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第九章

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 オレは早速、ヘルクヘンセンへ赴き、ダンディにそれとなく伝える。

「なるほど、なるほど。それは良い考えかも知れませんな。むしろ主も一緒に学校へ通ったらどうですかな?」

 レリンと混じってか? 無茶言うなよ。
 さすがに、この年で小学生に混じるのはきつ過ぎる。

「ならば我輩が手取り足取り」
「いらねえよ!」

 そういやレンカイアはどうしている。
 えっ、今の時間は家庭教師にみっちりしごかれている?
 真面目に取り組んでいるようで、この調子なら数年でモノになりそうだと。
 後で顔でも出して見るか。と、レンカイアの元へ向かったのだが……

「これはこれはクイーズ様! ようこそいらっしゃいました! 貴方のご恩に報いる為、このレンカイア、身を粉にして働く所存でございます!」

 これはまた……随分変わったな。いや、元に戻ったといった所か?

「大丈夫か骸骨? 洗脳教育とかやってないだろうな?」
「いや別に、ちょっと主がこの者の為に尽力した話を、色を付け・コホン。説明申しただけである」

 骸骨、またかおめえ……

「別に間違った事は言ってないわよ。態々この子の国まで出向いたのは本当の事でしょ?」

 またオネエ言葉になってるぞ骸骨。
 別にレンカイアの為にあの国に向かった訳でもないのだが。
 まあ、結果的にはそういう感じになったのは確かだけど。

「でしょ?」
「あくまで結果がそうなっただけだ。別に恩に感じる必要はないぞ」
「っ、はいっ!」

 感動した面持ちで返事を返してくる。
 分かってないなこりゃ。まあいいか。

「それではレンきゅん、これからは、我輩の個人授業といこうかね」

 こんな夜中になんの授業をするんだよ?
 セクハラは男同士でも犯罪だぞ。
 ほら、なんか怯えているぞレンきゅん。

「クイーズ様までレンきゅん言わないでくださいよ」
「別にセクハラなどしておらんぞ。きちんと帝王学を教え込んでおる。……まあ少しだけおちゃめな部分もあるがな」

 そう言って、ペッケペーとメイド服を取りだす骸骨。

「ちょっとコスプレしてもらって、眺めて楽しむがぐらい良いであろう」

 良くねえよ! あっ、でもちょっと見てみたい気も。

「我輩にも仕事に対する対価が欲しいでござる」
「そうか対価か、うん、家庭教師代の対価じゃあ仕方ないよな?」

 ブルブルと首を振っているレンきゅん。
 おい骸骨、あるのはメイド服だけか? なに、色々取り揃えて居るって?
 おい、ちょっと見せてみろ。

 おっ、これなんていいんじゃね、バニーガールの衣装とか。
 つってこれ、ラピスの抜け殻じゃねえか。
 こんなとこ置いていたのかアイツ。

「ちょっ、ちょっと兄貴?」

 レンカイアが怯えたような表情で見てくる。
 すまない、コレもお前の成長の為に必要な事なんだ。

「そんなこと言って楽しんでません?」

 良し、偶には授業風景を参観するのも良いかもしれないな!

「あにきぃーーー!」

 ということで、レリンは暫くヘルクヘンセンの骸骨の元に預け、学校に通わすことになった。

「私が参謀……お兄ちゃんの参謀……うん! 頑張る!」

 そう言いながらも、ちょっと寂しそうなレリンちゃん。

「まあ、毎週顔を出すから、そんな寂しそうにするな」
「うん……」
「なあなあ、ハーも付いていっちゃ駄目なのか?」

 学校には大勢人間が居るぞ?
 えっ、レリンの為ならそれぐらい耐えて見せる?
 いい心がけだ! よし、つでに、

「サウも行くか?」
「勉強キライ」

 そういうな、学校は勉強だけでない。楽しい事もきっとあるぞ。
 それにハーとレリンだけだと心とも無い、お前が居てくれたらだいぶマシだろう。
 悪戯好きなサウだが、三人の中では一番、冷静に物事を見られている。

 戦闘になって一番頼りになっているのが実はサウなのだ。
 前回の宝物庫戦でも、サウの機転であの鎧を倒せたと言っても過言ではない。
 なっ、お前も二人と離れるのは嫌だろ?

「……アノ場所が、いちばん暖かい」

 サウの奴……

「それではこうしましょう」

 なぜか見送りに来ていたパセアラが口を開く。

「ここの転移魔法陣を朝夕繋げます。そうすればそちらの国から通うことも可能でしょう」
「いや、転移魔法とか大掛かりすぎじゃないか?」
「問題ないですわ。ここの魔法陣は私が起動しているのですから」

 えっ! そうなの!?
 ということは、パセアラは時空魔法のスキル持ち!?

「なるほど、なるほど。そうすれば朝夕クイーズと会えるという訳か」
「べっ、別にそういう意図はありませんわ!」

 私はお飾りだから手が空いているだけなのっ。とか、子供の世話まで見て居られない。とか、色々言っている。

「ハッハッハ、弁解すればするほどドツボにはまりますぞ!」
「っ、もう!」

 パセアラが骸骨の背中を叩いている。
 叩かれた骸骨はハッハッハと笑っている。
 随分二人、打ち解けているんだな。
 それを見てラピスがポツリと呟く。

「チッ、せっかくのダンディ飼育係計画が」
「ハッ、そういえばそうで有る! また我輩、飼育係になるとこであった!」
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