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第十六章
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『大丈夫っスかねサヤラ……』
今回の遠征、ティニーとアポロに付いてきてもらえる事になった。
しかし、サヤラは生身の人間、一緒に行くには危険が多過ぎる。
店の方も何日も空けるわけに行かない。
その為、一人で留守番をする事に。
『……アクアも居る、何かあればすぐに分かる』
『そうっスね』
早くサヤラもクイーズのものになればいいのに。と言うアポロ。
毎回大人になるとも限らないから、もっと成長してからでもいいかなって言ってたっすよ。と答えるティニー。
ナニィ! まだ成長すると言うのか! ちょっとアポロさん、頭の中で叫ばないでくれません?
「そろそろ待ち合わせの場所ですね、ロゥリ、降下してください」
「ん、待ち合わせって?」
「ケケッ、楽しみにシテロ」
それとラピスとカシュア、ロゥリになぜかサウが今回のメンバーである。
できるだけ周りを刺激しないように最小限の戦力で挑むつもりだ。
サウはラピスの推薦で、ハーモアとレリンが一人だけずるいって拗ねていたな。
それで今は、ロゥリに乗せてもらってピクサスレーンの最西端まで飛んできたところだ。
そうしてラピスが待ち合わせと言った場所に居たのは、ダンディ、そしてパセアラの二人であった。
「どうしてパセアラがこんな所に?」
「どうしてもなにも貴方の所為で職を失ったのよ? 責任をとるのは当然でしょ」
「うむ、そうであるな。決して力になれなかった事を悔いて手をかそうとしている訳ではないぞ」
ちょっとダンディ! とか言いながら背中を叩いている。
そうか……ありがたいな。
子供の頃もなんだかんだ言いながらもオレの味方をしてくれていた。
当時はソレに気づく事が出来なかったオレだ。
もしかしたらあのスキル解放の場面も……
あそこでパセアラが真っ先にオレの頬を張らなければ、オレはあそこいた連中に何をされたか分かったもんではなかっただろう。
でもそうだよな、オレを庇った所為でパセアラは女王の座を追われた訳だ。
「あれは元々、強制的にやらされていたものよ。元に戻ったにすぎないわ」
「それでもオレは何かを返したい、そうだな……」
オレは一枚のカードを取り出す。
「これをパセアラに預けたいと思う」
「これは……ダンディの?」
そう、オレが取り出したのはダンディのカード。
おやっさんにはスラミィを持つアスカさんが、サヤラにはアクアが、エクサリーにはホウオウがついている。
しかし、パセアラには誰もついていない。
女王を追われたことにより、今後いらぬちょっかいが始まるかも知れない。
だが、ダンディがついていれば安心だ。
何かあったときも再召喚がその場で出来れば心配も少なくなる。
「…………くれるというのなら貰っておくわ」
ダンディならば、再びパセアラを女王にしたてあげるのも簡単だろう。
国王が戻ってきたといっても当時の貴族共はほとんど居ない。
今は全て、ダンディの息の掛かっている人達ばかりだ。
「でもいいのかしらね、私は貴方と違って、このカードを塩漬けにはしないわよ?」
カードで口元を隠して、悪戯っぽい目でそう言ってくるパセアラ。
パセアラの話では、近々ダンディは新国王に直接雇用される手はずになっているそうだ。
どうやらパセアラのお父様はダンディがオレのカードの一員である事をご存知ない模様。
今はダンディはゼラトース家の配下という事になっている。
オレが追放された事により、実家はうちの親父さんが再び実権を握る手筈になっている。
で、そんなゼラトース家の親父さん、以前の戦争で国王様をピクサスレーンに差し出そうとした人の筆頭。
そりゃもう嫌われている訳ですわ。
そんなゼラトース家の配下であるダンディを、新国王は自分の下へと引き抜こうとしている。
バカだなあ……ちゃんと調べてから引き抜かないと、引き抜いた後で毒草だって気づいても遅いのにな。
それではダンディ、今後は貴方の思う様に行動しなさい。
御意に。フッフッフ、いよいよ我輩の本領発揮であるな。
などと二人ほくそ笑んでいる。
ヤバイ、早まったかも?
ソレでは我輩は準備にとりかかるのである。と言って、さっそくどこかへ向かおうとするダンディ。
なんの準備だよ? おい、出来るだけ穏便にすませろよ。
「分かっているのである」
ニヤリ、と笑ってそう答えるダンディ。
その分かっているは、きっと分かってない奴だな。
大丈夫かなヘルクヘンセン。
帰ってきたら、別の国になってやしないだろうな。
あれ、パセアラは?
連れて帰らないのか?
「私は貴方と共に行く事に決めたのよ」
「ええっ!?」
いやそれは無理だろう。
ここから先は、ピクサスレーンのSランクの冒険者ですら生きては帰れない試練の大地。
戦闘なんてした事も無いパセアラを連れて行けるわけが無い。
「あら、貴方は女一人守ることもできないの?」
そうは言われましても……場所が場所な訳でありまして。
「私が頼んだのですよ」
「ラピスが?」
「はい」
なんでもパセアラの時空魔法を利用して、各地点にワープポイントを設置、いつでもここに戻って来られるようにするとか。
「ここはまだピクサスレーンの敷地内だぞ、お前等だけ戻るのか?」
「その時の為にサウを連れてきたのですよ」
「へっ?」
「ケケッ、任せロ」
そう言うとサウがオレに向かって手を向ける。
するとだ!
オレの姿が変わって行き、見る見るうちに目を見張るほどの美少女になっていくのであった。
今回の遠征、ティニーとアポロに付いてきてもらえる事になった。
しかし、サヤラは生身の人間、一緒に行くには危険が多過ぎる。
店の方も何日も空けるわけに行かない。
その為、一人で留守番をする事に。
『……アクアも居る、何かあればすぐに分かる』
『そうっスね』
早くサヤラもクイーズのものになればいいのに。と言うアポロ。
毎回大人になるとも限らないから、もっと成長してからでもいいかなって言ってたっすよ。と答えるティニー。
ナニィ! まだ成長すると言うのか! ちょっとアポロさん、頭の中で叫ばないでくれません?
「そろそろ待ち合わせの場所ですね、ロゥリ、降下してください」
「ん、待ち合わせって?」
「ケケッ、楽しみにシテロ」
それとラピスとカシュア、ロゥリになぜかサウが今回のメンバーである。
できるだけ周りを刺激しないように最小限の戦力で挑むつもりだ。
サウはラピスの推薦で、ハーモアとレリンが一人だけずるいって拗ねていたな。
それで今は、ロゥリに乗せてもらってピクサスレーンの最西端まで飛んできたところだ。
そうしてラピスが待ち合わせと言った場所に居たのは、ダンディ、そしてパセアラの二人であった。
「どうしてパセアラがこんな所に?」
「どうしてもなにも貴方の所為で職を失ったのよ? 責任をとるのは当然でしょ」
「うむ、そうであるな。決して力になれなかった事を悔いて手をかそうとしている訳ではないぞ」
ちょっとダンディ! とか言いながら背中を叩いている。
そうか……ありがたいな。
子供の頃もなんだかんだ言いながらもオレの味方をしてくれていた。
当時はソレに気づく事が出来なかったオレだ。
もしかしたらあのスキル解放の場面も……
あそこでパセアラが真っ先にオレの頬を張らなければ、オレはあそこいた連中に何をされたか分かったもんではなかっただろう。
でもそうだよな、オレを庇った所為でパセアラは女王の座を追われた訳だ。
「あれは元々、強制的にやらされていたものよ。元に戻ったにすぎないわ」
「それでもオレは何かを返したい、そうだな……」
オレは一枚のカードを取り出す。
「これをパセアラに預けたいと思う」
「これは……ダンディの?」
そう、オレが取り出したのはダンディのカード。
おやっさんにはスラミィを持つアスカさんが、サヤラにはアクアが、エクサリーにはホウオウがついている。
しかし、パセアラには誰もついていない。
女王を追われたことにより、今後いらぬちょっかいが始まるかも知れない。
だが、ダンディがついていれば安心だ。
何かあったときも再召喚がその場で出来れば心配も少なくなる。
「…………くれるというのなら貰っておくわ」
ダンディならば、再びパセアラを女王にしたてあげるのも簡単だろう。
国王が戻ってきたといっても当時の貴族共はほとんど居ない。
今は全て、ダンディの息の掛かっている人達ばかりだ。
「でもいいのかしらね、私は貴方と違って、このカードを塩漬けにはしないわよ?」
カードで口元を隠して、悪戯っぽい目でそう言ってくるパセアラ。
パセアラの話では、近々ダンディは新国王に直接雇用される手はずになっているそうだ。
どうやらパセアラのお父様はダンディがオレのカードの一員である事をご存知ない模様。
今はダンディはゼラトース家の配下という事になっている。
オレが追放された事により、実家はうちの親父さんが再び実権を握る手筈になっている。
で、そんなゼラトース家の親父さん、以前の戦争で国王様をピクサスレーンに差し出そうとした人の筆頭。
そりゃもう嫌われている訳ですわ。
そんなゼラトース家の配下であるダンディを、新国王は自分の下へと引き抜こうとしている。
バカだなあ……ちゃんと調べてから引き抜かないと、引き抜いた後で毒草だって気づいても遅いのにな。
それではダンディ、今後は貴方の思う様に行動しなさい。
御意に。フッフッフ、いよいよ我輩の本領発揮であるな。
などと二人ほくそ笑んでいる。
ヤバイ、早まったかも?
ソレでは我輩は準備にとりかかるのである。と言って、さっそくどこかへ向かおうとするダンディ。
なんの準備だよ? おい、出来るだけ穏便にすませろよ。
「分かっているのである」
ニヤリ、と笑ってそう答えるダンディ。
その分かっているは、きっと分かってない奴だな。
大丈夫かなヘルクヘンセン。
帰ってきたら、別の国になってやしないだろうな。
あれ、パセアラは?
連れて帰らないのか?
「私は貴方と共に行く事に決めたのよ」
「ええっ!?」
いやそれは無理だろう。
ここから先は、ピクサスレーンのSランクの冒険者ですら生きては帰れない試練の大地。
戦闘なんてした事も無いパセアラを連れて行けるわけが無い。
「あら、貴方は女一人守ることもできないの?」
そうは言われましても……場所が場所な訳でありまして。
「私が頼んだのですよ」
「ラピスが?」
「はい」
なんでもパセアラの時空魔法を利用して、各地点にワープポイントを設置、いつでもここに戻って来られるようにするとか。
「ここはまだピクサスレーンの敷地内だぞ、お前等だけ戻るのか?」
「その時の為にサウを連れてきたのですよ」
「へっ?」
「ケケッ、任せロ」
そう言うとサウがオレに向かって手を向ける。
するとだ!
オレの姿が変わって行き、見る見るうちに目を見張るほどの美少女になっていくのであった。
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