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第1章
決意 5月4日
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こおりはずっと考えていた。
4月28日の夜にリイトにぼろくそに言われ、
4月29日に自分がいかにあいりの事をなにもわかっていなかったか自覚した。
その日の内に杏梨の家にご飯を食べに行き、彼氏の金田を楽しませたいという杏梨にたこパをすることを提案した。
馬鹿みたいにテンションを上げて、自分の持っていたたこ焼き器を貸し、たこ焼きの焼き方をレクチャーした。
ファンタスティック杏梨エンターテイメントよーー!
と叫んでいた杏梨はアホっぽかったが、一生懸命だった。
自分は何かあいりを楽しませるために努力したことはあっただろうか?
そもそも自分といてあいりは楽しかっただろうか?何で俺はたこパをあいりとしなかったんだろ?
思い出されるのはあいりの悲しそうな顔ばかりで、こおりはあいりの笑った顔を思い出せなかった。
そもそも付き合うって、一緒にいて楽しいから付き合うんだよな。
あいりはただ、単に断れなかっただけで、付き合いたくなかったかもしれない。
杏梨のたこパの日は5月3日だった。何かあったときに連絡を受けるという大義名聞で家でだらだらと過ごした。
本当はあいりに何かしなくてはいけない気がしたが、まだ勇気がでなかった。
杏梨は金田にばらしてしまったようで、杏梨のスマホから連絡が来て、金田と話した。
金田の恋愛観の違いに正直驚いた。杏梨は金田といる時間は幸せになれるだろう。
上手くいかないときはこの1年はフォローしようとこおりは思っていた。
あわよくば、自分がいなくなった後にも上手くいくように下地を作れればなお良い。
杏梨から金田と何を話したか聞かれたが、適当に流しておいた。自分から教えられることは何もない。楽しいたこパをしたようで羨ましかった。
あいりとは恐らくもう元には戻れない。
戻れると思う方がおこがましい。
しかし、自分が消えた後、あいりの心に自分が残した踏み跡だけ残るのは絶対に阻止したい。
あいりはまだ21歳だ。将来もある。これからのいくらだって幸せになれる。
あいりには幸せになってもらう。
これが今の俺の出来ることだ。
こおりは決心した。
ずっと前におろして用意していたお金を取り出す。
今日は祝日だし、家にいるかもしれない。
お金だけ入れて帰ろう。
こおりは着替えて家を出た。
駅までの道のりを歩く。
おしゃれなカフェの看板に、明るいカラーのアイスティーのメニューが貼ってあった。
ああ、あいり、お茶好きだよな。確か、駅にお店あったっけか
少し足を緩めるがそのまま歩く。
改札には行かず、こおりは寄り道をした。
あいりの家は外見からは何も変化は見られなかった。郵便物が溜まっている様子もない。
ことんっ
封筒が中に確かに落ちたのを確認して、こおりは足早に立ち去った。
あいりへ
俺がずっと全て悪かった。
体調大丈夫か?
このお金は気にせず自分自身のために好きに使って欲しい。 こおり
空の色を思わせる淡い水色の封筒には10万円と、くまの絵が描かれた個包装のカモミール等のハーブティーやノンカフェイン紅茶のティーバッグが7個入っていた。
4月28日の夜にリイトにぼろくそに言われ、
4月29日に自分がいかにあいりの事をなにもわかっていなかったか自覚した。
その日の内に杏梨の家にご飯を食べに行き、彼氏の金田を楽しませたいという杏梨にたこパをすることを提案した。
馬鹿みたいにテンションを上げて、自分の持っていたたこ焼き器を貸し、たこ焼きの焼き方をレクチャーした。
ファンタスティック杏梨エンターテイメントよーー!
と叫んでいた杏梨はアホっぽかったが、一生懸命だった。
自分は何かあいりを楽しませるために努力したことはあっただろうか?
そもそも自分といてあいりは楽しかっただろうか?何で俺はたこパをあいりとしなかったんだろ?
思い出されるのはあいりの悲しそうな顔ばかりで、こおりはあいりの笑った顔を思い出せなかった。
そもそも付き合うって、一緒にいて楽しいから付き合うんだよな。
あいりはただ、単に断れなかっただけで、付き合いたくなかったかもしれない。
杏梨のたこパの日は5月3日だった。何かあったときに連絡を受けるという大義名聞で家でだらだらと過ごした。
本当はあいりに何かしなくてはいけない気がしたが、まだ勇気がでなかった。
杏梨は金田にばらしてしまったようで、杏梨のスマホから連絡が来て、金田と話した。
金田の恋愛観の違いに正直驚いた。杏梨は金田といる時間は幸せになれるだろう。
上手くいかないときはこの1年はフォローしようとこおりは思っていた。
あわよくば、自分がいなくなった後にも上手くいくように下地を作れればなお良い。
杏梨から金田と何を話したか聞かれたが、適当に流しておいた。自分から教えられることは何もない。楽しいたこパをしたようで羨ましかった。
あいりとは恐らくもう元には戻れない。
戻れると思う方がおこがましい。
しかし、自分が消えた後、あいりの心に自分が残した踏み跡だけ残るのは絶対に阻止したい。
あいりはまだ21歳だ。将来もある。これからのいくらだって幸せになれる。
あいりには幸せになってもらう。
これが今の俺の出来ることだ。
こおりは決心した。
ずっと前におろして用意していたお金を取り出す。
今日は祝日だし、家にいるかもしれない。
お金だけ入れて帰ろう。
こおりは着替えて家を出た。
駅までの道のりを歩く。
おしゃれなカフェの看板に、明るいカラーのアイスティーのメニューが貼ってあった。
ああ、あいり、お茶好きだよな。確か、駅にお店あったっけか
少し足を緩めるがそのまま歩く。
改札には行かず、こおりは寄り道をした。
あいりの家は外見からは何も変化は見られなかった。郵便物が溜まっている様子もない。
ことんっ
封筒が中に確かに落ちたのを確認して、こおりは足早に立ち去った。
あいりへ
俺がずっと全て悪かった。
体調大丈夫か?
このお金は気にせず自分自身のために好きに使って欲しい。 こおり
空の色を思わせる淡い水色の封筒には10万円と、くまの絵が描かれた個包装のカモミール等のハーブティーやノンカフェイン紅茶のティーバッグが7個入っていた。
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