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第一章

レベル23 『モンスターカード!』で、ゲットしてみたらプリンセスなナイトに

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 オレはその後すぐに王様骸骨の後ろにラピスを再召喚。
 そのラピス、現れたと同時、今度は王様骸骨の懐に飛び込む。
 そして杖を一閃、しかし、それは王様骸骨の剣に受け止められる。

 あいつ意外に負けず嫌いなとこがあるからな。
 力比べなんてせずにスピードで攪乱しろ。
 たぶんそいつに勝てるのはスピードぐらいだ。

 その思いが通じたのか、距離を取り、王様骸骨を攪乱するかのように小刻みに攻撃を加える。

 ふと、王様骸骨の顎がカタカタと動く。笑って、いるのか?
 次の瞬間、王様骸骨の姿がブレる。一瞬にしてラピスの眼前に。
 とっさに杖で剣を受け止めるラピス。

 今度は逆に霍乱されるように小刻みに攻撃を加えられているラピス。

 まずいな、スピードですら太刀打ちできないか。カードに戻すか。
 だがラピスはまだ、のハンドサインを送ってくる。
 徐々にオレ達の真下へ誘導しているようだ。

 しかしアレ、真下に来たとして、当てる事が出来るのだろうか?
 はっきり言って、動きが目で追えないぞ。

「えっ、うわっ、イダダダ、かじられてる、かじられてるよ!」

 その時、隣の王子様が悲鳴を上げる。
 ふと見ると、ゾンビにのしかかられていた。
 扉が開いてゾンビが侵入して来ていたようだ。
 ラピスの戦いに気をとられすぎたか!

 とっさに、王子様にのしかかっているゾンビを斬り捨てようとしたのだが、王子様が暴れて攻撃が出来ない。
 そして王子様、そのままバルコニーの壊れた手すりの隙間から1階に落ちてしまった。
 オレはすぐに一階へ目を向けた所、うまい具合に王様骸骨の真上に落ちたようだ。

 ゾンビと王子様と王様骸骨がもつれ合っている。
 よしっ、チャンスだ。

『出でよ! ドラゴンスレイヤー!』

 オレは寄って来たゾンビを蹴り飛ばしながらドラスレを召喚する。
 それは狙いたがわず王様骸骨を串刺しにした。

「今だ!」

『モンスターカード!』

 オレのモンスターカードから王様骸骨に向かって光が照射される。
 なかなか骸骨が消えない。時間が掛かっている模様。
 オレは寄って来るゾンビをひたすら蹴飛ばしながら祈りをささげる。

 ああ、神様仏様、は居ないんだっけか? とにかくなんでもいいのでお助けください。

 ようやく光の照射が収まる。
 次の瞬間、オレのカードに光が集まり始めた。
 ソレを見たゾンビさん、慄きながらワラワラと逃げ始める。
 なるほど、強い光には弱い訳か。

 そしてその神秘的な光が収まった後、そこには――――ピンク色のキラキラ輝く一枚のカードが浮かんでいたのだった。

 オレはそのカードを手に取る。そこには『プリンセスナイト』と書かれていた。
 プリンセス……えっ、あの王様骸骨、女性だったの?
 王様って言ってたからてっきり男性とばかり。女性なら女王様だろ?

 いやまあ、そこらへんは色々と事情があったのかもしれないが。

 ん? んんっ?
 んー、なんだろ? なんかここに描かれている女性、見覚えがあるような、ないような。

 うむう、なんだったかな? どこだったかな?
 ついさっきまで隣に…………
 オレはハッと階下を見やる。

 まず一人、ラピス。次にゾンビが一匹、そして――――骸骨が一体。終了。

 あれっ、なんか一人足りない気がする。
 というか骸骨なぜまだ居るの?
 あれっ、あれれぇえ?

 オレはもう一度良くカードを見てみた。
 あっ、これっ、…………いや、まさかな。だって明らかにモンスターじゃないだろ?
 あっでも、確かゾンビにかじられたとかなんとか言ってたような気も?
 しかしダメージは? ドラスレはちゃんと避けたはず。
 もしかして、意外と高さが有るバルコニー、そして結構な重量であったから……

 つーかなぜにプリンセス? 女だったの? いや、目の前で着替えてた時ちゃんと付いていたはず。

「お坊ちゃま!」

 ドンという音と共に、オレの目の前に骸骨さんが現れた。
 壊れた骨が集まって来ている。
 えっ、ドラスレの一撃でもダメージにならなかったのか!?

「ミッション失敗です! 逃げ出しますよ!」

 ラピスがダンジョンコアに駆け寄る。
 そして大きくステッキを振りかぶり、フルスングでコアをぶったたく。
 そのコアはいい音と共に、城の通路を勢いよく転がって行った。

 そしたら目の前の骸骨さん、慌ててそのコアを追いかけて行く。

『戻れ! ラピス・オブ・アイリスブラッド!』

 オレはすぐにラピスをカードに戻し、猛スピードで駆け出す。
 ゾンビ達は先ほどの光を恐れてかワラワラと道を開けてくれる。

 後はオレとラピスで、脆くなった城の壁や、街の家々をぶっ壊しながら魔都サンムーンを脱出する。

「どうしようコレ……」
「どうしましょうか……」


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なっちゃいました☆
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