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括り紮げる
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珀英がロンドンに来てから三日目。
無理やり休みを取ったのであまり長くは滞在できない、珀英は明日の夜にはロンドンを発(た)って日本に帰る予定だった。
初日は緋音のレコーディングを見学させてもらったが、二日目は緋音のために冷凍するご飯を作り置きしなくはならなかったので、緋音にひっついてスタジオには行かず、珀英はひたすらご飯を作り続けていた。
それにあのジョージがしつこく絡んでくるかもって思ったら、ちょっと遠慮したかったという理由もある。
本当は緋音と一緒にいたいし、見てるだけでも幸せだけど、こうして帰りを待っているのも嫌いではない。
珀英は家事をこなしながら、緋音の帰宅を待っていた。
冷凍庫と冷蔵庫に、温めればいいだけのご飯を作って、タッパーやジップロックに食べ方のレシピを貼り付けて、完璧な状態にした。
掃除もしたし、洗濯も完璧。それでも自分がいなくなった後、緋音がちゃんとした生活を送れるのか珀英は不安だった。
今まで甘やかしすぎたのかもしれないと反省しつつ、でも甘やかしたい欲求と戦いながら、結局甘やかしてしまう。
そういう意味では緋音も別のところで、珀英を甘やかしている部分があるから、お互い様ではある。
朝方の4時くらいに、玄関で物音がした。
鍵を開ける物音がしたので珀英は慌てて玄関へ向かい、鍵とチェーンを開けて扉を開けた。
扉の向こうには、太陽が昇り始めた朝焼けの空を背負(せお)って、疲れているのに微笑を浮かべて、嬉しいのに嬉しいのを必死で隠そうとしている、頬を赤くしながら目を外らして、
「・・・ただいま・・・」
と、口唇を尖らせている緋音がいた。
ああ可愛い・・・何でこんな可愛いんだろう・・・めちゃくちゃに犯して、泣かせたくなる・・・。
珀英は暴走しそうな衝動を抑(おさ)えながら、
「・・・お帰りなさい」
と言って、満面の笑顔で緋音を迎え入れた。緋音は玄関に入って靴を脱ぐ。
その間に珀英は鍵とチェーンをかける。
スリっパに履(は)き替えて、緋音はシャワーを浴びにそのままバスルームへ直行する。
珀英は軽く溜息をついて、着替え一式を持って脱衣所に置いておいた。
珀英はその間に、あっさりと食べられる食事を用意していたので、冷蔵庫から取り出して食卓へ並べる。
今日はクレソンと海老とチーズのサラダ、鮭の味噌焼き、プチトマトのベーコン巻きを作っておいた。
残り物の有り合わせだけど、少食の緋音にはちょうどいい量だった。
冷蔵庫に入れて置いたのは緋音が猫舌なのもあり、冷たくても美味しいものを作ったためだった。
「お腹空いた~」
案の定(じょう)、シャワーから出てきた緋音が、リビングに入ってくるなりそう言い放った。
珀英が用意した黒のTシャツとグレーのスウェットを着て、髪を拭(ふ)きながら歩いて来る。
「そう思ってご飯用意したんで、食べて下さい」
珀英はいつもの気の抜けた素の緋音を見ることができて、すごく嬉しくて嬉しくて、緋音の椅子を引いて座らせる。
緋音は珀英に促(うなが)されるまま素直に座って、髪を拭くタオルを珀英にバトンタッチすると、用意されていた食事に手を合わせた。
「いただきます」
緋音が食事を楽しみつつ、用意した軽めの白ワインを飲みつつ、嬉しそうに愉(たの)しそうにしてくれているのを、珀英は緋音の背後から濡れた髪を拭きながら、見つめていた。
ある程度髪が拭(ふ)けたので、珀英はドライヤーを持って来ると、一番弱い風で緋音の髪を丁寧に乾かす。
緋音の食事の邪魔にならないように、慎重に丁寧に乾かす。
イギリス行きを珀英に伝えた後から、珀英の甘やかし病がひどくなり、髪を乾かしてくれるようにまでなってしまった。
最初は気恥(きは)ずかしかったけど、ちゃんと綺麗に乾かしてくれるし、珀英が譲らないのもあり、諦めてお任せしている内に、髪を乾かしてもらうことに慣れてしまった。
今では当然のように思ってしまい、何も気にすることなく、黙々と食事を続ける。
ものすっごく甘やかしていることなんか、珀英もわかっていた。
緋音もものすっごく甘やかされていることなんか、わかっていた。
でも今だけは・・・また離れなきゃならないから、今だけは甘えたいし甘やかしたいと、思っていた。
珀英がロンドンに来てから三日目。
無理やり休みを取ったのであまり長くは滞在できない、珀英は明日の夜にはロンドンを発(た)って日本に帰る予定だった。
初日は緋音のレコーディングを見学させてもらったが、二日目は緋音のために冷凍するご飯を作り置きしなくはならなかったので、緋音にひっついてスタジオには行かず、珀英はひたすらご飯を作り続けていた。
それにあのジョージがしつこく絡んでくるかもって思ったら、ちょっと遠慮したかったという理由もある。
本当は緋音と一緒にいたいし、見てるだけでも幸せだけど、こうして帰りを待っているのも嫌いではない。
珀英は家事をこなしながら、緋音の帰宅を待っていた。
冷凍庫と冷蔵庫に、温めればいいだけのご飯を作って、タッパーやジップロックに食べ方のレシピを貼り付けて、完璧な状態にした。
掃除もしたし、洗濯も完璧。それでも自分がいなくなった後、緋音がちゃんとした生活を送れるのか珀英は不安だった。
今まで甘やかしすぎたのかもしれないと反省しつつ、でも甘やかしたい欲求と戦いながら、結局甘やかしてしまう。
そういう意味では緋音も別のところで、珀英を甘やかしている部分があるから、お互い様ではある。
朝方の4時くらいに、玄関で物音がした。
鍵を開ける物音がしたので珀英は慌てて玄関へ向かい、鍵とチェーンを開けて扉を開けた。
扉の向こうには、太陽が昇り始めた朝焼けの空を背負(せお)って、疲れているのに微笑を浮かべて、嬉しいのに嬉しいのを必死で隠そうとしている、頬を赤くしながら目を外らして、
「・・・ただいま・・・」
と、口唇を尖らせている緋音がいた。
ああ可愛い・・・何でこんな可愛いんだろう・・・めちゃくちゃに犯して、泣かせたくなる・・・。
珀英は暴走しそうな衝動を抑(おさ)えながら、
「・・・お帰りなさい」
と言って、満面の笑顔で緋音を迎え入れた。緋音は玄関に入って靴を脱ぐ。
その間に珀英は鍵とチェーンをかける。
スリっパに履(は)き替えて、緋音はシャワーを浴びにそのままバスルームへ直行する。
珀英は軽く溜息をついて、着替え一式を持って脱衣所に置いておいた。
珀英はその間に、あっさりと食べられる食事を用意していたので、冷蔵庫から取り出して食卓へ並べる。
今日はクレソンと海老とチーズのサラダ、鮭の味噌焼き、プチトマトのベーコン巻きを作っておいた。
残り物の有り合わせだけど、少食の緋音にはちょうどいい量だった。
冷蔵庫に入れて置いたのは緋音が猫舌なのもあり、冷たくても美味しいものを作ったためだった。
「お腹空いた~」
案の定(じょう)、シャワーから出てきた緋音が、リビングに入ってくるなりそう言い放った。
珀英が用意した黒のTシャツとグレーのスウェットを着て、髪を拭(ふ)きながら歩いて来る。
「そう思ってご飯用意したんで、食べて下さい」
珀英はいつもの気の抜けた素の緋音を見ることができて、すごく嬉しくて嬉しくて、緋音の椅子を引いて座らせる。
緋音は珀英に促(うなが)されるまま素直に座って、髪を拭くタオルを珀英にバトンタッチすると、用意されていた食事に手を合わせた。
「いただきます」
緋音が食事を楽しみつつ、用意した軽めの白ワインを飲みつつ、嬉しそうに愉(たの)しそうにしてくれているのを、珀英は緋音の背後から濡れた髪を拭きながら、見つめていた。
ある程度髪が拭(ふ)けたので、珀英はドライヤーを持って来ると、一番弱い風で緋音の髪を丁寧に乾かす。
緋音の食事の邪魔にならないように、慎重に丁寧に乾かす。
イギリス行きを珀英に伝えた後から、珀英の甘やかし病がひどくなり、髪を乾かしてくれるようにまでなってしまった。
最初は気恥(きは)ずかしかったけど、ちゃんと綺麗に乾かしてくれるし、珀英が譲らないのもあり、諦めてお任せしている内に、髪を乾かしてもらうことに慣れてしまった。
今では当然のように思ってしまい、何も気にすることなく、黙々と食事を続ける。
ものすっごく甘やかしていることなんか、珀英もわかっていた。
緋音もものすっごく甘やかされていることなんか、わかっていた。
でも今だけは・・・また離れなきゃならないから、今だけは甘えたいし甘やかしたいと、思っていた。
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