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5章 希望の家と集う仲間

112 二時に光る虹色の石

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 すっきりしないロクデナシの歴史を知った僕。
 そしてこの遺跡には、帝国の遺跡には無い技術情報が収められていた。
 魂による魔術回路強化と魔力生成技術に関しての情報だ。
 これは賢者の杖と賢者の石の話だろうか?

 僕は魔術師ワイアデスのことを思い出す。
 ふと考えてみると、彼は僕の兄弟子ということになる。
 なんとも言えない巡り合わせだ。

 地理的にも彼がここに来たというのは辻褄は合う。
 しかしどうやってセキュリティを突破したんだろう?
 この遺跡の中盤以降は、何かが破壊されたような形跡が無い。
 ゴーレムが健在だったところを見ると、僕のような手段をとったわけでは無さそうだ。
 ということは別でセキュリティーを突破する方法を知っていたことになる。

 そもそもおかしな点は、何故僕の母が神の遺跡の封印解除方法を知っていたのだろう?
 そして封印解除には賢者の杖を必要とし、それを作ったのが魔術師ワイアデスということだ。
 間をつなぐ存在、ブリゲアンがこの遺跡のことを知っていたのだろうか?
 僕に一切報告が無かったのは、特に必要な情報では無かったから?
 腑に落ちないので後で確認しておきたいところだ。

 僕が情報を探っている間にサリアはお目当てのものを見つけたようだ。
 ペンダントのようなアイテムを見つけて喜んでいた。
 虹色の不思議な光を放つ宝石が付いている。
 人間の首には掛かりそうだけど、8メートル級のドラゴンには無理じゃ無いかと思ったけれど黙っていた。

 そして古代遺跡から出る。
 太陽が眩しかった。

「ブリューデン、見つけてきたよ。」

 サリアは炎竜に駆け寄る。
 大きさ的に無理だということに、いつ気がつくんだろうとドキドキした。

 サリアがペンダントを差し出す。
 ブリューデンが首を下げる。
 そしてサリアがペンダントをかける。

「え?」

 僕は声に出してしまった。
 ペンダントが首に掛かってるよ。
 素っ裸の少年に。

「大成功!」

 サリアが喜んでいる。
 神の遺物の仕組みは僕にはさっぱり分からない。
 気にするのはよそう。

 素っ裸の少年は自分の体を見回している。
 あれがブリューデンの人化した姿なんだろうなあ。

「ようやく、ようやく人間になれた。
 やったぞー!」

 ガッツポーズをとるブリューデン。
 そして僕と目が合う。

「ありがとうぉぉぉ!」

 素っ裸で僕に抱きついてくる。
 気持ち悪いので止めて欲しい。
 救いがあるとすれば、ドラゴン状態でこれをやられなかったことだろう。
 しかし元がドラゴンだからか、締め付ける力が尋常では無い。
 意識が飛びかけた。
 僕の変調に気がついたのか、ようやく拘束が解ける。
 封印が全て解けていないのに、神の国への扉が開くところだった。

 こうして人化の神の遺物を手に入れるクエストは達成することが出来た。
 ちなみにペンダントを外すとドラゴンに戻ることが出来る。
 便利だ。
 
 目的を達成したサリアとブリューデンは、僕のお手伝いをしてくれることになった。
 こうして僕は便利な足を手に入れたのだった。

 そして僕は近くの村で服を買う。
 ブリューデンの分と、僕が寒さで衰弱死しないための上着を。





 


 移動無双完了。
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