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第1章
事実
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「都合の良い現実逃避してんじゃねぇっ!」
怒鳴り声にこおりは目を開いた。
殺気立った目をしたリイトが目の前に立っていた。
背広を脱いだスーツ姿だった。
ネクタイはしていない。
「すぐ逃げるやつなのは知ってたけど、ここまでとは思わなかった…ですよ」
チンピラのような口調を語尾だけ整えている。毎回キャラがぶれているのはなんなのだろうか。こいつの性格が読めない。
「…なんのことだ?」
「はぁ?こおりくんがあいりちゃんが警察に行かないのは自分のことまだ好きだとか、
妊娠してたら自分を頼ってくれるとか、
寒気のする勘違いをして、
やって当たり前の仕事をやって、さぞ自分は償ってる感出して
現実から目を背けてることですよ」
自分の考えをそのまま口に出されることに嫌悪を感じた。
そうだこいつは頭の中も読めるんだった。
「杏梨ちゃんに対しても、俺良い人、やってあげてる感がでてて、さぶいですよ。
自分が最低って認めるのがそんなにこわいですか?」
「ちがっ…俺は俺に出来ることをやろうとして…」
「何をしたんですか?一体?」
「…」
「思い出して考えろって言ったのやってました?やってないですよね?」
「それは…」
「僕、あんまり気が長くないのと、見てて胸くそ悪くて病気になりそうなので
特別に僕からみた事実を教えてあげます。
言っとくけど、これは僕からみた事実であって、あいりちゃんからみた事実ではないです。
事実はみる人の数だけあるので。
そこは忘れないで下さい」
「まず、お金。
あいりちゃんのアパートみました?ぼろぼろですよね。
バイト、時間あればしてましたよね?
服、あんまり枚数持ってないですよね。
学校は国立大学、資格が取れる学部ですね。
まぁ、ここまでいえばあまり資金援助はなく、自分でバイトして生活してたのかな?位はわかりますか?
んで、こおりくんはあいりちゃんを家に呼びつけといて、交通費も出してなかったですよね。どこから捻出してたのかなー
料理するときの材料もただで出てくる訳ないですよね?気にしたことあります?
親から十分過ぎる援助があって、遊ぶ金のためにしかバイトしてなくて、社会人になってからも、困窮してないこおりくんにはわからないですかねー?お金に困る苦しさは
次、病院。あいりちゃんは何の病院いったんですかね?気にしました?真剣に。
こおりくんのせいですよ?
セックスの本来の目的知ってます?生殖ですよ?一時の感情で、4月8日避妊してませんよね?しかもそれをあいりちゃんに言わなかった。何か様子変じゃなかったですか?
排卵とかって知ってます?排卵日の特徴とか。この時代の人はそんなことも習わないのかなー?いや、こおりくんだけか。
あいりちゃんがいった病院は産婦人科です。
自費診療でアフターピル内服したんじゃないかな?自費は高いし、産婦人科に行くのは勇気いりますよねー本来やらかした彼氏が一緒に行くべきですよね。
アフターピルの副作用は自分で調べてください。強制的に妊娠を食い止めることが身体に全く影響ないなんてまさか思わないですよね?
あと、性行為の72時間以内という時間制限があります。早い方が確率は高い、でも避妊率は100%じゃない。これってすごい不安ですよね。
あいりちゃんは1人で悩んだのかな~
そもそもあいりちゃんがこども持つことに対してどんな気持ち持ってたかこおりくんは聞いてますよね?
彼女が大事にしてる思いをよく踏みにじれますね。しかも2回も
僕が持っていくように言った50万をあいりちゃんがどう使うかはわかりません。
でも僕は、緊急避妊とそれが失敗してしまって妊娠した際の中絶費用、
あと暴行の後遺症で生活が困難になるのはわかるので生活費として考えて指示しました。
痴漢にあったあと、杏梨ちゃんはすごく怖がってましたよね。お金がいるはずのあいりちゃんが何でバイトを辞めざる得なかったのか。お客さんも定員さんも男の人沢山いますよね?今のあいりちゃんには外の世界がこわいとは思いませんか?
あーまだまだありますけど、価値観のヒントだけ教えてあげましょーねー
ほっておいたら気づきそうにないので。
なんでこおりくんが杏梨ちゃんに無条件で優しくできて、あいりちゃんにできないのか
それはあなたがいつも人を上か下かで判断して値踏みして対応しているからです。
そういうのまぁ誰しもありますけど、ずっと下にみられるのはあいりちゃん嫌だったんじゃないですか?僕だったらそんなやつからはソッコー逃げます。」
こおりは自分の身体が自分のものではないように感じた。
あいりの声が聞こえる。
こどもって尊いよねー。だって、無限大の可能性を秘めてるんだよ?すごくない?
私、全然良いお母さんになれる自信はないけど、もしも今後欲しいと思えるようになったら、子どもが不自由な思いをしないように精一杯準備してから、育てたいんだ~
親って選べないじゃない?可哀想な思いをしないように、まずお金も貯めて、自分を好きになって…、沢山あるけど頑張りたいんだ~
公園で子どもが遊ぶのを眺めながら、へへへと笑っていた。俺はそんなことまだ先のことだと聞き流していた。
俺が避妊しなかったことは
あいりのその気持ちと価値観を踏みにじったんだ。
わからないならもういい!
あいりはそう言っていた。
俺が全然わかっていなかったんだ。
呆然と立ちすくむこおりにリイトは冷たくい捨てた。
「こおりくん、落ち込むのはいいけど、自殺は認めない。もししても4月7日まではひどい状態でも生かしておくよ?
こおりくんのDeleteボタンを押すのは僕だから
もちろん、何があっても、4月7日に 」
意識が消える前に、カチッと音がした気がした。
怒鳴り声にこおりは目を開いた。
殺気立った目をしたリイトが目の前に立っていた。
背広を脱いだスーツ姿だった。
ネクタイはしていない。
「すぐ逃げるやつなのは知ってたけど、ここまでとは思わなかった…ですよ」
チンピラのような口調を語尾だけ整えている。毎回キャラがぶれているのはなんなのだろうか。こいつの性格が読めない。
「…なんのことだ?」
「はぁ?こおりくんがあいりちゃんが警察に行かないのは自分のことまだ好きだとか、
妊娠してたら自分を頼ってくれるとか、
寒気のする勘違いをして、
やって当たり前の仕事をやって、さぞ自分は償ってる感出して
現実から目を背けてることですよ」
自分の考えをそのまま口に出されることに嫌悪を感じた。
そうだこいつは頭の中も読めるんだった。
「杏梨ちゃんに対しても、俺良い人、やってあげてる感がでてて、さぶいですよ。
自分が最低って認めるのがそんなにこわいですか?」
「ちがっ…俺は俺に出来ることをやろうとして…」
「何をしたんですか?一体?」
「…」
「思い出して考えろって言ったのやってました?やってないですよね?」
「それは…」
「僕、あんまり気が長くないのと、見てて胸くそ悪くて病気になりそうなので
特別に僕からみた事実を教えてあげます。
言っとくけど、これは僕からみた事実であって、あいりちゃんからみた事実ではないです。
事実はみる人の数だけあるので。
そこは忘れないで下さい」
「まず、お金。
あいりちゃんのアパートみました?ぼろぼろですよね。
バイト、時間あればしてましたよね?
服、あんまり枚数持ってないですよね。
学校は国立大学、資格が取れる学部ですね。
まぁ、ここまでいえばあまり資金援助はなく、自分でバイトして生活してたのかな?位はわかりますか?
んで、こおりくんはあいりちゃんを家に呼びつけといて、交通費も出してなかったですよね。どこから捻出してたのかなー
料理するときの材料もただで出てくる訳ないですよね?気にしたことあります?
親から十分過ぎる援助があって、遊ぶ金のためにしかバイトしてなくて、社会人になってからも、困窮してないこおりくんにはわからないですかねー?お金に困る苦しさは
次、病院。あいりちゃんは何の病院いったんですかね?気にしました?真剣に。
こおりくんのせいですよ?
セックスの本来の目的知ってます?生殖ですよ?一時の感情で、4月8日避妊してませんよね?しかもそれをあいりちゃんに言わなかった。何か様子変じゃなかったですか?
排卵とかって知ってます?排卵日の特徴とか。この時代の人はそんなことも習わないのかなー?いや、こおりくんだけか。
あいりちゃんがいった病院は産婦人科です。
自費診療でアフターピル内服したんじゃないかな?自費は高いし、産婦人科に行くのは勇気いりますよねー本来やらかした彼氏が一緒に行くべきですよね。
アフターピルの副作用は自分で調べてください。強制的に妊娠を食い止めることが身体に全く影響ないなんてまさか思わないですよね?
あと、性行為の72時間以内という時間制限があります。早い方が確率は高い、でも避妊率は100%じゃない。これってすごい不安ですよね。
あいりちゃんは1人で悩んだのかな~
そもそもあいりちゃんがこども持つことに対してどんな気持ち持ってたかこおりくんは聞いてますよね?
彼女が大事にしてる思いをよく踏みにじれますね。しかも2回も
僕が持っていくように言った50万をあいりちゃんがどう使うかはわかりません。
でも僕は、緊急避妊とそれが失敗してしまって妊娠した際の中絶費用、
あと暴行の後遺症で生活が困難になるのはわかるので生活費として考えて指示しました。
痴漢にあったあと、杏梨ちゃんはすごく怖がってましたよね。お金がいるはずのあいりちゃんが何でバイトを辞めざる得なかったのか。お客さんも定員さんも男の人沢山いますよね?今のあいりちゃんには外の世界がこわいとは思いませんか?
あーまだまだありますけど、価値観のヒントだけ教えてあげましょーねー
ほっておいたら気づきそうにないので。
なんでこおりくんが杏梨ちゃんに無条件で優しくできて、あいりちゃんにできないのか
それはあなたがいつも人を上か下かで判断して値踏みして対応しているからです。
そういうのまぁ誰しもありますけど、ずっと下にみられるのはあいりちゃん嫌だったんじゃないですか?僕だったらそんなやつからはソッコー逃げます。」
こおりは自分の身体が自分のものではないように感じた。
あいりの声が聞こえる。
こどもって尊いよねー。だって、無限大の可能性を秘めてるんだよ?すごくない?
私、全然良いお母さんになれる自信はないけど、もしも今後欲しいと思えるようになったら、子どもが不自由な思いをしないように精一杯準備してから、育てたいんだ~
親って選べないじゃない?可哀想な思いをしないように、まずお金も貯めて、自分を好きになって…、沢山あるけど頑張りたいんだ~
公園で子どもが遊ぶのを眺めながら、へへへと笑っていた。俺はそんなことまだ先のことだと聞き流していた。
俺が避妊しなかったことは
あいりのその気持ちと価値観を踏みにじったんだ。
わからないならもういい!
あいりはそう言っていた。
俺が全然わかっていなかったんだ。
呆然と立ちすくむこおりにリイトは冷たくい捨てた。
「こおりくん、落ち込むのはいいけど、自殺は認めない。もししても4月7日まではひどい状態でも生かしておくよ?
こおりくんのDeleteボタンを押すのは僕だから
もちろん、何があっても、4月7日に 」
意識が消える前に、カチッと音がした気がした。
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