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第十六章
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『……元々ティニーは素質があった、それが開花されただけ』
どんな素質ですかアポロさん。
アポロの方もレベル30近くになり、魔法王に+がついた。
その結果、2つまでは同時に魔法を併用できるようになった。
なので、銃モードのティニーを軽量化、と同時、向かってくる敵の飛び道具を撃ち落とす役目を担ってもらっている。
「ティニーいいかげん銃に戻れよ」
「まだまだやれるっスよ?」
「そんなセリフを吐く奴ほど信用出来ないものはない」
分かったッスと言って銃に戻るティニー。
「それにしても、もう一月近くになるが、一向に安全地帯ができそうな気配が無い」
「仕方ありませんよ、あのアークデーモン、どこのはぐれメタルかってぐらい、すぐに逃げて行きますからね」
ここらのモンスターを狩っていると偶にアークデーモンが飛んでくる。
しかし、今度は警戒してか、少しダメージを受けるとすぐに逃げて行く。
「でもまあ、ここらのモンスターもだいぶ減ってきたと思いますよ」
『そうッスよ、もううちらの敵じゃないっす!』
『……私の魔法でもダメージが入るようなった』
確かに、雑魚クラスなら慣れてきたのか、それほど苦戦することもなくなった。
あのアークデーモンさえなんとかすれば、ここで暮らしていけない事もないだろう。
「いっそのこと、エクサリーと子供たちもカード化しますか?」
「…………それは今は考えていない」
ほんとにコイツ、悪魔の囁きみたいな事をするな。
「とりあえず一旦戻ろう、エクサリーにも状況を説明する必要があるしな」
それと鉱石をゲットするか。
クリスタルカードが出来てからにしようと思っていたが、カードは幾らでもある。
鉱石をゲットしまくって城壁でも作ろう。
パワードスーツが39レベルであと一つなんだが、遠距離戦ばかりで使う機会がなく、レベルがまったく上がっていない。
サウの奴は、こっそりと上から石を投げて手付けをしていたようで、34レベルと結構上がっていたりもする。
もしかしたらコイツの方が先に40レベルになるかもしれない。
「あっ、それなら良い物をダンディが拾ってきてますよ」
「ほう……」
そういう訳なんで、聖皇都の楽器店に戻ってきたのだが……
「えっ、うそっ、コレがクイーズ……」
オレの男の娘姿を見て絶句するエクサリー。
ああ、うん、そりゃそうなるよね。
ちなみにこの姿で町を歩くのは恥ずかしかったので、何気に今日が男の娘デビューの日である。
もっとなんとかならなかったのかサウ? さすがにこれは恥ずかしすぎる。
「ああ、うん、どんな姿でもクイーズはクイーズだもんね」
あっ、コーヒー飲む? ケーキ食べる? などと言って色々持って来てくれる。
随分動揺しているのか、カップを置くときの手が震えている。
「どうですか? 態々あなた好みに合わせてあげたのですよ、感謝してくださいね」
「っつ!?」
なにやらラピスに耳打ちされて瞳孔が開いている。
さすがエクサリーさん、普段は美人でも驚いた顔は地獄の使者だ。
超こええ。
「そ、それより子供達は? 元気にしているかな?」
ちょっと腰が引けながらそう聞いてみる。
『子供たちなら私の分身が面倒みてるわよ』
「分身?」
奥の部屋に行くと、キャッキャッといいながら子供達が空を舞っている小さな火の鳥を追いかけている。
なるほど、ああやって遊んでくれてるわけか。
ホウホウは精霊、自由に分裂できるし、実体を持つことも出来る。
温度調整まで可能で、寒い日にはヒーターになったりもする。
「うん、ホウオウちゃんにはほんと助けられている」
「わらわもおるぞよっ!」
「ローゼマリアもありがとうね」
お前は何かしているのか?
えっ、話相手になっている。
怖いもの同士気が合う?
怖いの意味が違うじゃないか。あと、それ本人の前で言うなよ。
「はっはっは、すでに手遅れじゃっ」
「おまえなあ……」
『子供はいいわよねぇ、ほんと私も浮気されてなきゃ……』
そう言いながらジロッとニースの方を睨む。
ニースはコホンと咳払いをしながら視線を背ける。
そしてなにやらゴソゴソと懐から四角いブロック片を取り出す。
「ダンディから預かったものじゃ。なんでも再現は出来たが加工が出来ぬと言っておった」
ダンディのレベルが20になった事により、今までグレー表示で使用できなかった天啓のスキルが使用可能になったそうだ。
それにより異世界知識でとある鉱物を作り出したのだが、加工するには道具が足りない。
ダンディが見える異世界でも魔法は存在する。
しかし、魔法を使うには魔法石というものが必要なんだと。
これはその魔法石の原石。
取り込んだ魔力により様々な姿へ形を変える。
炎の魔力を取り込めばイフリートへ。
風の魔力を取り込めばシルフへ。
そうして姿を変えた石の力を借りて人は魔法を使う。
「精霊を作り出す石、精霊石。と呼ばれているそうだ」
『あら、私みたいなのが増えるの?』
「こことは違う世界の話じゃ、そうなるとも限らない。それに、石に魔力を取り込ませるのには、魔力と取り込ませた魔法石が必要なんだと」
まるで耐火煉瓦を作るには、細かく砕いた耐火煉瓦が必要になるっていうような原理だな。
どんな素質ですかアポロさん。
アポロの方もレベル30近くになり、魔法王に+がついた。
その結果、2つまでは同時に魔法を併用できるようになった。
なので、銃モードのティニーを軽量化、と同時、向かってくる敵の飛び道具を撃ち落とす役目を担ってもらっている。
「ティニーいいかげん銃に戻れよ」
「まだまだやれるっスよ?」
「そんなセリフを吐く奴ほど信用出来ないものはない」
分かったッスと言って銃に戻るティニー。
「それにしても、もう一月近くになるが、一向に安全地帯ができそうな気配が無い」
「仕方ありませんよ、あのアークデーモン、どこのはぐれメタルかってぐらい、すぐに逃げて行きますからね」
ここらのモンスターを狩っていると偶にアークデーモンが飛んでくる。
しかし、今度は警戒してか、少しダメージを受けるとすぐに逃げて行く。
「でもまあ、ここらのモンスターもだいぶ減ってきたと思いますよ」
『そうッスよ、もううちらの敵じゃないっす!』
『……私の魔法でもダメージが入るようなった』
確かに、雑魚クラスなら慣れてきたのか、それほど苦戦することもなくなった。
あのアークデーモンさえなんとかすれば、ここで暮らしていけない事もないだろう。
「いっそのこと、エクサリーと子供たちもカード化しますか?」
「…………それは今は考えていない」
ほんとにコイツ、悪魔の囁きみたいな事をするな。
「とりあえず一旦戻ろう、エクサリーにも状況を説明する必要があるしな」
それと鉱石をゲットするか。
クリスタルカードが出来てからにしようと思っていたが、カードは幾らでもある。
鉱石をゲットしまくって城壁でも作ろう。
パワードスーツが39レベルであと一つなんだが、遠距離戦ばかりで使う機会がなく、レベルがまったく上がっていない。
サウの奴は、こっそりと上から石を投げて手付けをしていたようで、34レベルと結構上がっていたりもする。
もしかしたらコイツの方が先に40レベルになるかもしれない。
「あっ、それなら良い物をダンディが拾ってきてますよ」
「ほう……」
そういう訳なんで、聖皇都の楽器店に戻ってきたのだが……
「えっ、うそっ、コレがクイーズ……」
オレの男の娘姿を見て絶句するエクサリー。
ああ、うん、そりゃそうなるよね。
ちなみにこの姿で町を歩くのは恥ずかしかったので、何気に今日が男の娘デビューの日である。
もっとなんとかならなかったのかサウ? さすがにこれは恥ずかしすぎる。
「ああ、うん、どんな姿でもクイーズはクイーズだもんね」
あっ、コーヒー飲む? ケーキ食べる? などと言って色々持って来てくれる。
随分動揺しているのか、カップを置くときの手が震えている。
「どうですか? 態々あなた好みに合わせてあげたのですよ、感謝してくださいね」
「っつ!?」
なにやらラピスに耳打ちされて瞳孔が開いている。
さすがエクサリーさん、普段は美人でも驚いた顔は地獄の使者だ。
超こええ。
「そ、それより子供達は? 元気にしているかな?」
ちょっと腰が引けながらそう聞いてみる。
『子供たちなら私の分身が面倒みてるわよ』
「分身?」
奥の部屋に行くと、キャッキャッといいながら子供達が空を舞っている小さな火の鳥を追いかけている。
なるほど、ああやって遊んでくれてるわけか。
ホウホウは精霊、自由に分裂できるし、実体を持つことも出来る。
温度調整まで可能で、寒い日にはヒーターになったりもする。
「うん、ホウオウちゃんにはほんと助けられている」
「わらわもおるぞよっ!」
「ローゼマリアもありがとうね」
お前は何かしているのか?
えっ、話相手になっている。
怖いもの同士気が合う?
怖いの意味が違うじゃないか。あと、それ本人の前で言うなよ。
「はっはっは、すでに手遅れじゃっ」
「おまえなあ……」
『子供はいいわよねぇ、ほんと私も浮気されてなきゃ……』
そう言いながらジロッとニースの方を睨む。
ニースはコホンと咳払いをしながら視線を背ける。
そしてなにやらゴソゴソと懐から四角いブロック片を取り出す。
「ダンディから預かったものじゃ。なんでも再現は出来たが加工が出来ぬと言っておった」
ダンディのレベルが20になった事により、今までグレー表示で使用できなかった天啓のスキルが使用可能になったそうだ。
それにより異世界知識でとある鉱物を作り出したのだが、加工するには道具が足りない。
ダンディが見える異世界でも魔法は存在する。
しかし、魔法を使うには魔法石というものが必要なんだと。
これはその魔法石の原石。
取り込んだ魔力により様々な姿へ形を変える。
炎の魔力を取り込めばイフリートへ。
風の魔力を取り込めばシルフへ。
そうして姿を変えた石の力を借りて人は魔法を使う。
「精霊を作り出す石、精霊石。と呼ばれているそうだ」
『あら、私みたいなのが増えるの?』
「こことは違う世界の話じゃ、そうなるとも限らない。それに、石に魔力を取り込ませるのには、魔力と取り込ませた魔法石が必要なんだと」
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