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4章 神の雷光と裏切りの花

96 封印には風韻があるのかな

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「神を倒す?」

 ギスケはそう言って驚いていた。
 僕はルディンから得た古代遺跡の情報をギスケに伝えた。

「本当なのか?
 オルドウルから詳しい報告は後で聞く予定だったんだが。
 しかも奴は死んじまったのか。
 クソ、俺の采配ミスだ。
 抜けているところがあるのは分かっていたんだ。
 誰がを一緒に付けるべきだった。」

 ギスケは悔しそうな表情をした。
 僕は話を続ける。

「今まで僕が得た情報を繋ぎ合わせて、前魔王アストレイアの最終目標を推理してみたんだ。
 その結果、僕は神の打倒が最終目的だと判断した。
 そうだとすると色々な辻褄が合うんだ。
 魔族を人間に戻す方法の入手というのもあると思う。
 どちらが主目的なのかはハッキリしないけれど。」

 どのみちこの世界で人間や魔族が奴隷にされず生きていくためには、神を倒さなければならない。
 アストレイアの意志は、この世界に住む者の意志になるだろう。

「そして神の遺跡の封印を解くため、ギスケを召喚したんだ。
 たぶんギスケなら封印解除に必要な演算が時間内で可能だからね。」

 僕は中学生だった頃の彼を知っている。
 数学の天才だった。
 頭の中に演算プロセッサが入っているんじゃ無いのかと思えるような計算能力を持っている。
 僕は封印解除に必要な計算式を書き出したメモをギスケに差し出す。

「これに必要な式が書いてある。
 神魔砲を止めるにはこれを使う必要があるんだ。」

 ギスケはメモを受け取る。

「なるほど。
 これを一分以内か・・・。」

 ギスケがしばらく考える。

「出来る?」

 僕が聞く。

「これじゃ駄目だな。」

「え?」

 頼みの綱がぷっつり切れてしまうと、この後の話が続かない。

「この式は無駄が多すぎる。
 書くものを貸してくれ。」

 僕はペンをギスケに渡した。

「これでOKだ。
 だいぶ簡単になっただろう。」

 僕は修正の入った式を見る。
 式は短くなっているのだけれど、知らない記号が増えている。
 分からん、僕には分からないよ。

「俺は先代魔王に召喚された訳か。
 まあ理由は分かった。
 トレンテまで攻めてきたのは魂回収のついでに俺を探しに来てたのか。
 あの時、通りで魔族の動きがおかしいと思った。
 なるほど、エスフェリアを捕まえる素振りが無かったのはそのせいか。」

 ギスケは色々と辻褄が合ったという顔をしている。

「このままだといずれ神がやってきて、再び人間が奴隷にされるというのは分かった。
 だが神の遺跡の封印を解いたら、それまでの猶予が短くなるんだろう?
 それはどうするんだ?」

 ギスケが聞いてきた。
 もっともな疑問だ。

「たしかに封印を解除すれば確かに神の世界と繋がるまでの時間が短くなると思う。
 準備時間が長い方が良いのは確かだけど、魔王アストレイアの残した力を合わせれば可能だよ。
 勝算はある。」

 僕は断言した。

「神の能力で魔法が使えなくなるんだぞ。
 俺は魔神なんて呼ばれてはいるが、たぶん俺の能力も封じられる。
 アンタだって魔法が使えなければどうにもならないんだろう?」

 僕は神に勝つための作戦をギスケに伝えることにした。
 話を聞いたギスケは、一本とられたという顔をしたのだった。






 
 僕の一本取り無双。
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