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当事者、モブ
モブの証言「ナイフには商魂を」
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「いいから、怖い思いをしたくなければ大人しく言うことを聞け……!」
「……!」
「ふん、流石にお前も怖気づいたか」
「そのナイフ、どこで買いました?」
「は?」
美人が取り出したのはナイフだった。光に反射してピカピカしてすっげぇ目に痛ぇ。でもまぁ、俺は気になったわけですよ。どこで買ったのかを。
「もしかして、そのへんに安売りしてるやつ買いませんでした?」
「は、はぁ? それが一体なんだって言うんだ」
「よくない、よくないですよそのナイフ! しっかりと研げてないですし波紋もめちゃくちゃ! 切れ味も最悪! 人の肉を切ったら油ですぐに使いもんにならなくなりますよ⁈」
「うるさーい! なんなんだお前はーッ!」
そんなクソなナイフ初めて見た! やっぱり父ちゃんの鍛冶職人としての腕前は一人前なんだなぁ! と再確認した。父ちゃんが作れば切れ味抜群スッパスパで油が付いて切れ味が落ちることもそうはない。
「どうですか? ここはオーディ鍛冶屋でナイフを購入するというのは……」
「はっ……! お前鍛冶屋の息子だったな……って、そんなことはどうでもいい! 僕は今! お前をナイフで脅してるんだ!」
「あ、ご説明ありがとうございます」
「ギィーッ!」
すごい悲鳴出てきた。綺麗な顔からそんな声出るんだな。
「僕を怒らせるんじゃない!」
そう言って美人はナイフを掴んでこっちに突っ込んで来ようとしている。
「握り方! そんな握り方じゃ自分の力がちゃんとナイフに伝わらないですよ⁈ ちゃんと握って! こう!」
「レクチャーをしてくるなぁ!」
ワーワー言いながらも微妙なナイフの持ち方で美人は走ってきてるけど、ふと、あれ、もしかして刺されようとしてる? って我に返った。
いやあのナイフの切れ味クソ悪そうだしあの握り方だとそのまま深く突き刺すことはできない。だからといって一応ナイフではあるから怪我はする。ただ当人速く走ってるつもりでも普段そこまで運動しないのか頑張ってます感だけが伝わってくる走り方だ。避けれないわけでもないけど多分俺が避けたらあの人転ける。転けたあと無事に受け身を取れたらいいけどそのまま倒れ込んだら最悪あの人にナイフが刺さる。まぁ、多少は痛いけど筋肉があればなんとかなるか? 骨に到達するほど非力そうなあの人が深く突き刺せるとは思えないし。
ということで、腹に刺さるのはちょっと危ないから腕を犠牲にしよう! ってことで鍛冶屋の手伝いで鍛えている腕を構えた。チクッとするだろうけど多分手伝いに支障は出ないはず。
「痛いッ!」
悲鳴が上がってさっきまで賑やかだったのが嘘のように周りがシンと静まり返る。
「何をしている」
「あっ、あ、うぅっ」
なんとなんと、さっきまで俺と美人しかいないこの場所にいつの間にか王子が現れてるじゃないか。これ母ちゃんが持ってる本に書いてあったやつだ! と無駄に感動してしまう。
とか思ってる場合じゃないさっきからなんかミシミシいってる音が聞こえるなと思ったら、俺と美人の間に立っている王子が美人の手首を握り潰そうとしている音だった。
「ま、待った待った! 王子落ち着け!」
「お前が刺されそうになっていたんだぞ……⁈ これが落ち着いていられるか!」
「大丈夫だって! あのナイフの切れ味クソだし美人は非力だから刺されたとしてもそこまで深く入らないしちょっと筋が切れちゃうな~程度だから! それに一度突き刺したとしても美人の握力とナイフの切れ味からして二度目突き刺すのは到底無理だし! だから心配するなって!」
「心配する要素しかないがッ⁈」
「美人の手首が折れちまうよ~! 離してやれって!」
頑張って説得してんのに王子がなかなか手を離してくれないもんだから、仕方なく王子を後ろから羽交い締めした。身長は向こうのほうがでかいけど筋力はまだ俺のほうがある。そのままズルズルと後ろに引っ張れば王子がズルズルと引き摺られて、王子に手首を掴まれてる美人もズルズルとついてくる。
「手ぇ離せ~っ!」
「くっ……」
やっと説得に応じてくれたのか、パッと美人の手首が開放された。でも引き摺られていたもんだからべちゃりと地面に倒れ込む。さっき俺をビンタした時は手を、その次は手首を痛めて美人が最難だ。
「うぅ……い、痛い……」
「だ、大丈夫?」
「自業自得だ」
「もう~。そんな冷たいこと言ってやるなよ。そもそも王子が『なんとか』しねぇからこうなったんじゃね?」
「ぐっ……」
すっごい気まずそうな顔してるけど、やっぱりどこか抜けてた。取りあえず王子にはあとで説明してもらうことにして、手首押さえてべしょべしょ泣き出した美人が心配になって屈んで背中を撫でてあげる。
「大丈夫骨は折れてねぇし痕ついてっけどしばらくしたら薄くなるから。よかったな骨折られなくて」
「手のひらも痛いぃ……」
「それはあとで冷やそうな」
「チッ!」
後ろから盛大な舌打ちが聞こえてきた。そんな王子にはそのへんに落ちてるナイフを拾ってもらうことにして。取りあえず今はべしょべしょな美人を宥めることにしよう。
「よーしよし痛かったなーよーしよし」
「うぅっ……ウェルス様……どうして僕では駄目なのですか……? こ、こんなにも、お慕いしているのに……」
「何度言われようとも俺は無理だと言ったはずだ」
「で、ですが! あなた様の身分のことを考えたら! この者だと、この先……」
「やー、でも学生の間だけだからな!」
「は?」
「え?」
「え?」
なんかこの場の空気が一瞬固まったような気がする。王子は眉間に皺を寄せたまま固まってるし美人はきょとんとしたまま固まってる。俺も二人の反応がわからなくて首を傾げて固まった。
「え?」
よくわからない空気にクエスチョンマーク浮かびまくり。するとよくわからんが美人の顔がサッと青くなった。痛すぎて具合悪くなったのかな、とか思ってたら壊れたオモチャみたいにゆっくり視線が俺の後ろに向かってる。
蜂でも飛んでる? って後ろを振り返ってみるとそこにいるのは蜂じゃなくて逆光で顔が見えなくなってる王子。
「どうしたぐえぇっ⁈」
急に頬を片手で鷲掴みされて無理やり顔を上に向けさせられた。いや王子の力が強すぎて顔がむぎゅってなってるし喋りづらい。取りあえずもう一度どうしたって聞こうとしたらだ。
「んぐーっ⁈」
思いっきり口噛みつかれた。口を閉じることもできねぇからにゅるっと舌が入ってくる。そしてそのままいつもやってるように、俺の弱いところばかり攻めてくる。これはまずい大変まずい。
王子はめちゃくちゃキスうまいから。すぐふにゃふにゃになって力入らなくなるから。とか思っている最中に早速腰が砕けて脱力しそうになる。でも王子が相変わらず俺の顔鷲掴みしてるもんだから首は痛いわ顎は痛いわ。
「んぅっ、んっ、んんーっ!」
なんとか抗議してみようとしたものの、ギラギラしている王子の目とバッチリ合った。だから王子のスイッチがわからないんだってば。
っていうかさっきから美人の視線が痛いんだけど。俺のすぐ傍にいたからこのチューもものすっごく見られてる。っていうか誰かに見られないようにするためにひと気のない場所で落ち合っていたわけじゃないっけ?
とか思っていたら目端で美人を見ていたのがバレたのか、視線を逸らせないように更にグキッと無理やり顔を固定させてきた。
「ん、ふっ、んっ」
「はっ……」
俺の顔を掴んでる手を離させようとしたけど、もう力が入らなくて駄目だった。ただ手を添えただけになってしまった。
「んんっ!」
まずいまずいまずい。王子が俺の股の間に足を差し込んできてグリグリ動かしてきやがった。そんなことされたら元気になる。でもまだ授業は残ってるし制服も汚したくない。
なんか腹立ってきたからいつもはすぐギブアップするチューも、今回ばかりは仕返ししてみることにした。いやもう力が入らないけど持ち前の体力をここで発揮しろ俺、と自分を鼓舞する。
更に更に。俺ばっかり気持ちよくさせられるのも癪だから、今の体勢を活用してチューをされつつも王子のを制服の上から軽く撫でてやれば、ビクッとその身体が跳ねた。
「ぷはっ! はーっ、はーっ」
「……こういうことだ。わかったか」
「はぅ……?」
マヌケな声が出たのは俺じゃない。俺はもう頑張って息継ぎしている最中だから。やっと開放されてふと横を見てみたら、さっきまでべしゃべしゃだった美人の顔が真っ赤っ赤になっていた。
「あ、あぅ、そ、その……失礼しますーっ!」
それだけ言うと顔真っ赤のまま慌ただしくバタバタと走り去ってしまった。
「……いやすっげぇ前屈みだったな」
「あれは相当痛いだろうな。トイレまで遠いのが災難だ」
「可哀想……うっ」
「こっちも可哀想だな」
そういってまた俺の股をグリグリしてくる。なんで悪どい顔をしてるんだこいつ本当に普段みんなの前では猫被ってる王子か。
「どうする、制服の下で出すか?」
喋っている間もグリグリ。歯を食いしばって耐えつつ、頭を左右に振った。
っていうか、元気になってるのは俺だけじゃないし。腕を伸ばして上下に軽く擦ってやればグリグリしている足が一旦止まった。荒々しい呼吸が上から降ってくる。
すると思いっきり腕を引かれてその拍子に立ち上がると、今度は俺が王子にズルズルと引っ張られることになった。
「……!」
「ふん、流石にお前も怖気づいたか」
「そのナイフ、どこで買いました?」
「は?」
美人が取り出したのはナイフだった。光に反射してピカピカしてすっげぇ目に痛ぇ。でもまぁ、俺は気になったわけですよ。どこで買ったのかを。
「もしかして、そのへんに安売りしてるやつ買いませんでした?」
「は、はぁ? それが一体なんだって言うんだ」
「よくない、よくないですよそのナイフ! しっかりと研げてないですし波紋もめちゃくちゃ! 切れ味も最悪! 人の肉を切ったら油ですぐに使いもんにならなくなりますよ⁈」
「うるさーい! なんなんだお前はーッ!」
そんなクソなナイフ初めて見た! やっぱり父ちゃんの鍛冶職人としての腕前は一人前なんだなぁ! と再確認した。父ちゃんが作れば切れ味抜群スッパスパで油が付いて切れ味が落ちることもそうはない。
「どうですか? ここはオーディ鍛冶屋でナイフを購入するというのは……」
「はっ……! お前鍛冶屋の息子だったな……って、そんなことはどうでもいい! 僕は今! お前をナイフで脅してるんだ!」
「あ、ご説明ありがとうございます」
「ギィーッ!」
すごい悲鳴出てきた。綺麗な顔からそんな声出るんだな。
「僕を怒らせるんじゃない!」
そう言って美人はナイフを掴んでこっちに突っ込んで来ようとしている。
「握り方! そんな握り方じゃ自分の力がちゃんとナイフに伝わらないですよ⁈ ちゃんと握って! こう!」
「レクチャーをしてくるなぁ!」
ワーワー言いながらも微妙なナイフの持ち方で美人は走ってきてるけど、ふと、あれ、もしかして刺されようとしてる? って我に返った。
いやあのナイフの切れ味クソ悪そうだしあの握り方だとそのまま深く突き刺すことはできない。だからといって一応ナイフではあるから怪我はする。ただ当人速く走ってるつもりでも普段そこまで運動しないのか頑張ってます感だけが伝わってくる走り方だ。避けれないわけでもないけど多分俺が避けたらあの人転ける。転けたあと無事に受け身を取れたらいいけどそのまま倒れ込んだら最悪あの人にナイフが刺さる。まぁ、多少は痛いけど筋肉があればなんとかなるか? 骨に到達するほど非力そうなあの人が深く突き刺せるとは思えないし。
ということで、腹に刺さるのはちょっと危ないから腕を犠牲にしよう! ってことで鍛冶屋の手伝いで鍛えている腕を構えた。チクッとするだろうけど多分手伝いに支障は出ないはず。
「痛いッ!」
悲鳴が上がってさっきまで賑やかだったのが嘘のように周りがシンと静まり返る。
「何をしている」
「あっ、あ、うぅっ」
なんとなんと、さっきまで俺と美人しかいないこの場所にいつの間にか王子が現れてるじゃないか。これ母ちゃんが持ってる本に書いてあったやつだ! と無駄に感動してしまう。
とか思ってる場合じゃないさっきからなんかミシミシいってる音が聞こえるなと思ったら、俺と美人の間に立っている王子が美人の手首を握り潰そうとしている音だった。
「ま、待った待った! 王子落ち着け!」
「お前が刺されそうになっていたんだぞ……⁈ これが落ち着いていられるか!」
「大丈夫だって! あのナイフの切れ味クソだし美人は非力だから刺されたとしてもそこまで深く入らないしちょっと筋が切れちゃうな~程度だから! それに一度突き刺したとしても美人の握力とナイフの切れ味からして二度目突き刺すのは到底無理だし! だから心配するなって!」
「心配する要素しかないがッ⁈」
「美人の手首が折れちまうよ~! 離してやれって!」
頑張って説得してんのに王子がなかなか手を離してくれないもんだから、仕方なく王子を後ろから羽交い締めした。身長は向こうのほうがでかいけど筋力はまだ俺のほうがある。そのままズルズルと後ろに引っ張れば王子がズルズルと引き摺られて、王子に手首を掴まれてる美人もズルズルとついてくる。
「手ぇ離せ~っ!」
「くっ……」
やっと説得に応じてくれたのか、パッと美人の手首が開放された。でも引き摺られていたもんだからべちゃりと地面に倒れ込む。さっき俺をビンタした時は手を、その次は手首を痛めて美人が最難だ。
「うぅ……い、痛い……」
「だ、大丈夫?」
「自業自得だ」
「もう~。そんな冷たいこと言ってやるなよ。そもそも王子が『なんとか』しねぇからこうなったんじゃね?」
「ぐっ……」
すっごい気まずそうな顔してるけど、やっぱりどこか抜けてた。取りあえず王子にはあとで説明してもらうことにして、手首押さえてべしょべしょ泣き出した美人が心配になって屈んで背中を撫でてあげる。
「大丈夫骨は折れてねぇし痕ついてっけどしばらくしたら薄くなるから。よかったな骨折られなくて」
「手のひらも痛いぃ……」
「それはあとで冷やそうな」
「チッ!」
後ろから盛大な舌打ちが聞こえてきた。そんな王子にはそのへんに落ちてるナイフを拾ってもらうことにして。取りあえず今はべしょべしょな美人を宥めることにしよう。
「よーしよし痛かったなーよーしよし」
「うぅっ……ウェルス様……どうして僕では駄目なのですか……? こ、こんなにも、お慕いしているのに……」
「何度言われようとも俺は無理だと言ったはずだ」
「で、ですが! あなた様の身分のことを考えたら! この者だと、この先……」
「やー、でも学生の間だけだからな!」
「は?」
「え?」
「え?」
なんかこの場の空気が一瞬固まったような気がする。王子は眉間に皺を寄せたまま固まってるし美人はきょとんとしたまま固まってる。俺も二人の反応がわからなくて首を傾げて固まった。
「え?」
よくわからない空気にクエスチョンマーク浮かびまくり。するとよくわからんが美人の顔がサッと青くなった。痛すぎて具合悪くなったのかな、とか思ってたら壊れたオモチャみたいにゆっくり視線が俺の後ろに向かってる。
蜂でも飛んでる? って後ろを振り返ってみるとそこにいるのは蜂じゃなくて逆光で顔が見えなくなってる王子。
「どうしたぐえぇっ⁈」
急に頬を片手で鷲掴みされて無理やり顔を上に向けさせられた。いや王子の力が強すぎて顔がむぎゅってなってるし喋りづらい。取りあえずもう一度どうしたって聞こうとしたらだ。
「んぐーっ⁈」
思いっきり口噛みつかれた。口を閉じることもできねぇからにゅるっと舌が入ってくる。そしてそのままいつもやってるように、俺の弱いところばかり攻めてくる。これはまずい大変まずい。
王子はめちゃくちゃキスうまいから。すぐふにゃふにゃになって力入らなくなるから。とか思っている最中に早速腰が砕けて脱力しそうになる。でも王子が相変わらず俺の顔鷲掴みしてるもんだから首は痛いわ顎は痛いわ。
「んぅっ、んっ、んんーっ!」
なんとか抗議してみようとしたものの、ギラギラしている王子の目とバッチリ合った。だから王子のスイッチがわからないんだってば。
っていうかさっきから美人の視線が痛いんだけど。俺のすぐ傍にいたからこのチューもものすっごく見られてる。っていうか誰かに見られないようにするためにひと気のない場所で落ち合っていたわけじゃないっけ?
とか思っていたら目端で美人を見ていたのがバレたのか、視線を逸らせないように更にグキッと無理やり顔を固定させてきた。
「ん、ふっ、んっ」
「はっ……」
俺の顔を掴んでる手を離させようとしたけど、もう力が入らなくて駄目だった。ただ手を添えただけになってしまった。
「んんっ!」
まずいまずいまずい。王子が俺の股の間に足を差し込んできてグリグリ動かしてきやがった。そんなことされたら元気になる。でもまだ授業は残ってるし制服も汚したくない。
なんか腹立ってきたからいつもはすぐギブアップするチューも、今回ばかりは仕返ししてみることにした。いやもう力が入らないけど持ち前の体力をここで発揮しろ俺、と自分を鼓舞する。
更に更に。俺ばっかり気持ちよくさせられるのも癪だから、今の体勢を活用してチューをされつつも王子のを制服の上から軽く撫でてやれば、ビクッとその身体が跳ねた。
「ぷはっ! はーっ、はーっ」
「……こういうことだ。わかったか」
「はぅ……?」
マヌケな声が出たのは俺じゃない。俺はもう頑張って息継ぎしている最中だから。やっと開放されてふと横を見てみたら、さっきまでべしゃべしゃだった美人の顔が真っ赤っ赤になっていた。
「あ、あぅ、そ、その……失礼しますーっ!」
それだけ言うと顔真っ赤のまま慌ただしくバタバタと走り去ってしまった。
「……いやすっげぇ前屈みだったな」
「あれは相当痛いだろうな。トイレまで遠いのが災難だ」
「可哀想……うっ」
「こっちも可哀想だな」
そういってまた俺の股をグリグリしてくる。なんで悪どい顔をしてるんだこいつ本当に普段みんなの前では猫被ってる王子か。
「どうする、制服の下で出すか?」
喋っている間もグリグリ。歯を食いしばって耐えつつ、頭を左右に振った。
っていうか、元気になってるのは俺だけじゃないし。腕を伸ばして上下に軽く擦ってやればグリグリしている足が一旦止まった。荒々しい呼吸が上から降ってくる。
すると思いっきり腕を引かれてその拍子に立ち上がると、今度は俺が王子にズルズルと引っ張られることになった。
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