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6章 魔王の息子と最後の無双

151 そこは倉庫だった

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 アデルタが案内したのは高級住宅街だった。

「あそこだよ。」

 指さした先には、かなり大きな敷地に屋敷が建っていた。
 そして人相の悪い男が二人、出入り口を固めている。

「じゃあ、ここで待っていてくれるかな。
 ちょっと調べてくるから。」

「オイラも行くよ。
 倉庫の場所まで案内するから。」

「これ以上は危ないからなあ。
 まあ、見た感じ何とかならないことも無いか・・・。
 分かった、行こう。」

 まあ、さっきの男達の強さを考えると、一人ぐらい護衛しながら目的を達成するのはなんとかなるだろう。
 僕はアデルタの動向を認めることにした。

「あそこにはどうやって入ったの?」

「荷物を積んでいた馬車に紛れて入ったんだ。
 途中までは上手くいったんだけど、結局捕まって。
 でもなんとか逃げ出したんだ。」

「なるほどね。
 今回は正面から行こう。」

 僕は入り口に向けて歩き出す。

「こいつ、さっき逃げたガキだ。」

 人相の悪い男二人が僕とアデルタを睨む。

「ここの主に用があります。
 取り次いでください。」

「何を言ってやがる。
 おい、捕まえるぞ。」

 男二人は、それぞれ僕とアデルタに掴みかかってくる。
 しかしすぐに手が止まる。

「あれ、俺は何をしてたんだっけ?」

 男達が混乱している間に、僕達は中へ入る。
 精神魔法忘却で数十秒間の記憶だけ削ったのだ。
 僕の能力が上がったおかげで、一般人レベルの相手なら賢者の杖無しでも十分に精神魔法が効く。
 アデルタが不思議そうな顔をしていたけれど、特に何も聞いてこなかった。

 アデルタの案内で倉庫にたどり着く。
 鍵がかかっていた。
 扉はそこそこ頑丈な木材が使われ、金属による補強が行われている。
 土魔法でボロ剣を強化し、追加で紙の残滓を纏わせて扉ごと破壊した。
 さすがに要塞の床破壊は出来ないけれど、この程度の扉なら余裕だ。

 そして倉庫の中で横流し品と思われる物を確認する。
 その他にも不正取引してそうな品が見つかる。
 うちで製造した弾薬まで見つかったのは最悪だ。
 まあ、あったのは弾だけなんだけど。

 商業ギルドだけで無く帝国の軍部にまで不正を働く輩がいるということか。
 医薬品ならともかく、武器の管理はもうすこし慎重にやって欲しいなあ。

「これはギスケに報告して処理してもらおう。」

「兄ちゃんは、あの魔神ギスケと知り合いなの?」

「そうだね、考えてみると凄い腐れ縁だね。」

 前世からの知人だしなあ。

 僕達が倉庫から出ると、人相の悪い男達が周りを取り囲んでいた。
 人数にして20人。
 冒険者の剣士っぽいのが4人混じっているが、他と比べて少し戦闘力が高そうだ。
 さらにクロスボウを持っている者が3人いる、ちょっと物騒だな。
 あとは異様な気配を漂わせている魔術師と思われる男が一人。
 残りは雑兵か。

 魔術師が口を開く。

「せっかく来たんだ、歓迎させてもらおう。
 我々の歓迎を受ければ、帰る気も失せるはずだ。」

 






 歓迎会無双か?
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