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終章 世界の終わりと創世の伝説

245 支店の人達は知ってんの?

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 僕達三人は混乱するエンプティモの街を駆け抜ける。
 僕だけ死にそうな顔をして走っているのは、二人の体力が異常だからだ。
 決して僕が虚弱なわけでは無い。
 そしてレイネスの支店へ到着した。

 僕は支店の人員にプランZを通知する。
 その指示を聞いた面々が、青い顔をし、そして諦めたような表情をする。
 しばらく間があった後、決意を固めた顔になった。

 エリッタには周辺の住民に避難を呼びかけてもらった。
 支店の回りは危険な状況となる。
 ここにある武器弾薬を全て爆破するからだ。
 できる限り被害が出ないように、地下倉庫で全てを始末する。
 しかしその上に建っている建物は、間違いなく倒壊するだろう。

 クーデター計画を知った時、念のためのつもりでプランZを通達をしていたのだ。
 けれど本当に使うことになるとは思っていなかった。
 支店の一人が時限発火式装置の起動を行う。
 爆発まで10分。

 エリッタが戻ってきた。
 ここは商業地域のため、この混乱の中では、ほとんど人が残っていなかったようだ。
 建物倒壊後、周辺の被害を受けそうな場所からは誰もいなくなった。
 こういう時に気配が読める力はとても役に立つ。
 逆に、エリッタの警戒をすり抜けるような人物は、自分で何とか出来る存在だ。

 支店のメンバー全員が避難を始める。
 エンプティモに残って人質にされては困るので、全員レイネス方面へ出発することになる。

 街の外へ向かう僕達の前に帝国軍が立ち塞がる。
 いや帝国軍では無い。
 クーデターに参加している反乱部隊の中隊が出口を封鎖していた。
 ざっとみ百人規模だ。

「貴殿等を通すことは許可できない。
 大人しく引き替えしてもらいたい。」

 反乱部隊の一人が僕達に警告する。
 次の瞬間、僕達の前に立ち塞がる反乱部隊の兵士が10人ほど左右に吹き飛ぶ。

「行くぞ。」

 ジェイエルが言った。
 完全に問答無用だ。
 というか、どうやって吹き飛ばしたのか、全く見えなかった。
 僕が見えないものを見た限りでは、剣を抜いた気配は無い。
 おそらく反乱部隊の面々も、いったい何をされたのか理解していないだろう。

 僕達はそのまま街の出口へと向かう。
 呆気にとられている反乱部隊が、遅ればせながら剣を抜き、追撃の姿勢をとる。
 そこへジェイエルが剣を抜き、そして何もせず剣を納めた。
 何をしたのか良く分からなかったのだけど、とにかく僕達は出口へ走る。

 後ろで叫び声が聞こえる。
 振り返ると・・・道が裂けていた。
 僕はぼんやりと、「あーあ、修復作業が大変だなあ」と、どうでもいいことを考えた。
 さっきジェイエルの抜刀の結果だろう。
 さらに支店のあった方向から爆発音が響く。
 残置物の後始末が終わった。

 ジェイエルのあの凄いのを見ると、このクーデターはジェイエル一人で鎮圧できそうな気になってしまう。
 しかしさすがに相手の数が多すぎる。
 まともに戦ったら、かなりの確率でレベルゼロの僕が巻き込まれて死ぬ。
 大主教やセフリに存在が知られてしまった以上、確実に僕を狙ってくるはずだ。
 そしてジェイエルが市街地でまともに戦った場合、一般市民が被害を受けまくることになるだろう。 

 エンプティモは帝国の街だ。
 つまりギスケに何とかしてもらうしか無い。
 そして僕達はレイネス所有の馬車の所まで辿り着き、無事脱出することに成功した。






 今の僕では無双の人の動きがさっぱり見えない。
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