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4章 神の雷光と裏切りの花
101 百一回のワンチャンス
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師匠が放った魔法に対して、僕は回避措置をとらなかった。
師匠相手が相手では何をしても無駄だろう。
エリッタが心配そうに見つめる。
そして師匠の魔法は僕に届く。
魔法は僕の体に吸い込まれるように消えていった。
そして僕の体から魔力が溢れ出す。
何かが破裂したような音がして、僕の周りに金属の破片が飛び散る。
「やはりクラレウスの鎖の効果であったか。
ここまで巧妙に隠すとは、なかなかの術者がおるの。」
おそらく昔に爺(じい)が僕に付けたネックレスのようなものの事だろう。
「間違いなく魔王種の魔力。
そしてやはり勇者の力も混じっておる。」
師匠は満足げな笑みを浮かべる。
「それで、僕をどうします?」
「どうもせん、私の所へ戻ってくるが良い。
悪いようにはせぬ。
ところでエイデ砦の件、覚えておるであろう。」
僕が人間の国へ来て、最初に酷い目に遭ったところだ。
「あれは私が命じたのだ。
魔族が何やら重大な魔術装置を持ち込んだという報告があがっての。
しかし場所は他国、細かく調べることも出来ず、ならばと潰しておいたのだ。」
酷いぞ師匠。
「そしてそこに突然ヌシが現れた。
そう考えると、あれは転移装置であったのだろう?
身元が追跡できぬのも道理であるな。」
「おかげでこっちに来たとき、訳も分からず死にかけましたよ。」
「回り回ってヌシが私の所へ来ることになるとは、神に感謝すべきかの。」
笑えない冗談だ。
「その転移装置は神の遺物の中でも貴重な物じゃ。
入り口と出口が一対になっておる。
そして簡単に持ち運べるようなものでは無い。
あそこで何も見つかっておらぬ事を考えると、燃えてしまったと考えるべきか。」
「師匠、一般人に犠牲者を出し過ぎです。
それではワイアデスとやっていることが変わりませんよ。」
「そうかもしれぬな。」
「僕は同じになるつもりはありません。
帝国への侵攻を考え直していただけませんか?」
「それは出来ぬ。
もちろん古代遺跡の情報は把握しておる。
いずれは神と戦うことになろう。
その為には、一つの強い国を打ち立てなければならぬ。
そこに帝国や魔領は必要ない。」
師匠も神と戦う力を得ようとしているのだろう。
そんな師匠に、今の弱い僕の説得が通じるはずは無い。
それは分かっていた。
師匠は続ける。
「神魔砲、何故あれを作ったか分かるか?」
「帝国に対する戦略レベルの兵器としてですよね。
魔力を無効化できる神には通用しないと思いますが。」
「確かに帝国に対する協力な武器にはなる。
しかしそれだけでは無い。
神魔砲によって遺跡の魔力を消費すると、神の世界とこの繋が繋がる力が弱まるのじゃ。」
「なるほど。
現在の封印は遺跡の効果を抑えるためのもの。
そしてその為に溜まってしまった魔力を別の場所に放出させてしまえば、さらに抑制が効くと。」
師匠は満足げに頷く。
正解だったようだ。
「ところで師匠、それには一つ問題があります。」
研究所に微弱な揺れが生じたのを確信した僕はそう言った。
そろそろ師匠のワンサイドゲームは終わりだ。
そして僕の策略無双が始まる。
師匠相手が相手では何をしても無駄だろう。
エリッタが心配そうに見つめる。
そして師匠の魔法は僕に届く。
魔法は僕の体に吸い込まれるように消えていった。
そして僕の体から魔力が溢れ出す。
何かが破裂したような音がして、僕の周りに金属の破片が飛び散る。
「やはりクラレウスの鎖の効果であったか。
ここまで巧妙に隠すとは、なかなかの術者がおるの。」
おそらく昔に爺(じい)が僕に付けたネックレスのようなものの事だろう。
「間違いなく魔王種の魔力。
そしてやはり勇者の力も混じっておる。」
師匠は満足げな笑みを浮かべる。
「それで、僕をどうします?」
「どうもせん、私の所へ戻ってくるが良い。
悪いようにはせぬ。
ところでエイデ砦の件、覚えておるであろう。」
僕が人間の国へ来て、最初に酷い目に遭ったところだ。
「あれは私が命じたのだ。
魔族が何やら重大な魔術装置を持ち込んだという報告があがっての。
しかし場所は他国、細かく調べることも出来ず、ならばと潰しておいたのだ。」
酷いぞ師匠。
「そしてそこに突然ヌシが現れた。
そう考えると、あれは転移装置であったのだろう?
身元が追跡できぬのも道理であるな。」
「おかげでこっちに来たとき、訳も分からず死にかけましたよ。」
「回り回ってヌシが私の所へ来ることになるとは、神に感謝すべきかの。」
笑えない冗談だ。
「その転移装置は神の遺物の中でも貴重な物じゃ。
入り口と出口が一対になっておる。
そして簡単に持ち運べるようなものでは無い。
あそこで何も見つかっておらぬ事を考えると、燃えてしまったと考えるべきか。」
「師匠、一般人に犠牲者を出し過ぎです。
それではワイアデスとやっていることが変わりませんよ。」
「そうかもしれぬな。」
「僕は同じになるつもりはありません。
帝国への侵攻を考え直していただけませんか?」
「それは出来ぬ。
もちろん古代遺跡の情報は把握しておる。
いずれは神と戦うことになろう。
その為には、一つの強い国を打ち立てなければならぬ。
そこに帝国や魔領は必要ない。」
師匠も神と戦う力を得ようとしているのだろう。
そんな師匠に、今の弱い僕の説得が通じるはずは無い。
それは分かっていた。
師匠は続ける。
「神魔砲、何故あれを作ったか分かるか?」
「帝国に対する戦略レベルの兵器としてですよね。
魔力を無効化できる神には通用しないと思いますが。」
「確かに帝国に対する協力な武器にはなる。
しかしそれだけでは無い。
神魔砲によって遺跡の魔力を消費すると、神の世界とこの繋が繋がる力が弱まるのじゃ。」
「なるほど。
現在の封印は遺跡の効果を抑えるためのもの。
そしてその為に溜まってしまった魔力を別の場所に放出させてしまえば、さらに抑制が効くと。」
師匠は満足げに頷く。
正解だったようだ。
「ところで師匠、それには一つ問題があります。」
研究所に微弱な揺れが生じたのを確信した僕はそう言った。
そろそろ師匠のワンサイドゲームは終わりだ。
そして僕の策略無双が始まる。
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