[本編完結]彼氏がハーレムで困ってます

はな

文字の大きさ
上 下
5 / 51

5、宣戦布告

しおりを挟む
もうすぐ夏休みだ。夏休みと言ったら旅行とか夏祭りとか楽しみな行事がたくさんだ。

「慎二!今度のお祭り一緒に行かない?」
「え?お祭り?あー、うん」
「本当?!2人だけで…その、行きたい」
「……別にいいけど」
「やった!楽しみにしてる!」

俺は心の中でガッツポーズを決める。

(今度は絶対成功させる!)

「あと、今日は一緒に帰れる?」
「ごめん、今日は立花とパンケーキ食べに行くんだ」
「ぱ、パンケーキ?…待って、2人で行くの?」
「そうだけど…何かあるの?」
「…他の人も連れて行ったら?あの先輩の人とか」

なんとなんく、2人にするのは嫌だ。

「先輩?あ、山田先輩のこと?あの人とは、また別の約束をしてるから」
「う、嘘?!いつ?どこで!2人!?」
「あー…ごめん、また今度話す」

そう言って女の子達の方に戻って行った。

「あー…またはぐらかされた」
「雪、おはよう」

落ち込んでいると亮が話しかけてくれる。

「亮…おはよ」
「どうしたの?落ち込んでるね」
「ううん…大丈夫」
「本当?ほら、顔あげて」

顎に手をやられて顎クイされる。ヤバい心臓ドキドキ。顔も赤くなってるかもしれない。

「フフ、顔赤いね」
「あ、赤くない!」

(うー!…亮ってばイケメンすぎ)

「雪」
「ふぇ?」

名前を呼ばれて上を向くと、あと少しでキスしそうなくらいのところに亮の顔がある。

「な、何?!」
「…キスしていい?」
「へ?!な、な、何言って!」
「フフ、冗談」

ポカンとしてからまた、顔が赤くなる。

「馬鹿じゃないの!も、もう!……」
「ごめん、ごめん」

と軽く笑いながら言う亮に俺はドキドキしながら亮を少し睨む。

「ビックリしたじゃん」
「ごめんね?雪が可愛かったから」
「か、可愛い?」

急に褒められて俺はまたドキドキする。

「うん、可愛い」
「っ!あぅ…えっと」
「雪、可愛い」
「うぅ…も、もうやめて」

耳を塞いで聞こえないようにするが手を片手で抑えられる。

「可愛いよ」

耳元でゆっくり囁かれる。

「か、可愛くないから!」

俺はキャパオーバーして逃げ出す。途中、色んな人にぶつかったが構わず走る。

「うわっ!」
「雪?」

廊下を突き抜けたところで、誰かにぶつかり目の前で受け止められた。

「あ、君!」
「あれ?その人ってこの間の…」
「なんで走ってきたの?」

「あ……し、慎二」

受け止めてくれたのは慎二だったようだ。
慎二は俺が怪我をしてないか心配してくれる。

「あ、いたいた」

すると、後ろから亮が追いかけてきたのか息をはずませている。

「亮!」
「いきなり教室から出ていくから心配したよ!ってあれ?西山じゃん」
「…七瀬」
「相変わらず女の子と仲良くていいね~!
まぁ、俺としては好都合だけどね!」
「はぁ?どう言う意味?」

2人とも口は笑っているが目は笑っていない。
今にも喧嘩が始まりそうで、俺は亮の手を引っ張った。

「亮、いいから…それじゃ」
「雪!さっきはごめんね?」
「ううん、もういいよ」

そう言うと亮は安心したのか、ぎゅっとされた。なんだか犬みたいだ。
俺も背中に手を回してポンポンしてあげる。

すると、それを見ていた慎二が笑顔になった。笑顔なんだけど何か圧がある。

「……雪、今日やっぱり一緒に帰ろっか」
「へ?いいの!やった!」

(なんだか、今日はいいことが続いてる気がする!)





帰り、俺は校門で待っている慎二に勢いよく飛びつく。

「慎二!えへへ、早く行こう!」
「うん、行こうか」

にしても…

「立花さんとの約束はいいの?」
「うん、明日にしてもらった」
「そっか…フフ!」

(よし!このまま上手くいけば女の子から取り返せる!)

今日は俺の家に慎二を呼んだ。家はそれ程近くないが遠くもない。
それに今日は家に親がいない!思いっきりイチャイチャできる!

「慎二、ここ座って?」
「え?うん」

慎二をソファに座らせて俺は慎二の膝に乗る。

「ぎゅーしたい」
「いいよ、ほら」

手を広げる慎二に抱きつく。それでぎゅーってする。
それで、少しだけ軽いキスをする。唇と唇が触れるだけの。

そうして、しばらくイチャイチャしてると慎二の携帯に電話がかかってきた。

「ちょっと、ごめん」
 
そう言って慎二は俺を膝から下ろす。

「…?」

慎二の携帯を覗くと相手は…立花だった。
電話の内容は明日のパンケーキについてだろうか?そうであってくれ…




しおりを挟む
感想 9

あなたにおすすめの小説

俺の幼馴染はストーカー

凪玖海くみ
BL
佐々木昴と鳴海律は、幼い頃からの付き合いである幼馴染。 それは高校生となった今でも律は昴のそばにいることを当たり前のように思っているが、その「距離の近さ」に昴は少しだけ戸惑いを覚えていた。 そんなある日、律の“本音”に触れた昴は、彼との関係を見つめ直さざるを得なくなる。 幼馴染として築き上げた関係は、やがて新たな形へと変わり始め――。 友情と独占欲、戸惑いと気づきの間で揺れる二人の青春ストーリー。

もう遅いなんて言わせない

木葉茶々
BL
受けのことを蔑ろにしすぎて受けに出ていかれてから存在の大きさに気づき攻めが奮闘する話

いとしの生徒会長さま

もりひろ
BL
大好きな親友と楽しい高校生活を送るため、急きょアメリカから帰国した俺だけど、編入した学園は、とんでもなく変わっていた……! しかも、生徒会長になれとか言われるし。冗談じゃねえっつの!

俺の好きな男は、幸せを運ぶ天使でした

たっこ
BL
【加筆修正済】  7話完結の短編です。  中学からの親友で、半年だけ恋人だった琢磨。  二度と合わないつもりで別れたのに、突然六年ぶりに会いに来た。 「優、迎えに来たぞ」  でも俺は、お前の手を取ることは出来ないんだ。絶対に。  

泣き虫な俺と泣かせたいお前

ことわ子
BL
大学生の八次直生(やつぎすなお)と伊場凛乃介(いばりんのすけ)は幼馴染で腐れ縁。 アパートも隣同士で同じ大学に通っている。 直生にはある秘密があり、嫌々ながらも凛乃介を頼る日々を送っていた。 そんなある日、直生は凛乃介のある現場に遭遇する。

俺の親友のことが好きだったんじゃなかったのかよ

雨宮里玖
BL
《あらすじ》放課後、三倉は浅宮に呼び出された。浅宮は三倉の親友・有栖のことを訊ねてくる。三倉はまたこのパターンかとすぐに合点がいく。きっと浅宮も有栖のことが好きで、三倉から有栖の情報を聞き出そうとしているんだなと思い、浅宮の恋を応援すべく協力を申し出る。 浅宮は三倉に「協力して欲しい。だからデートの練習に付き合ってくれ」と言い——。 攻め:浅宮(16) 高校二年生。ビジュアル最強男。 どんな口実でもいいから三倉と一緒にいたいと思っている。 受け:三倉(16) 高校二年生。平凡。 自分じゃなくて俺の親友のことが好きなんだと勘違いしている。

視線の先

茉莉花 香乃
BL
放課後、僕はあいつに声をかけられた。 「セーラー服着た写真撮らせて?」 ……からかわれてるんだ…そう思ったけど…あいつは本気だった ハッピーエンド 他サイトにも公開しています

モテる兄貴を持つと……(三人称改訂版)

夏目碧央
BL
 兄、海斗(かいと)と同じ高校に入学した城崎岳斗(きのさきやまと)は、兄がモテるがゆえに様々な苦難に遭う。だが、カッコよくて優しい兄を実は自慢に思っている。兄は弟が大好きで、少々過保護気味。  ある日、岳斗は両親の血液型と自分の血液型がおかしい事に気づく。海斗は「覚えてないのか?」と驚いた様子。岳斗は何を忘れているのか?一体どんな秘密が?

処理中です...