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3章 異世界技能編

第28話 スキル

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 猫耳の女の子が渡してくれた本はとても読みやすく、イラストも書かれていたりして分かりやすかった。
 しばらく読み進めていくと、おおまかな説明と、一般的なスキルの種類が紹介されていた。

 スキルは、まず大まかな分類として『戦闘系』・『魔法系』・『職人系』・『耐性系』の"四大技能"に分けられ、その中でさらに細かく枝分かれし、派生スキルが多数存在するようだ。

 まず分かりやすいのが『戦闘系』で、戦いに特化したスキルがここに分類される。例えばキリーカが持っていた弓術や、剣術・槍術・斧術・格闘術などがこれに当たる。

 次に、『魔法系』は『戦闘系』と異なり、『マナ』を操る力を持つモノに限定されるスキルらしく、各スキルを使用するためには『マナ』を代価とする必要があるようだ。感覚的には、ゲームで良くあるMPのようなものとだろうと認識した。その魔法の中で、も、火魔法・水魔法・回復や強化魔法等、細かく枝分かれしているようだ。

 続いて、『職人系』スキルは、エリスさんの『演算』や『調理』、その『調理』から更に派生した『菓子職人』など、戦闘に関わらない且つ、技能を必要とするものが該当するらしい。

 最後に、『耐性系』と呼ばれるスキル郡だが、例として上げられていたのは、『火属性耐性』・『毒耐性』・『精神耐性』といったものだ。生まれ持った"バフ"、又は"抗体"といったところだろうか。

 スキルの種類については、大まかにだが理解出来た。次に、スキルの習得と、レベルアップについての項目を読み進める。

 まず、基本的にはスキルは先天性のものであるらしい。この世界では、5歳の誕生日にスキルチェックを行い、自身のスキルを確認する習慣があるようだ。

 スキルチェックは、『魔法系』スキルに該当する『分析』というスキルの能力の一部の事で、『分析』スキルのレベルが、5以上でなければ使用出来ないらしい。その為、この魔法を使用出来る者は、将来仕事には困らないそうだ。

 さらに、『添付』というスキルを持っていると、スクロールに自身の『添付』レベルと同じ数値までのレベルの魔法を1回分封じ込める事ができるらしく、『分析』と『添付』スキル両方を持つ者は非常に貴重で、重宝されるらしい。

 その為、貴重なスクロールであればあるだけ、高額取引がなされ、またその危険性から、レベルの高いスクロールについては、国が管理して売買を取り仕切っているらしい。

 次に、後天的なスキルの習得条件だが、今のところ詳細は理解わかっていないらしい。

 スキルに関連する行為、または鍛錬を積むことで、習得することが出来るらしいが、人によって必要な時間は大きく異なり、場合によってはいくら時間をかけても習得が出来ないモノもあったとか。

 そのため、スキル習得には、そもそもそのスキルに対しての"才"が無ければならない、といった結論に至ったのだという。

 そしてスキルのレベルアップについても同様に、人によっては限界値があり、更にレベルアップにかかる時間も労力も異なるという結果が出たらしい。

 ちなみにレベルは、一から二あたりが平凡以上、五まで到達すればそれだけでお金を稼げる所謂プロの域。
 それ以上になると達人の域という扱いになり、九以上となると、スキルにもよるようたが国宝級クラスになるようだ。

 また、種族ごとにスキル習得の差があるかどうかの実験も行われたが、結局のところ個人差の方が大きかったようで、つまるところ持って生まれた『才』が最も重要だということが分かった。
 この項目は、そう締めくくられている。

 実際に使ってみないと、どんなものかまでは分からないが、大まかな仕組みは理解できたと感じる。俺は本を閉じて、ぐーっと背伸びをした。集中して読んでいたからか、体が少しかたくなってしまっていた。脱力し、体の緊張を緩めると、椅子から立ち上がり、本を元あった場所へと返却する為、先程の本棚へと向かった。

 ついでに、先程の女の子に礼を言ってから去ろうと思ったが、いつの間にか先に退館していたようで、女の子の姿は無かった。まぁまたいずれ会うこともあるだろう、と思い切り替える。
 そもそもあまり時間に余裕も無い為、俺は首からかけていた入館証を掴んで、出入り口へと急いだ。





 食堂、もとい仕事場に帰る際、南の市場へ遠回りをして帰る事にする。キリーカへのお土産選びの為だ。

 図書館へと行く際に、何やら落ち込ませてしまったので、罪滅ぼしのつもりでもあるが、折角なら今よりも仲良くなりたいから、という気持ちも半々だった。

 左右に広がる市場をしばらくゆらりと見て回っていると、特別装飾が施されている訳ではないが、黒い小さなヘアピンが二つセットで売られていた。

 それを見て、キリーカの長い前髪の事を思い出す。
 近づいて良く見てみれば、価格も今の自分にとって問題ない範疇である。

 喜んでもらえるか確証は無かったが、最初の直感を信じてこのヘアピンセットを購入することにした。そして全ての用事を済ませ、足早に食堂へと向かった。
 今ならまだ、十八時頃には着けるだろう。

 そう思っていたのだが、ご飯時前の市場はなかなか混雑しており、食堂に着く頃には十八時を過ぎてしまっていた。



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