愛する男の前で死を選ぶ。
永遠に私を忘れないで、でも愛する貴方には幸せになって欲しい。
矛盾した想いを抱え彼女は今――――。
長い間スランプ状態でしたが自分の中の性と生、人間と神、ずっと前からもやもやしていたものが一応の答えを導き出し、この物語を始める事にしました。
センシティブな所へ触れるかもしれません。
これはあくまで私の考え、思想なのでそこの所はどうかご容赦して下さいませ。
愛することをやめたら、怒る必要もなくなりました。今さら私を愛する振りなんて、していただかなくても大丈夫です。
石河 翠
恋愛
貴族令嬢でありながら、家族に虐げられて育ったアイビー。彼女は社交界でも人気者の恋多き侯爵エリックに望まれて、彼の妻となった。
ひとなみに愛される生活を夢見たものの、彼が欲していたのは、夫に従順で、家の中を取り仕切る女主人のみ。先妻の子どもと仲良くできない彼女をエリックは疎み、なじる。
それでもエリックを愛し、結婚生活にしがみついていたアイビーだが、彼の子どもに言われたたった一言で心が折れてしまう。ところが、愛することを止めてしまえばその生活は以前よりも穏やかで心地いいものになっていて……。
愛することをやめた途端に愛を囁くようになったヒーローと、その愛をやんわりと拒むヒロインのお話。
この作品は他サイトにも投稿しております。
扉絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品(写真ID 179331)をお借りしております。
いきなり異世界って理不尽だ!
みーか
ファンタジー
三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。
自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!
[完結]回復魔法しか使えない私が勇者パーティを追放されたが他の魔法を覚えたら最強魔法使いになりました
mikadozero
ファンタジー
3月19日 HOTランキング4位ありがとうございます。三月二十日HOTランキング2位ありがとうございます。
ーーーーーーーーーーーーー
エマは突然勇者パーティから「お前はパーティを抜けろ」と言われて追放されたエマは生きる希望を失う。
そんなところにある老人が助け舟を出す。
そのチャンスをエマは自分のものに変えようと努力をする。
努力をすると、結果がついてくるそう思い毎日を過ごしていた。
エマは一人前の冒険者になろうとしていたのだった。
婚約破棄をされた悪役令嬢は、すべてを見捨てることにした
アルト
ファンタジー
今から七年前。
婚約者である王太子の都合により、ありもしない罪を着せられ、国外追放に処された一人の令嬢がいた。偽りの悪業の経歴を押し付けられ、人里に彼女の居場所はどこにもなかった。
そして彼女は、『魔の森』と呼ばれる魔窟へと足を踏み入れる。
そして現在。
『魔の森』に住まうとある女性を訪ねてとある集団が彼女の勧誘にと向かっていた。
彼らの正体は女神からの神託を受け、結成された魔王討伐パーティー。神託により指名された最後の一人の勧誘にと足を運んでいたのだが——。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる