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第八章
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「貴族としては殺されたのも同じようなものだろう」
「なにを持って生きているかは人それぞれかもしれないが、それを他人が決める事では無い」
うちのご両親は、さほど悲観されていないぞ。
むしろゼラトース家の地位が上がって喜んでいたぐらい。
あの御仁は自個人よりも、家格さえ上がればなんでも良いらしい。
そいつはフンッと鼻で笑った後、カシュアの方へ向き直る。
「君は彼の部下か何かかね? どうだね、僕に乗り換えないか? 今の給金の倍は出そう」
なんなのコイツ、ほんと失礼な奴だな。
カシュアの奴はオレに顔を近づけて、なんかボク、スカウトされてるよ! ボクの事もっと大事にしないとどっかいっちゃうよ! と言っている。
うぜぇ。
「カードのダイエット方使えなくなってもいいのか?」
「ハッハッハ! 残念だったね! ボクがクイーズ君の下を離れる訳ないじゃないか! やだなあ、もう」
そう言いながら、ほっぺをつつきながら体を寄せてくる。
超ウゼエ。
オレはそんなカシュアにアイアンクローをかましながら答える。
「オレの給金の倍を出すとか言ったな? だがそれは無理なことだ。お前には決して出すことは不可能だ」
「ほほう、僕は結構自由に出来るお金があるのだがね? いずれ王族の仲間入りも視野にある」
王族ねえ……
アポロの事といい、カシュアの事といい、実力者を引き抜く国か。
まあ、あそこの国だろな。あそこの国は王族であると言っても……
「たとえどこの国の王様でも、たとえどんな金持ちであろうとも、決して不可能な事だ」
なんせオレ、カシュアに給金だしてないもん。
ゼロを倍にしてもゼロはゼロ。ゼロでは出したという事には決して成らない!
「ハッハッハ、負けず嫌いもいいかげんしたまえ」
しかしこの自称貴族様、信用してくれない。
うん、だと思ったよ。
「最後通牒だ。アポロ君、カシュア君、わが国に来る気はないか?」
「……観光になら行ってもいい」
ならば仕方ないね。と言って雑踏に消えて行く。
そしてその翌日の事だった。
オレはユーオリ様から呼び出される事になる。
「うわぁ……すごいですね。さすが世界一の王宮です」
「ピクサスレーンって実は質素な感じだったんスね」
「…………二人ともキョロキョロしない」
今回はアポロ達三人娘も同行してもらっている。
話はたぶん、昨日の事だろうと思ったから。
そしてそれは当たっていて、ユーオリ様が言うには、
「困ったのよね~、全面戦争をしかけるとか言ってきているの」
ということらしい。
大陸の中央より、やや南下にあるエンテッカル国という所から、アポロを差し出さなければ全兵力を持って強引に奪わせてもらう。とか。
「おばさん、アポロちゃんの力の事は良く知らないのだけど、それほどのものなの?」
仮にその国が旗揚げしたとなると、大陸全土を巻き込んだ大戦争になる可能性もあるとか。
そこまでの覚悟をさせるとはいったい何事なの? という事らしい。
「アポロの力じゃないんだけど……まあ、その、メテオばりの魔法が出来たというかなんというか」
「メテオですか……伝説の魔法で、隕石を降らすのでしたっけ? 確かにその使い手が現れたというのなら、そこまでする事も頷けますね」
ほんとはメテオどころか、やろうと思ったらこの街全部を吹き飛ばしかねないんだけど。
うん、黙っておこう。
「仕方ない、アクアの力を公表し、アクアのカードはオレが預かる。エンテッカルにはオレが直々に顔を出してこよう」
「えっ!?」
アポロが驚いた表情を向けてくる。
エンテッカル。その国は特殊な構造で出来ている。
実はこの国、貴族の位どころか、王様の位も力で買うことが可能なのだ。
その昔、この国の王様が、天啓スキルを持った内政チートを行っていた有る人物に、お前、そこまで言うんなら王様しろよ。と持ちかけた事があったそうな。
で、ゴタゴタの末に内政チートの人物は王位に付くことになった。
そこでピコーンってきた内政チートの人、もうだったら王様も貴族も能力が有る奴が成ればいいじゃないかと。
今まで貴族だった人達を旧貴族。
能力をかって新たに貴族にした人達を新貴族。
そして、新貴族は必ず旧貴族と一緒に仕事をする事を義務付けた。
それ以来この国では、能力が認められたなら誰でも貴族となれる。そういうシステムを用いる事にしたようなのだ。
優秀なスキルを持った人間がこの国に行き、新貴族として認められ、遊んで暮らしていける。
なにせ政治的な仕事は、パートナーとなる旧貴族がやってくれるからな。
ただし、有事の際はスキルを用いて国を守る事を義務付けられる。
それでも貴族に成れる。という事は庶民の夢で有るとの事だ。
そういった優秀な人達が集るが故に、世界でも有数の戦力を保有していると言われている。
そんなところに目を付けられたなら、アポロじゃどうしようもない。
「アポロを危険な目にあわす訳にはいかない。相手がオレであるならば向こうも諦めるだろう」
「なにを持って生きているかは人それぞれかもしれないが、それを他人が決める事では無い」
うちのご両親は、さほど悲観されていないぞ。
むしろゼラトース家の地位が上がって喜んでいたぐらい。
あの御仁は自個人よりも、家格さえ上がればなんでも良いらしい。
そいつはフンッと鼻で笑った後、カシュアの方へ向き直る。
「君は彼の部下か何かかね? どうだね、僕に乗り換えないか? 今の給金の倍は出そう」
なんなのコイツ、ほんと失礼な奴だな。
カシュアの奴はオレに顔を近づけて、なんかボク、スカウトされてるよ! ボクの事もっと大事にしないとどっかいっちゃうよ! と言っている。
うぜぇ。
「カードのダイエット方使えなくなってもいいのか?」
「ハッハッハ! 残念だったね! ボクがクイーズ君の下を離れる訳ないじゃないか! やだなあ、もう」
そう言いながら、ほっぺをつつきながら体を寄せてくる。
超ウゼエ。
オレはそんなカシュアにアイアンクローをかましながら答える。
「オレの給金の倍を出すとか言ったな? だがそれは無理なことだ。お前には決して出すことは不可能だ」
「ほほう、僕は結構自由に出来るお金があるのだがね? いずれ王族の仲間入りも視野にある」
王族ねえ……
アポロの事といい、カシュアの事といい、実力者を引き抜く国か。
まあ、あそこの国だろな。あそこの国は王族であると言っても……
「たとえどこの国の王様でも、たとえどんな金持ちであろうとも、決して不可能な事だ」
なんせオレ、カシュアに給金だしてないもん。
ゼロを倍にしてもゼロはゼロ。ゼロでは出したという事には決して成らない!
「ハッハッハ、負けず嫌いもいいかげんしたまえ」
しかしこの自称貴族様、信用してくれない。
うん、だと思ったよ。
「最後通牒だ。アポロ君、カシュア君、わが国に来る気はないか?」
「……観光になら行ってもいい」
ならば仕方ないね。と言って雑踏に消えて行く。
そしてその翌日の事だった。
オレはユーオリ様から呼び出される事になる。
「うわぁ……すごいですね。さすが世界一の王宮です」
「ピクサスレーンって実は質素な感じだったんスね」
「…………二人ともキョロキョロしない」
今回はアポロ達三人娘も同行してもらっている。
話はたぶん、昨日の事だろうと思ったから。
そしてそれは当たっていて、ユーオリ様が言うには、
「困ったのよね~、全面戦争をしかけるとか言ってきているの」
ということらしい。
大陸の中央より、やや南下にあるエンテッカル国という所から、アポロを差し出さなければ全兵力を持って強引に奪わせてもらう。とか。
「おばさん、アポロちゃんの力の事は良く知らないのだけど、それほどのものなの?」
仮にその国が旗揚げしたとなると、大陸全土を巻き込んだ大戦争になる可能性もあるとか。
そこまでの覚悟をさせるとはいったい何事なの? という事らしい。
「アポロの力じゃないんだけど……まあ、その、メテオばりの魔法が出来たというかなんというか」
「メテオですか……伝説の魔法で、隕石を降らすのでしたっけ? 確かにその使い手が現れたというのなら、そこまでする事も頷けますね」
ほんとはメテオどころか、やろうと思ったらこの街全部を吹き飛ばしかねないんだけど。
うん、黙っておこう。
「仕方ない、アクアの力を公表し、アクアのカードはオレが預かる。エンテッカルにはオレが直々に顔を出してこよう」
「えっ!?」
アポロが驚いた表情を向けてくる。
エンテッカル。その国は特殊な構造で出来ている。
実はこの国、貴族の位どころか、王様の位も力で買うことが可能なのだ。
その昔、この国の王様が、天啓スキルを持った内政チートを行っていた有る人物に、お前、そこまで言うんなら王様しろよ。と持ちかけた事があったそうな。
で、ゴタゴタの末に内政チートの人物は王位に付くことになった。
そこでピコーンってきた内政チートの人、もうだったら王様も貴族も能力が有る奴が成ればいいじゃないかと。
今まで貴族だった人達を旧貴族。
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そして、新貴族は必ず旧貴族と一緒に仕事をする事を義務付けた。
それ以来この国では、能力が認められたなら誰でも貴族となれる。そういうシステムを用いる事にしたようなのだ。
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ただし、有事の際はスキルを用いて国を守る事を義務付けられる。
それでも貴族に成れる。という事は庶民の夢で有るとの事だ。
そういった優秀な人達が集るが故に、世界でも有数の戦力を保有していると言われている。
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