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第四章

レベル63 『モンスターカード!』で、ゲットしてみたらこんがりやけました~

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 カギュウ? ふむふむ、ヘルクヘンセンの辺境に生息する全身から火を出す牛?

「ああ、獰猛で人を見かけると全身火達磨になって追いかけてくると言われている」
「その実、本当はおとなしいモンスターでな。火だってめったに吹かない。力が強く、俺たちゃの国では農耕によく使われていた」

 牛かあ……牛車ってどうなんだろうか? 日本ではその昔、馬車より牛車の方が多く使われていたと聞く。

「ふむ、カギュウに客車を引かせるか……どうなんだいボスドンの旦那」

 ちなみに、アポロの父親はサイズ、サヤラの方はボスドンと言う名前である。

「ん? 態々馬じゃなく牛に? 出来ない事はないだろうが……どうせ引かせるなら馬だろ? えっ、世話が大変? そりゃ牛だって一緒だべ」

 まあそりゃそうですよね。

「とはいえ、捕まえやすさでいえば、麒麟より火牛の方が断然上だな。維持費も安くて済む」
「どうしてそんな麒麟だなんて大物と比べるの?」
「えっ、捕まえて来てくれんじゃないのか? 火系のモンスターを」

 いつからそんな話に?
 サヤラがパパはいつもこうなんです。って頭を抱えている。
 そんなに火系のモンスターがいいならサラマンダーでいいじゃないか? えっ、奴らは瞬間火力は良くても持久力がないから使えない? 際ですか。

「いいぞ火牛は! きちんと調教をすればおとなしく従順だ! どんな重い荷物だって引けるし、速度だってそこそこでる!」

 ほうほう、断然興味が沸いてきたな。
 重い荷物って人間何人ぐらい乗れますか? えっ、10人ぐらいなら大丈夫? そりゃすげえ。
 えっ、速度も馬と遜色ないの? マジか! さすがモンスターって所か。

 いや、そういえば……前世でもウマ科よりウシ科の方がスピードが速かったな。確か……スプリング何とかって言ったか、世界最速とされるチータに迫る勢いだった気がする。
 唯あれ、どう見てもウシには見えなかったが……
 おっと、ウシっぽいヌーも結構早かったな。意外といいんじゃないか牛。

「しかもだな! うまいんだよ、コレガ! いざとなれば非常食にだってなる」

 ……さすがのオレも、ゲットしたモンスターを食べる気にはならないなあ。

 という理由でやって来ました、ヘルクヘンセンの辺境へ!
 よし、結構おとなしいって言ってたからゲットは余裕だなと思ってたところ、どこからともなくロリドラゴンが。
 早速一頭仕留めて持って来た。どうやらこの火牛、ロリドラゴンの好物だったらしく、

「ニク! ニク! ハヤクヤケ!」

 なんて言っている。
 お前、ドラゴンだろ? 生ニク食っとけ! えっ、焼いたほうがウマい?
 まったく口が肥えやがって。

 って、そうじゃない! そうじゃないだろ!

 今回オレ達はそいつをゲットしに来たの!
 狩って来てどうする!
 えっ、まだ生きてる? ニクは新鮮な方がいい?

 よし、良くやったロリドラゴン、そこを動くな。

『モンスターカード!』

◇◆◇◆◇◆◇◆

「………………」
「何が出ました?」

 うーむ、これは……なんと言っていいのだろうか?
 ☆4とさほどレアレベルは高くないのだが。
 どうなってんだこのモンスターカード?

 法則性があるんだかないんだか……

『出でよ! お料理セット!』

 そう、あのゲットした牛のカード、なんと! お料理セットでござった。

 包丁やらまな板やら、お鍋にフライパン。
 おいしく食べてね☆って感じなんだろうか?
 とりあえずお料理セットを手に持って見る。
 何もおこらない。

 ちなみにスキルはギターと同じ、オート料理。
 どうやったら発動するんだ?

「ニク? ニクドコイッタ?」

 ああ、アレこうなりましわあ。

 ――ガブリ

「いでででで! オレは食いもんじゃねえ!」

 えっ、せっかく捕って来た獲物になにしてくれるって?
 いやだからな、今日はニクを調達しに来た訳じゃないと何度言ったら分かってくれる。
 えっ、そんなのかんけえねえ? 自由だなお前!

「いだだだ……分かった! 分かったから! 次狩って来たらちゃんと料理してやる」

 オレがそう言うとロリドラゴンは一目散に駆けて行く。
 暫くしてまた一頭のカギュウを狩ってきた。

 ふむ、なるほどな。
 そのカギュウを目にしたとたん、頭の中に調理の方法がいくつか思い浮かぶ。
 食材が無いとスキルが発動しない模様。

 そうだな……やはり牛と言えばこれだよな?
 だが、今あるお料理セットじゃ作れないが……
 そう思った時だった。

 突然お料理セットが光始める。
 そして徐々に姿を変えていき、ジュウジュウと熱した鉄板になってしまった。
 おお、凄いじゃないかお料理セット! 火も無いのに鉄板が熱々だ! ……コレで殴ったら普通に武器になるな。

 いや、今はそうじゃない! そうじゃないんだ!
 やはりギュウといえばコレ! ステーキでござろう!
 オレは肉を切り取り熱く熱した鉄板に並べる。
 調味料は……塩しかないか……ふむふむ、コレをこうして、こうすると……

 切れ込みを多少入れて塩を揉みこむ。
 一番おいしい火加減、調理法方が頭にうかぶ。
 これなら、どんな料理下手でもスーパーシェフ並みの料理が作れるな!
 えっ、オレ? オレは普通ですよ? ロリドラゴンがまあ、食べてもいっかって言うぐらい。

「ウマッ! ウマァアア! ゴボッ、ガバババ!」

 ちょっと落ち着け。

「おいしぃいー」
「これホントに火牛ッスか! サヤラの両親が作った料理とは天と地ほども違うッス!」
「…………くっ、負けた」

 アポロは何と勝負しているんだ?
 カシュアなんて無言でロリドラゴンと食べ比べをしている。
 見る見る減っていくお肉さん。
 オレにも食わせろよ!

「はい、お坊ちゃま。あ~ん」
「うまっ! 何コレ、ほんと塩だけなのに!」

 しかしコレだけじゃ、道具がいいのか肉がいいのか判断つかないな。
 えっ、エクサリーさんにも持って帰ってやりたい?
 さすがにコレ運ぶのは厳しいんじゃないか?
 えっ、お前が担いで帰る。

 もうこのロリドラゴンに客車を引かせるか……いやしかし、絵面が最悪だよなあ。
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