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第4章
美味しい楽しいたこパ! 7月23日
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通いなれた道だろうに、あいりの足取りは重かった。水川にもうつりそうな位に彼女は緊張していた。
そう今日は、あの狂気の男が計画したたこパの日だ。
言われるがままに、渋々日程調整をして、あいりを無理やり連れてきた。
こおりからは【嘘をつかないこと】と指示が出ていたが、それだけだった。
「優くん、こおりくんの前では名字で呼んでもいいかな?変な意味じゃなくて、私どんな風に振る舞えばいいのかわかんなくて、ごめんね、あの」
あいりが泣きそうな顔で言うので、水川は「もちろんいいよ。なんか嫌になったら、途中でも帰ろう?無理しなくていいから」
と彼女を慰めた。
避けて通れないイベントって、あいりを悲しませる気か?あいつ。
水川は内心苛立っていた。
「いらっしゃい、水川さん、あいり」
玄関を開けて出迎えたこおりの顔は、客人の2人に対して明るかった。
後は焼いて食べるだけなように、机の上に下準備もばっちり整っていた。
「水川さん、ここ座ってください。あいりー、水川さんに飲み物出してくれる?」
何故か、自分だけ客人対応され、慣れた感じであいりに指示を出されるのに腹がたった。
「うん、わかった。こおりくん。水川さん、コーラでいいですか?」
「うん」
こおりくん呼ばわりと、水川さん呼びが嫌だった。
「あいりは何がいい?冷たい麦茶?ルイボス?紅茶?」
「麦茶がいいな、こおりくんありがとう」
落ち着いた様子のこおりに合わせて、彼女の表情が次第に柔らかくなっていった。
彼女はコップの場所も何もかも知り尽くしていて、ここで過ごした時間が長いことがわかった。
俺はここでバカップルに馬鹿にされるために呼ばれたのか?水川はそう思った。
「水川さん、たこ焼きお好きですか?」
何故かこおりが水川の隣に座った。手際よく油を引いて、あいりに指示を出して材料を入れていく。
水川も手伝おうとしたが、「俺が水川さんに最高のたこ焼きを振る舞いたいんです。どうか見ててください」とこおりに一蹴されて、手が出せなかった。
「はい、どうぞ」
熱々のたこ焼きを目の前に出される。マヨネーズ大丈夫ですか?等々聞かれてあれよあれよと、美味しそうなたこ焼きトッピングもされてしまった。
彼女より何より俺をもてなしてどうするんだ?
あいりはほっておかれていたが、2人の様子を見て、嬉しそうな顔をしていた。
「2人の分は?」と言いかけると
「素敵な水川さんに一番美味しそうに焼けたやつを一番に食べてほしいんです」
とこおりに熱く言われた。
「えっ、なにそれ?んーと、んじゃお先にいただきます」
反論するのと面倒だった。もしかしたら、タバスコとか何か入れられているかもしれないけど、それならそれで仕方ないと思った。
一口で食べた。物凄く熱かった。でも、美味しかった。
「あつっ、でもうまっ」
水川が思わずそう口にすると、こおりがにっこりと笑った。
「大好きな水川さんに食べて欲しかったんです。俺の愛情たこ焼き。
好きです。水川さん、俺と付き合ってください!」
水川は口に含んだコーラを吹き出しそうになった。
あいりは目をまん丸にして、何も言えずにいた。
鉄板の上のたこ焼きが、俺たち今食べ頃だけど、まだかい?と言っていた。
「ちょ、あんた、何言ってんだ?冗談にも程があるだろ?」
「水川さん、真剣な愛の告白に冗談だなんて酷いです」
こおりはよよよと泣く真似をした。
「いや、あんたが好きなのは、たちばなさんだろ?」
水川はあいりのことを彼女の意向に合わせて、名字で呼んだ。
「確かに、俺はあいりの事が好きでした。今も好きですけど、それはもう愛情じゃなくてなんというか父親みたいな気持ちに変わったんです。
俺は、水川さんの優しさと口の悪さと猫好きで愛情深いギャップにズキュンとやられたんです。
俺と付き合ってください。正直、あいりよりも俺の方が水川さんを幸せにできます」
こおりの目は真剣だった。それが、言っている言葉が真剣なのか、その奥にある目的に真剣なのか、水川さんにはわかっていた。
「いや、別に同性間の恋愛には偏見はないけど。好きじゃない人とは俺は付き合えない。ごめんなさい」
水川は彼の身体を張った演技に敬服の意味も含めて、こおりに頭を下げた。
「そうですが、残念です。じゃあ好きな人はいるのかだけ教えてください。それで諦めます」
ああ、そこまで言わす気か。こいつ。
「俺が好きなのはあいり。こんなに好きで守りたい子はいない。あいり、好きだよ。俺と付き合ってください」
水川はあいりの目を見て、そう言った。
あいりは水川を見て、そして悲しそうにこおりの顔を見た。
「水川さんの好きなのはあいりなのか。仕方ないな、確かにあいりは本当に魅力的で愛らしいから。
んで、あいりは水川さんのことどう思ってるの?俺も水川さんもちゃんと言ったから、あいりの気持ち聞かせてよ。本音言っても誰も責めないから」
こおりの声は優しかった。
「私は……」
あいりはこおりの顔を見た。そして、水川の顔を見た。
「私が好きなのは優くんです」
そう言って、あいりはうつむいた。
「じゃあ、2人は今日から彼氏彼女だなー。こんなにかっこよくて、愛情深くて、優しい水川さんと付き合えるなんて、羨ましすぎ。ほら、あいりちゃん、たこ焼き焦げちゃうから食べよー」
こおりは少し焼きすぎのたこ焼き達を皿に盛り付けて、あいりの前に並べた。
「たこぱは美味しくて、楽しいんだ。
奥手なバカップルのために、このこおりくんが沢山焼くからいっぱい食べてな」
こおりは終始笑顔だった。彼の焼いたたこ焼きは熱くて美味しかった。
水川が好きという設定も忘れずに、ちょいちょい褒めてきた。
美味しい楽しいたこパだった。
「ごちそうさまでした。美味しかったです」
あいりと水川が帰るとき、こおりは真剣な表情になった。
「あいり、ここの合い鍵」
そうこおりが言いかけると、あいりはカバンを探って出そうとした。
「そのまま持っておいて。俺、来年の4月初旬までは、あいりの特別サポーター係として相談受付してるから。相談内容は何でも。水川さんの愚痴でものろけでもただの話し相手でも、何でも。
まぁ、油断すると水川さんは俺に奪われるってことだけは忘れないで。こんなにいい男、俺他に知らないから」
こおりはそう言って、水川の方を見た。
「それでいいですよね?水川さん」
その目はこの子を悲しませたら殺すと言っているようだった。
「いいですよ。あいりは俺が幸せにするので相談しに来ること何てないと思いますけど。まぁでも、別に話し相手ならいつでも来たらいいと思うし。だって、こおりさん俺にベタぼれだから、あいりに何かすることないですもんね?」
「もちろん、大好きです。水川さん。俺も名前で呼んでもいいですか?」
「嫌です。んじゃ、俺達帰ります」
「はーい、来てくれてありがと、あいり、水川さん」
袋に入った大量のお土産を手渡され、ドアは閉められた。
駅までの道のり、ずっと黙っていたあいりがぽつりと呟いた。
「優くん、こおりくんてお馬鹿だよね」
水川は遠くを見つめるあいりの頭を撫でた。
「ほんと馬鹿だよ。あの人は」
2人は手を繋いで家に帰った。
そう今日は、あの狂気の男が計画したたこパの日だ。
言われるがままに、渋々日程調整をして、あいりを無理やり連れてきた。
こおりからは【嘘をつかないこと】と指示が出ていたが、それだけだった。
「優くん、こおりくんの前では名字で呼んでもいいかな?変な意味じゃなくて、私どんな風に振る舞えばいいのかわかんなくて、ごめんね、あの」
あいりが泣きそうな顔で言うので、水川は「もちろんいいよ。なんか嫌になったら、途中でも帰ろう?無理しなくていいから」
と彼女を慰めた。
避けて通れないイベントって、あいりを悲しませる気か?あいつ。
水川は内心苛立っていた。
「いらっしゃい、水川さん、あいり」
玄関を開けて出迎えたこおりの顔は、客人の2人に対して明るかった。
後は焼いて食べるだけなように、机の上に下準備もばっちり整っていた。
「水川さん、ここ座ってください。あいりー、水川さんに飲み物出してくれる?」
何故か、自分だけ客人対応され、慣れた感じであいりに指示を出されるのに腹がたった。
「うん、わかった。こおりくん。水川さん、コーラでいいですか?」
「うん」
こおりくん呼ばわりと、水川さん呼びが嫌だった。
「あいりは何がいい?冷たい麦茶?ルイボス?紅茶?」
「麦茶がいいな、こおりくんありがとう」
落ち着いた様子のこおりに合わせて、彼女の表情が次第に柔らかくなっていった。
彼女はコップの場所も何もかも知り尽くしていて、ここで過ごした時間が長いことがわかった。
俺はここでバカップルに馬鹿にされるために呼ばれたのか?水川はそう思った。
「水川さん、たこ焼きお好きですか?」
何故かこおりが水川の隣に座った。手際よく油を引いて、あいりに指示を出して材料を入れていく。
水川も手伝おうとしたが、「俺が水川さんに最高のたこ焼きを振る舞いたいんです。どうか見ててください」とこおりに一蹴されて、手が出せなかった。
「はい、どうぞ」
熱々のたこ焼きを目の前に出される。マヨネーズ大丈夫ですか?等々聞かれてあれよあれよと、美味しそうなたこ焼きトッピングもされてしまった。
彼女より何より俺をもてなしてどうするんだ?
あいりはほっておかれていたが、2人の様子を見て、嬉しそうな顔をしていた。
「2人の分は?」と言いかけると
「素敵な水川さんに一番美味しそうに焼けたやつを一番に食べてほしいんです」
とこおりに熱く言われた。
「えっ、なにそれ?んーと、んじゃお先にいただきます」
反論するのと面倒だった。もしかしたら、タバスコとか何か入れられているかもしれないけど、それならそれで仕方ないと思った。
一口で食べた。物凄く熱かった。でも、美味しかった。
「あつっ、でもうまっ」
水川が思わずそう口にすると、こおりがにっこりと笑った。
「大好きな水川さんに食べて欲しかったんです。俺の愛情たこ焼き。
好きです。水川さん、俺と付き合ってください!」
水川は口に含んだコーラを吹き出しそうになった。
あいりは目をまん丸にして、何も言えずにいた。
鉄板の上のたこ焼きが、俺たち今食べ頃だけど、まだかい?と言っていた。
「ちょ、あんた、何言ってんだ?冗談にも程があるだろ?」
「水川さん、真剣な愛の告白に冗談だなんて酷いです」
こおりはよよよと泣く真似をした。
「いや、あんたが好きなのは、たちばなさんだろ?」
水川はあいりのことを彼女の意向に合わせて、名字で呼んだ。
「確かに、俺はあいりの事が好きでした。今も好きですけど、それはもう愛情じゃなくてなんというか父親みたいな気持ちに変わったんです。
俺は、水川さんの優しさと口の悪さと猫好きで愛情深いギャップにズキュンとやられたんです。
俺と付き合ってください。正直、あいりよりも俺の方が水川さんを幸せにできます」
こおりの目は真剣だった。それが、言っている言葉が真剣なのか、その奥にある目的に真剣なのか、水川さんにはわかっていた。
「いや、別に同性間の恋愛には偏見はないけど。好きじゃない人とは俺は付き合えない。ごめんなさい」
水川は彼の身体を張った演技に敬服の意味も含めて、こおりに頭を下げた。
「そうですが、残念です。じゃあ好きな人はいるのかだけ教えてください。それで諦めます」
ああ、そこまで言わす気か。こいつ。
「俺が好きなのはあいり。こんなに好きで守りたい子はいない。あいり、好きだよ。俺と付き合ってください」
水川はあいりの目を見て、そう言った。
あいりは水川を見て、そして悲しそうにこおりの顔を見た。
「水川さんの好きなのはあいりなのか。仕方ないな、確かにあいりは本当に魅力的で愛らしいから。
んで、あいりは水川さんのことどう思ってるの?俺も水川さんもちゃんと言ったから、あいりの気持ち聞かせてよ。本音言っても誰も責めないから」
こおりの声は優しかった。
「私は……」
あいりはこおりの顔を見た。そして、水川の顔を見た。
「私が好きなのは優くんです」
そう言って、あいりはうつむいた。
「じゃあ、2人は今日から彼氏彼女だなー。こんなにかっこよくて、愛情深くて、優しい水川さんと付き合えるなんて、羨ましすぎ。ほら、あいりちゃん、たこ焼き焦げちゃうから食べよー」
こおりは少し焼きすぎのたこ焼き達を皿に盛り付けて、あいりの前に並べた。
「たこぱは美味しくて、楽しいんだ。
奥手なバカップルのために、このこおりくんが沢山焼くからいっぱい食べてな」
こおりは終始笑顔だった。彼の焼いたたこ焼きは熱くて美味しかった。
水川が好きという設定も忘れずに、ちょいちょい褒めてきた。
美味しい楽しいたこパだった。
「ごちそうさまでした。美味しかったです」
あいりと水川が帰るとき、こおりは真剣な表情になった。
「あいり、ここの合い鍵」
そうこおりが言いかけると、あいりはカバンを探って出そうとした。
「そのまま持っておいて。俺、来年の4月初旬までは、あいりの特別サポーター係として相談受付してるから。相談内容は何でも。水川さんの愚痴でものろけでもただの話し相手でも、何でも。
まぁ、油断すると水川さんは俺に奪われるってことだけは忘れないで。こんなにいい男、俺他に知らないから」
こおりはそう言って、水川の方を見た。
「それでいいですよね?水川さん」
その目はこの子を悲しませたら殺すと言っているようだった。
「いいですよ。あいりは俺が幸せにするので相談しに来ること何てないと思いますけど。まぁでも、別に話し相手ならいつでも来たらいいと思うし。だって、こおりさん俺にベタぼれだから、あいりに何かすることないですもんね?」
「もちろん、大好きです。水川さん。俺も名前で呼んでもいいですか?」
「嫌です。んじゃ、俺達帰ります」
「はーい、来てくれてありがと、あいり、水川さん」
袋に入った大量のお土産を手渡され、ドアは閉められた。
駅までの道のり、ずっと黙っていたあいりがぽつりと呟いた。
「優くん、こおりくんてお馬鹿だよね」
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