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日本を飛び立って12時間。
やっとイギリス、ロンドンの空港に着いた。無事に着陸した衝撃を全身に感じながら、大きく溜息(ためいき)を吐き出した。
日本を夜中1時すぎに出発して、ノンストップ直行でやっとついた。
日付変更線を超えるから、イギリスの時間は朝の7時近くだ。
さすがに全身の筋肉が、関節という関節がバキベキだ。
エコノミーの狭(せま)い座席に座ったまま、動けるのはトイレに行く時のみ。
あとはエコノミー症候群を防ぐために、足先を動かしたり、固まった上体を伸ばしたりするのが精一杯。
これを帰りにもう一度やんなきゃいけないのか・・・。
幸いだったのは隣の席の人が、物静かな綺麗な金髪(ブロンド)の女性だったことだな。
ロンドンに帰省する感じの彼女は、綺麗な青い瞳と真っ白な肌をして、欧州の人らしい整った顔立ちに高い鼻をしているのに、銀縁のメガネをかけていた。
180cm超える身長のやたらデカイ体のオレが隣の席で、彼女は辟易(へきえき)していたかもしれない。
そう思うと申し訳ない。
飛行機が完全に停止し、飛行機から降りるようにアナウンスが流れる。乗客が一斉に立ち上がって、頭上にある棚から各々(おのおの)荷物を取り出す。
あっという間に通路を人が埋め尽くした。
オレは隣の彼女がメガネを外し、手持ちのカバンにしまってから席を立つのを見守った。通路側に座っていた彼女が出ないとオレも出れないので、大人しく彼女の動向を見守る。
棚から荷物を取り出した彼女は、急にオレを振り返ると、綺麗な顔で微笑んで、
「Have a lovely day!」
とこれまた鈴が鳴るような綺麗な声で、朗(ほが)らかに声をかけてくれた。意味は『良い一日を』。反射的にオレは、
「cheers」
『ありがとう』と返事をして微笑んだ。彼女は満足そうに微笑んで通路に出て、人波に乗って行ってしまった。
完全にイギリスの言い回しだったから、やはりイギリス人だったんだな、とそんなことを考えながら席を立ち、オレも飛行機を降りた。
荷物を引き取らなきゃならないので、アナウンスに従って荷物受け取り所に行って、大きめのスーツケースを1つ受け取った。
今回は2泊しかできないので、荷物を抑(おさ)えるべくスーツケース1個に纏(まと)めて来ていた。
あとはターミナルバスに乗って、ロンドンの中心街へ出ればいい。
日本の空港とさほど変わらない、近代的な空港を移動する。
天井を走るなんかよく判らない曲がりくねったオブジェや、長い長いエスカレーターや、有名ブランドの店舗を眺(なが)めながら移動する。
帰る時にお土産を買っていこうとか、緋音さんに似合いそうなアクセサリーがあるかなとか、店舗をチラチラ見ながら空港を歩き、目当てのバス乗り場に到着した。
これに乗れば15分程度で中心街へ出れる。朝早いから店が開いてるわけではないが、オレの目当ては観光じゃないから構わない。
バスを降りたら、緋音さんが泊まってるアパートメントへ即移動するつもりだ。
日本から遥々(はるばる)12時間もかけて飛んできたのは、緋音さんに会うためだ。
緋音さんに会うために来たんだ。
あの人に会えないと、死にそうなんだ。
日本を飛び立って12時間。
やっとイギリス、ロンドンの空港に着いた。無事に着陸した衝撃を全身に感じながら、大きく溜息(ためいき)を吐き出した。
日本を夜中1時すぎに出発して、ノンストップ直行でやっとついた。
日付変更線を超えるから、イギリスの時間は朝の7時近くだ。
さすがに全身の筋肉が、関節という関節がバキベキだ。
エコノミーの狭(せま)い座席に座ったまま、動けるのはトイレに行く時のみ。
あとはエコノミー症候群を防ぐために、足先を動かしたり、固まった上体を伸ばしたりするのが精一杯。
これを帰りにもう一度やんなきゃいけないのか・・・。
幸いだったのは隣の席の人が、物静かな綺麗な金髪(ブロンド)の女性だったことだな。
ロンドンに帰省する感じの彼女は、綺麗な青い瞳と真っ白な肌をして、欧州の人らしい整った顔立ちに高い鼻をしているのに、銀縁のメガネをかけていた。
180cm超える身長のやたらデカイ体のオレが隣の席で、彼女は辟易(へきえき)していたかもしれない。
そう思うと申し訳ない。
飛行機が完全に停止し、飛行機から降りるようにアナウンスが流れる。乗客が一斉に立ち上がって、頭上にある棚から各々(おのおの)荷物を取り出す。
あっという間に通路を人が埋め尽くした。
オレは隣の彼女がメガネを外し、手持ちのカバンにしまってから席を立つのを見守った。通路側に座っていた彼女が出ないとオレも出れないので、大人しく彼女の動向を見守る。
棚から荷物を取り出した彼女は、急にオレを振り返ると、綺麗な顔で微笑んで、
「Have a lovely day!」
とこれまた鈴が鳴るような綺麗な声で、朗(ほが)らかに声をかけてくれた。意味は『良い一日を』。反射的にオレは、
「cheers」
『ありがとう』と返事をして微笑んだ。彼女は満足そうに微笑んで通路に出て、人波に乗って行ってしまった。
完全にイギリスの言い回しだったから、やはりイギリス人だったんだな、とそんなことを考えながら席を立ち、オレも飛行機を降りた。
荷物を引き取らなきゃならないので、アナウンスに従って荷物受け取り所に行って、大きめのスーツケースを1つ受け取った。
今回は2泊しかできないので、荷物を抑(おさ)えるべくスーツケース1個に纏(まと)めて来ていた。
あとはターミナルバスに乗って、ロンドンの中心街へ出ればいい。
日本の空港とさほど変わらない、近代的な空港を移動する。
天井を走るなんかよく判らない曲がりくねったオブジェや、長い長いエスカレーターや、有名ブランドの店舗を眺(なが)めながら移動する。
帰る時にお土産を買っていこうとか、緋音さんに似合いそうなアクセサリーがあるかなとか、店舗をチラチラ見ながら空港を歩き、目当てのバス乗り場に到着した。
これに乗れば15分程度で中心街へ出れる。朝早いから店が開いてるわけではないが、オレの目当ては観光じゃないから構わない。
バスを降りたら、緋音さんが泊まってるアパートメントへ即移動するつもりだ。
日本から遥々(はるばる)12時間もかけて飛んできたのは、緋音さんに会うためだ。
緋音さんに会うために来たんだ。
あの人に会えないと、死にそうなんだ。
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