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11、助けてロイ様!!!

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車に乗って2時間は経っただろうか?もう、俺の街からは完全に離れただろう。
腕と足を紐で縛られていて身動きが取れない。

「…あなたたちは誰ですか?」
「えっとね、俺のことは守って呼んで!こいつは気にしないでいいよ」
「はぁ…あなたが手紙を送ってきた人ですか?」
「守って呼んで!」
「…守」

そういうと、ストーカーは嬉しそうにしながら答える。

「えへへ、気づいてくれた?毎回捨てられちゃうから悲しかったよ」
「普通捨てるでしょ、知らない人から貰ったものなんて」
「知らない人じゃないでしょ?俺たちは恋人なんだから」
「は?何言って」

言葉を言い切る前に、唇を塞がれた。気づくと目の前には憎たらしいストーカーの顔があって俺はキスをされていた。

「や、やだ!…」

思わず叫ぶと、ストーカーは不機嫌そうにもう一度キスをしてきた。

「もしかしてファーストキス?」

そう聞かれて顔が青ざめる。

「嫌…帰りたい」
「大丈夫、もうすぐ着くからね。俺たちの家に」

意味がわからない。どうしてこんなことをするんだろう?
俺は目の前のストーカーを見つめる。

その顔はどこかで見たことのあるような、ないような…でもこんなことをするくらいならきっと知ってる人なのだろうか?

どうして近道なんてしてしまったのだろう。もっと気をつけていればきっと今頃ロイ様とベットで寝ていたのだろう。

今更遅いけど後悔した。

「着いたよ、さぁ行こう」
「あっ…」

紐を解かれて、車から降りる。逃げようとまわりを見渡すが周り一面は木で逃げようにも道がわからない。

大きな屋敷に入っていく。

「ここは?」
「俺たちの家だよ。フフ、大きいでしょ?おいで、こっちが部屋だよ」

手を引かれて連れて行かれたのは俺の家のリビングより広い部屋だった。
大きなベットとソファが置いてあり、テレビだったりもある。

「2人で寝ようね」
「…」

その後もいろいろな部屋を紹介されたが一度じゃ覚えきれないだろう。

「それじゃあ、ご飯にしようか」
「うん…」

大人しく従うことにした俺はストーカーについていく。
台所で着々と料理を進めるストーカーを見ながら俺は携帯を探していた。

ポケットに入っていたはずのスマホはなくなっていた。

「はい、できたよ」

出されたのは美味しそうなオムライス。何か変なものを入れてないか確認してパクッと一口食べる。

味は悪くない。むしろ美味しい。

「どう?美味しい?」
「ま、まぁ…美味しい」
「本当?!良かった、フフ」

ストーカーは俺を撫でるように見てくる。気持ちが悪くて鳥肌がたった。
だが結局、空腹に抗えずに俺はオムライスを全部食べた。

「ご馳走様」
「ちゃんと言えてえらいね」
「…」

こいつは一体どういうつもりなのだろうか?ジッと見つめるがニコッと笑って返される。

「そろそろお風呂入る?」
「別に…」
「いいから、入ろう?」

ストーカーの目の奥に光がない。俺は怖くなってコクンと頷いてしまった。





「フフ、玲とお風呂に入れるなんて幸せだなー」

俺は今絶賛ストーカーの膝の上に座っています。えぇ、もちろん裸で。

「そろそろ上がりたい」
「そう?のぼせちゃった?顔も赤いね、フフ可愛い」

ロイ様以外から言われてもキュンとしない。俺はひたすらにロイ様が助けにやってくることを祈った。

早くこのストーカーを誰か逮捕してほしい。

お風呂に上がってブカブカの服を着る。もちろんストーカーの服だ。
早く脱ぎたくて仕方なかったけどグッと堪えた。

「可愛いなぁ、おいで」
「帰りたい…」
「玲の家はここでしょ?」

小さく呟いた言葉が聞こえていたらしく、いち早く返される。

「じゃあ、もうそろそろ寝ようね」
「…」

ベットは大きくてフカフカで俺は今まで体験したことのないようなベットだった。
ストーカーがいなくて、ロイ様と一緒だったら完璧だったのに…と思いながらベットの感触を楽しむ。

ストーカーは俺を見てニヤニヤしながらぎゅっと抱きしめてくる。

「可愛いね、もうどこにも行かせないよ」
「え?」

ストーカーの腕に力がこもる。苦しくなって、俺は背中を叩いた。

「く、苦しい…」
「あ、ごめんね!えへへ、力入れすぎちゃったね」

さっきとは打って変わって優しく抱きしめられる。
その感触も少し喜んでいる自分も気持ち悪くなってしまう。

電気を消して、ストーカーは俺を抱きしめながら寝た。
ロイ様は今頃どうしているだろうか?俺のことを心配してくれてるだろうなぁと思うと少しだけ嬉しくなる。

「ロイ様…」

きっと助けに来てくれるはずだよ…きっとね






「おい良かったのかよあれで?」
「いいじゃんか!こんなに金を貰えたんだ!楽な仕事だろ」
「だけど!どう見ても誘拐だろあんなの」
「それはそうだけどさ…まぁ、逆らったらどうなるか分かんねぇしな」

男はただただ少年の無事を祈るのだった。







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