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第七章

レベル115 進軍開始、新たな鉱脈をゲットせよ!

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「あら、それはいい話かもしれません!」

 パンと手を叩いてニッコリ笑うユーオリ様。
 実は何度も、その北国から援助要請が来ていたらしい。
 あの鉱山の先にも大層質のいい鉱脈があるとの事で。
 しかしながら、強力なモンスターであるオーガの群れがあり近寄れない。

 聖皇国の武力を借りてでも、なんとか奪取したい。そういう旨の打診がつい昨日もあったようだ。
 前回の防衛戦で、謎の援軍があったおかげでオーガの主力部隊が激減しているんだと。
 うん、密入国だからあまりおおっぴらにしないでって頼みこんだ。

 慈善事業もいいかも知れませんけど、ちゃんと利益はとりましょうね。って言ってくる。
 まあ、バレテマスヨネ。
 竜王まで呼び出したんだし。

 という訳で、三度目の鉱山地帯でございます。
 今回は国主導という事で、オレの家紋の旗も立って居ます。部隊だってあります。
 いつのまに作ったんだよ骸骨。

 後、例の姫様が大層来たがって困った。
 今回はあくまで聖皇国のバックアップ。エルメラダス姫様が来るとピクサスレーンが介入した事になり、かなりまずい。
 なだめるのにだいぶ時間がかかった。

「うぉっ! 今日の兄貴はすげー貴族っぽいかっこしてる!」

 鉱山の案内役として呼んだレンカイアがオレを見て驚いている。
 まあ、公爵家として来ているからな。いつもの冒険者風では居られないのだよ。

「兄貴、ほんとに貴族に返り咲いてたんすね……しかも聖皇国の紋章まで……」
「信じてなかったんかよ?」
「いや、冒険者やってる貴族なんていないっしょ」

 まあそらそうだけどよ。
 やっぱりスキルなんすかねえ……と、呟いている。

「……なあレンカイア、もう一度貴族になりたいとは思わないのか?」
「オレッチにはもう新しい家族が居るっすからね」

 オレは地図を徐に広げる。
 今回オレ達が攻略を目指している地はここだ。
 そしてここを攻略すれば新たな鉱脈が手に入る。

「出来ればお前には、その家族を率いていく役割を担ってもらいたい」

 今回のオーガ侵攻戦、オレ達が手柄を立てたら新鉱脈の利権を頂けるそうだ。
 しかしながら、管理者はこの国の人間から選ばなければならなく、紹介された人達はどれもこれもいまいちな感じ。
 レンカイアを骸骨に預けて鍛えたほうがまだマシなのかと思うほど。

 事実、鉱山防衛戦のとき、レンカイアの機転によって救われたという話も聞いた。

 鉱夫達の中では唯一の貴族出身。モンスター達の侵攻に対する備えを教わっていたのはレンカイアぐらいだったのだろう。
 この世界の貴族は実際に戦場に立つ事も多く、オレも小さい頃から戦略について色々教え込まれていた。
 そのレンカイアの打診を受けた鉱山主が指示を出し、防衛の基礎が出来たという。

「そんなの無理に決まっているじゃないですか」
「どうして無理だと決め付ける?」
「いやだっておれっち奴隷っすよ? 奴隷なのに領主なんで無理っすよ」

 だったら貴族になればいい。

「どうやって?」
「手柄を立てろ。そうだな、お前が指揮をしてあのオーガ達を殲滅せよ」

 そんな無茶っすよ。って呆れたような顔で言う。

「以前の自信に溢れたお前はどこにいった。燻っているんだろ? お前の中ではまだ決着はついていないはずだ」
「……おれっちにはスキルが無いんですよ。それが全てなんです」

 なあレンカイア。スキル、がなければ何もなしえないなんて事はないんだぞ。
 とある御伽噺の話をしよう。

 その昔、滅亡寸前の国に一人で数千の人間を倒せるスキル持ちが現れた。
 その人物はそのスキルを用いて国を救い王様となる。
 そしてその国はその王様の下、世界一の国として発展して行く事に成る。

「そんなスキルがあればオレッチだって……」
「ならばお前に、そのスキルの代わりになるものを与えよう」

 そのスキルの代わりは部隊であり、人で有る。
 今回オレは旗印の為、本丸から動くことは出来ない。
 骸骨達の本部隊が正面から攻撃し、アポロ達別働隊が後方より攻撃する手はずになっている。
 本部隊にはオーガと戦う為、聖剣を持つカシュアとドラスレを持ったラピスが入る。

 ロゥリをアポロの部隊に回したとしても指揮を取れる人物が居ない。
 だからお前にその別働隊を指揮して欲しいんだ。
 まあ指揮と言うか、ストッパー役なんだがな。
 アイツラだけだとなんか怖い。

「一部隊で数千のオーガを倒せる力がある。これを使って奴らを倒せ」
「そ、そんな! 僕、じゃないオレッチには無理ですよ!」

 万が一うまくいったとしても、鉱山の経営なんてスキルの無い自分にはとても無理だ。と言う。

「お前は一つ勘違いをしているな。先ほどの御伽噺、これには二つの意味が込められている」

 一つはスキルがあればなんでも出来る。ということ。
 たとえ滅亡寸前の国でも、スキル次第では立ち直らせる事が可能だという事。

 そしてもう一つは、

「スキルなんて無くてもなんでも出来る。ということだ」
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