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終章 世界の終わりと創世の伝説

230 マニアなら間に合ってます

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 代表となった僕は、帝国軍に流していた武器をレイネス内で運用できるように部隊を編成した。
 統括するのはジェイエルだ。
 さすがに先代勇者の名前の力は大きい。
 レイネスに集った冒険者達は不満など口にしようはずが無い。
 逆に感涙の涙にむせぶ者までいる。

 ジェイエルには冒険者達に対して、戦いの基本を徹底的に教え込んでもらうことになる。
 ジェイエルの基本は、一般人からみたら達人の域に到達することだ。
 どれだけしごかれることになるのか分からないけれど、無事生き残って欲しいと思う。

 そして僕はペネッティの首尾を確認する。
 彼にはいくつかの仕事を任せていたのだ。
 まずは暗号化機能付きの通信機の横流しだ。

 通信機は短距離通信可能なものを一般向けに販売している。
 こちらは暗号化機能が無い。
 しかし帝国軍で使用されている物や、レイネスと各国の連絡用に配った通信機は暗号化機能が実装されている。
 あらかじめ交換したキーコードが無いと通信内容を傍受することは出来ないのだ。

 僕はわざと暗号化機能付きの通信機をペネッティに横流しさせたのだ。
 理由は簡単、通信機の開発者である僕はマスターキーを持っているので、容易に通信を傍受できるからだ。
 悪いことをしようとする者ほど、機密を保った連絡手段を欲しがるはずだ。
 通信内容の解析はリプリアの組織するチームに任せた。
 神の使徒に関係者が引っかかってくれれば僥倖なんだけど、確実性の無い釣り針ではある。

 さらにペネッティには武器の扱いが上手い者を集めるように頼んでおいたのだ。
 彼は帝国に供給していた武器を横流ししていた経歴がある。
 そしてその武器は貴族のもとに流れたり、傭兵団に買われたりした。
 ペネッティはその伝手で傭兵団に話をつけることに成功した。
 さっそく僕は傭兵団の団長グレゴラスと会うことになった。

「これはこれはアグレト様、今回はご贔屓にさせていただきありがとうございます。
 ペネッティ氏から素晴らしい人物だというお噂は聞いております。
 今はレイネスの代表になられたそうで、おめでとうございます。」

 団長のグレゴラスは僕に挨拶する。
 名前を聞いた時はもっと厳つい男を想像していたのだけど、会ってみたら中肉中背で商人のような印象だ。
 長袖長ズボンで体を露出していない。
 しかし動きをよく見れば、体は細いけれど、そこに最大限の筋肉を付けている。

「ありがとうございます。 
 まだまだ力不足ですが、回りの力を借りながらやっていこうと思っています。
 さっそくですが、本題に入らせてください。」

 僕はグレゴラスに現在使っている武器や、団員の練度に関して聞いた。
 驚くことに、武器の扱いに関しての知識は、制作元のレイネスの技術者を超えていた。

「どんな武器でも必要な場所や状況に合わせて、自在に使いこなすのが生き残る秘訣です。
 最後に残るのは強い者では無い、変化に対応出来る者が生き残る。
 これは先代から引き継いだ言葉です。」

「それにしても驚くべき柔軟性ですね。
 帝国軍が銃器の練度を上げるのに相当な苦労をしたというのに。」

「まあ頭の固い軍隊では簡単にはいかないでしょう。
 それにレイネスで作られた武器は、大軍で使うよりも小規模な部隊を柔軟に動かした方が効率が良い。
 臨機応変に動けるうちのような傭兵団向きです。」

 グレゴラスの話を聞いていて、傭兵団が有能な人材達だというのは良く分かった。

「お話を聞いて良く分かりました。
 そこでお願いなのですが、現在レイネスで編成中の部隊の指導をお願いできませんか?」

「指導?
 うちは傭兵団であって道場じゃありませんよ?」

「これからレイネスで作る武器は銃だけではありません。
 もっと強力な物、それ故に扱いが難しい物を使わなければなりません。
 しかし扱える者がいない限り、宝の持ち腐れです。」

「もっと強力な武器・・・。」

 グレゴラスが喉を鳴らす。
 そして表情が真剣なものに変わる。

「今あなた方が持っている物がオモチャだと思える程度には。」

 僕はだめ押しの一言を発した。

「傭兵を家庭教師に使う御仁は初めてです。
 分かりました。
 喜んで引き受けましょう。」

「よろしくお願いします。」

「ところで早速なんですが、どんな武器を作ってらっしゃるんですか?」

 興味津々に聞いてくるグレゴラス。
 もしかして・・・というかもしかしなくてもこの人、とんでもない武器マニアなんじゃ?






 武器マニア無双だった。
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