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12.『人間兵器』
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結界を張り終えたあとだったため疲れているであろう身体を少しでも休ませるために抱えてあるいていたが、当人が降りると言ったものだから言われた通りに地面に降ろした。もちろん何かあればすぐに抱えるつもりではある。
「ねぇカイム、聞きたいことがあるんだけど……」
「なんだ」
本当に『教え』というものは大事なもののようで、教会にいる間に舌足らずだった喋り方が随分マシになった。少しは年相応になってきたかと思いつつ視線を下に向ければ、丸い目がこっちを見上げてくる。
「『人間兵器』って、なに? 教会の人たちは誰も教えてくれなかった」
「そりゃぁ……」
子どもに教えるのには中々にハードな内容だ。しかもつい先日まで二桁にも満たないような精神状態だった子どもには。教会の人間たちはそこに配慮してくれたんだろう。
とはいえ、このことに関してはまったく教えない、という手段を取ることは難しい。なんせアミィは当人であるからだ。
「……その名の通りだ。人間を使った兵器」
「人間を兵器として使うってこと?」
「そういうことだ」
「……周囲の人達が神経質になるのは仕方のないことなんだよ。まだ、十年しか経っていない」
「え……?」
「……十年前に、実際使われていたんです」
ウィルもティエラも話そうとしている声色がどこか重々しい。それもそうだ、たかが十年されど十年。けど世間一般的は「まだ十年」という認識だ。
「十年前、その人間兵器は各国を蹂躙していたんだ。僕たちはまだ幼かったけれどそれがどれほど怖かったのか覚えているし、大人たちはその恐怖を未だ鮮明に脳裏に焼き付けている」
自分の父親が同じように騎士だったため、その時の父親のことをよく覚えているとウィルは続けた。
「各国にある村々はその人間兵器によって滅ぼされた。とにかく甚大な被害だったんだ。そして当時その人間兵器を使っていたのがフェルド大陸のイグニート国だった」
「国境が最も接していたアルディナ大陸が特に一番被害が酷かったんです。わたしの父と母もあまりの恐ろしさにわたしを連れてウィンドシア大陸の国境付近に移動したのだと教えてくれました」
「ねぇ……その人間兵器の人って、今はいないの?」
歩いていると不意に手に何かが触れた。視線を下げてみれば話を聞いていて怖くなったのか、アミィが俺の手を掴んでいる。それを振り解くことはせず視線を前に戻して俺は口を開いた。
「今はいない」
「そうなの?」
「そうだよ。ある日突然姿を消したんだ。色んな噂が流れたけれど真実を知っている者はいないんだ」
「噂によると国に処分された、ってことらしいけどな」
「処分なんて……そんな、物のように……」
「物だったんだろうよ、国にとってはな。使い勝手のいい『兵器』。人間扱いなんてしてなかったんじゃねぇの」
「こほん……カイム」
ウィルに軽く咳払いをされたが本当のことだからしょうがない。何より知りたいと言ったのはアミィだ、ここで衣に包んだところでアミィの今立たされている状況が変わるわけじゃない。
「どうして、また……『人間兵器』なんて作ろうと思ったんでしょうか……」
「見つからなかったから、新たに作ろう。となったのだろうか……」
「そんな……あんなにも恐ろしい思いをしたのに、どうして……」
「もしくはただ単純に研究者の欲かもしれねぇな」
二人の口が重くなる。当人であるはずのアミィはいまいち実感が湧かないんだろう、キョトンとしながらウィルとティエラの顔を交互に見るだけだった。
たださっき俺が言った通り、あれほどの思いをするとよっぽど頭のおかしい連中でなければ再び『人間兵器』を作ろうとはならないだろう。十年前に蹂躙されたところは少しずつ復興を成し遂げ、ようやく普通に暮らせるようになったぐらいだ。ただ復興が難しくそのまま滅んだところだってある。
だというのに、どこからか掻っ攫ってきた子どもに媒体を直接身体に着けて、成長過程に支障をきたすのもお構いなしに実験を繰り返してきた。この子どもの自我が壊れていたらそれこそ再び『人間兵器』は作り出されていたに違いない。
なぜアミィだったのかはわからない。目は赤ではなく紫で、確かに魔術は優れてはいるが実験で使うなら赤のほうを使うはずだ。赤を使って何か問題が発生したのか、それともアミィだけに何か特出したものがあったのか。それを俺たちが簡単に知ることは難しい。
「カイム……アミィは、その『人間兵器』になっちゃうの?」
「ならねぇように、安全な場所に行こうとしてんだ」
「……うん」
「アミィちゃん、リヴィエール大陸に行くにはまず船に乗らなければならないんですが、船に乗ったことはありますか?」
「うん! あるよ! アミィお船に乗るの大好き!」
「そうなんですね!」
いい感じで話を逸したティエラのおかげで、俺はタイミングを図るかのように繋いでいた手を離した。アミィは話に夢中になってまるで釣られるかのようにティエラの元へ歩き出す。ティエラがそれとなく手を差し伸べれば、アミィは自然とその手を繋いだ。
「バプティスタ騎士のせいで船に乗り損ねたもんな」
「うん!」
「なっ……そ、それは……でも僕も、命令を受けて……」
「でもお船に乗れるからウィルのことは許してあげる!」
「よかったな、許されて」
「……今僕はとても複雑な気持ちなんだけど」
無邪気さがその良心に突き刺さるんだろう。わかりやすくニヤニヤとしていると軽く睨まれて両肩を上げた。すっかりティエラと盛り上がっているアミィはそんなウィルに気付きやしない。
後ろのお喧騒もだいぶ遠退いてきている中、複雑な表情をしていたウィルが更に眉間に皺を寄せた。前方を歩いている二人に視線を向け、小さく息を吐きだし口を開く。
「それにしても酷い話だ……あの子だってきっと普通に暮らしていただろうに」
教会にいる間、それとなくアミィにいつ攫われたのか、元はどこにいたのかを聞いてみたがその時の記憶がすっぽりと抜けて何も覚えていないらしい。その言葉を聞いて思わず表情を歪めたのは俺だけじゃなく、たまたま近くを通った司祭もそうだった。
子どもが記憶を失くすということは、それほどショックを受けるような何かがあったということだ。孤児だったのか、はたまた親はちゃんといたものの……そこまで考えて胸糞悪くなる。
「何もかもおかしくなったのは十年前からだ。あんなことが起こったから、世界は今とても不安定になっている」
「……おかしくなったのはそれよりももっと前からかもしれねぇぞ」
「え……」
「『人間兵器』が現れる前からイグニート国は平気で他国を攻めてただろ。なんでそうなったか誰も知らねぇ」
「……確かに。物心つく頃にはすでに他国を攻めていて、そしてそういう国だと教えられた。なぜイグニート国は他国を攻め入ろうとしているのだろうか」
「さぁな」
他の国は自分たちの土地に根を生やし繁栄しようとしている。イグニート国だけだ、他国に攻め入り何もかも自分の物にしようとしているのは。なぜ簡単にそんな手段を選ぶのか、それがイグニート国の国民性だから。それとも国王がそうさせているのか。
正直どこの国の人間もイグニート国と積極的に関わろうとしていない。ヤツらは大切な国に攻め込んでくる侵略者だというのが共通の認識になりつつある。そのためイグニート国がそうなった詳しい原因をわかっていない可能性もある。
「とにかく、アミィをイグニート国に盗られることだけは避けねぇとな」
「ああ、そうだな」
そんな会話を俺たちがやっていたことを知らないアミィは、元気よくこっちを振り返ってきて「早く早く」と急かしてきた。やれやれと息を吐き出した俺に、ウィルは笑みを浮かべて二人の元へ駆け出していった。
「ねぇカイム、聞きたいことがあるんだけど……」
「なんだ」
本当に『教え』というものは大事なもののようで、教会にいる間に舌足らずだった喋り方が随分マシになった。少しは年相応になってきたかと思いつつ視線を下に向ければ、丸い目がこっちを見上げてくる。
「『人間兵器』って、なに? 教会の人たちは誰も教えてくれなかった」
「そりゃぁ……」
子どもに教えるのには中々にハードな内容だ。しかもつい先日まで二桁にも満たないような精神状態だった子どもには。教会の人間たちはそこに配慮してくれたんだろう。
とはいえ、このことに関してはまったく教えない、という手段を取ることは難しい。なんせアミィは当人であるからだ。
「……その名の通りだ。人間を使った兵器」
「人間を兵器として使うってこと?」
「そういうことだ」
「……周囲の人達が神経質になるのは仕方のないことなんだよ。まだ、十年しか経っていない」
「え……?」
「……十年前に、実際使われていたんです」
ウィルもティエラも話そうとしている声色がどこか重々しい。それもそうだ、たかが十年されど十年。けど世間一般的は「まだ十年」という認識だ。
「十年前、その人間兵器は各国を蹂躙していたんだ。僕たちはまだ幼かったけれどそれがどれほど怖かったのか覚えているし、大人たちはその恐怖を未だ鮮明に脳裏に焼き付けている」
自分の父親が同じように騎士だったため、その時の父親のことをよく覚えているとウィルは続けた。
「各国にある村々はその人間兵器によって滅ぼされた。とにかく甚大な被害だったんだ。そして当時その人間兵器を使っていたのがフェルド大陸のイグニート国だった」
「国境が最も接していたアルディナ大陸が特に一番被害が酷かったんです。わたしの父と母もあまりの恐ろしさにわたしを連れてウィンドシア大陸の国境付近に移動したのだと教えてくれました」
「ねぇ……その人間兵器の人って、今はいないの?」
歩いていると不意に手に何かが触れた。視線を下げてみれば話を聞いていて怖くなったのか、アミィが俺の手を掴んでいる。それを振り解くことはせず視線を前に戻して俺は口を開いた。
「今はいない」
「そうなの?」
「そうだよ。ある日突然姿を消したんだ。色んな噂が流れたけれど真実を知っている者はいないんだ」
「噂によると国に処分された、ってことらしいけどな」
「処分なんて……そんな、物のように……」
「物だったんだろうよ、国にとってはな。使い勝手のいい『兵器』。人間扱いなんてしてなかったんじゃねぇの」
「こほん……カイム」
ウィルに軽く咳払いをされたが本当のことだからしょうがない。何より知りたいと言ったのはアミィだ、ここで衣に包んだところでアミィの今立たされている状況が変わるわけじゃない。
「どうして、また……『人間兵器』なんて作ろうと思ったんでしょうか……」
「見つからなかったから、新たに作ろう。となったのだろうか……」
「そんな……あんなにも恐ろしい思いをしたのに、どうして……」
「もしくはただ単純に研究者の欲かもしれねぇな」
二人の口が重くなる。当人であるはずのアミィはいまいち実感が湧かないんだろう、キョトンとしながらウィルとティエラの顔を交互に見るだけだった。
たださっき俺が言った通り、あれほどの思いをするとよっぽど頭のおかしい連中でなければ再び『人間兵器』を作ろうとはならないだろう。十年前に蹂躙されたところは少しずつ復興を成し遂げ、ようやく普通に暮らせるようになったぐらいだ。ただ復興が難しくそのまま滅んだところだってある。
だというのに、どこからか掻っ攫ってきた子どもに媒体を直接身体に着けて、成長過程に支障をきたすのもお構いなしに実験を繰り返してきた。この子どもの自我が壊れていたらそれこそ再び『人間兵器』は作り出されていたに違いない。
なぜアミィだったのかはわからない。目は赤ではなく紫で、確かに魔術は優れてはいるが実験で使うなら赤のほうを使うはずだ。赤を使って何か問題が発生したのか、それともアミィだけに何か特出したものがあったのか。それを俺たちが簡単に知ることは難しい。
「カイム……アミィは、その『人間兵器』になっちゃうの?」
「ならねぇように、安全な場所に行こうとしてんだ」
「……うん」
「アミィちゃん、リヴィエール大陸に行くにはまず船に乗らなければならないんですが、船に乗ったことはありますか?」
「うん! あるよ! アミィお船に乗るの大好き!」
「そうなんですね!」
いい感じで話を逸したティエラのおかげで、俺はタイミングを図るかのように繋いでいた手を離した。アミィは話に夢中になってまるで釣られるかのようにティエラの元へ歩き出す。ティエラがそれとなく手を差し伸べれば、アミィは自然とその手を繋いだ。
「バプティスタ騎士のせいで船に乗り損ねたもんな」
「うん!」
「なっ……そ、それは……でも僕も、命令を受けて……」
「でもお船に乗れるからウィルのことは許してあげる!」
「よかったな、許されて」
「……今僕はとても複雑な気持ちなんだけど」
無邪気さがその良心に突き刺さるんだろう。わかりやすくニヤニヤとしていると軽く睨まれて両肩を上げた。すっかりティエラと盛り上がっているアミィはそんなウィルに気付きやしない。
後ろのお喧騒もだいぶ遠退いてきている中、複雑な表情をしていたウィルが更に眉間に皺を寄せた。前方を歩いている二人に視線を向け、小さく息を吐きだし口を開く。
「それにしても酷い話だ……あの子だってきっと普通に暮らしていただろうに」
教会にいる間、それとなくアミィにいつ攫われたのか、元はどこにいたのかを聞いてみたがその時の記憶がすっぽりと抜けて何も覚えていないらしい。その言葉を聞いて思わず表情を歪めたのは俺だけじゃなく、たまたま近くを通った司祭もそうだった。
子どもが記憶を失くすということは、それほどショックを受けるような何かがあったということだ。孤児だったのか、はたまた親はちゃんといたものの……そこまで考えて胸糞悪くなる。
「何もかもおかしくなったのは十年前からだ。あんなことが起こったから、世界は今とても不安定になっている」
「……おかしくなったのはそれよりももっと前からかもしれねぇぞ」
「え……」
「『人間兵器』が現れる前からイグニート国は平気で他国を攻めてただろ。なんでそうなったか誰も知らねぇ」
「……確かに。物心つく頃にはすでに他国を攻めていて、そしてそういう国だと教えられた。なぜイグニート国は他国を攻め入ろうとしているのだろうか」
「さぁな」
他の国は自分たちの土地に根を生やし繁栄しようとしている。イグニート国だけだ、他国に攻め入り何もかも自分の物にしようとしているのは。なぜ簡単にそんな手段を選ぶのか、それがイグニート国の国民性だから。それとも国王がそうさせているのか。
正直どこの国の人間もイグニート国と積極的に関わろうとしていない。ヤツらは大切な国に攻め込んでくる侵略者だというのが共通の認識になりつつある。そのためイグニート国がそうなった詳しい原因をわかっていない可能性もある。
「とにかく、アミィをイグニート国に盗られることだけは避けねぇとな」
「ああ、そうだな」
そんな会話を俺たちがやっていたことを知らないアミィは、元気よくこっちを振り返ってきて「早く早く」と急かしてきた。やれやれと息を吐き出した俺に、ウィルは笑みを浮かべて二人の元へ駆け出していった。
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