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本編 ~ 第五章 ~
41話 機械的な出会い ~壮大な過去~■挿絵あり■
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「おい、管理官、これからここに住まわせてもらぞ」
なんて乱暴な言い方⋯⋯。
こっちは頼んでるほうなのに。
「残念ですがそれは無理ですね」
ほらね、やっぱり。
普通頼み事って低姿勢でお願いするよね。
「あ、あの⋯⋯ロボットさんーー」
私が全部言い終わる前にロボットが話を続けた。それにしてもロボットさんって⋯⋯。
「ここでは私達6人が住むのが精いっぱいです。育てた野菜は分けてあげますよ! ほら!」
ロボットはそういって少しの野菜を私に手渡した。
「いや、管理官、俺達が欲しいのは野菜じゃなくて寝床だ。わかるだろ?」
プリンは少し険しい顔をしてそう言った。
「そうですね⋯⋯わかりました! ではこれをグリンフィズに届けてください。そうしたらあなた方の寝床を用意しましょう! どうです? いい提案でしょう?」
ロボットはそう言いながら、ウィーンという機械音を鳴らしている。本当にテンションが高いロボットだ。
「そこに荷物を届けたら、ここを俺達の場所にしていいんだな?」
「えぇ! 考えておきますよ。きちんとね。これは新鮮な野菜や果物! 腐らないうちに早くグリンフィズへ届けてください! さぁ、行った行った!」
ちょっと待って。新鮮な野菜や果物って⋯⋯もしかしてまだ供給する気? もうゲームのままの街とは限らない。
むしろ荒らされている確率のほうが高い。
ここのロボット達はまだゲーム通りに動いているんだ⋯⋯意味ないのに。
まぁでもこれで寝床が確保できるなら⋯⋯いいか。
「わかった。じゃあこれを届ければいいのね? 行ってくる」
私とプリンはそう言ってロボットに背を向けて歩き始めた。
すると背後からウイーンという機械音が聞こえてきた。
「ねぇプリン、なんか付いてくるよ?」
「あぁ? 見張りだろ」
なるほど。私達がちゃんと届けるかどうか見張る為って事ね。
まぁ、いいか。いざとなったら戦力になるしね。
グリンフィズとはここから南に少し行ったところにある街だ。
本当に少し歩けば着くところ。
荒らされてなきゃいいけど⋯⋯。
でも未だに供給を続けているって事は、無事って事なのかな?
「あれ、グリンフィズってこんな遠かったっけ?」
私はふとそう思い、プリンに訪ねてみた。
「ゲームだと近く感じるがな」
そっか、ゲームだとすぐの距離だったけど、今は実際に歩いてるんだもんね。距離感覚おかしくなってるわ。
しかしやっぱりそう遠くなかったグリンフィズへは、何の苦労もする事なく無事に辿り着いた。
発見 グリンフィズ EXP120
着いたけど、誰も人がいない。やっぱり誰かに占拠されちゃったのかな。
「ここはもうしばらく前から誰も住んでいません。しかし管理官は⋯⋯」
「管理官は知らないの?」
私がそう聞くとロボットは悲しそうな声で答えた。
「私達はずっと昔、ここの街の人達と一緒に暮らしていました。しかしある時から街の人は変わってしまった。私達を人ではないからと、追い出したのです。そして私達はこの街の近くに菜園を築き暮らし始めたのです。グリーンヒルズ菜園と名付けて」
そうだったんだ。F.o.D.のファンだけど、そこまで詳しくは知らなかった。
ロボットは浅い溜息を付き、更に続けた。
「街を追い出されてもなお、管理官は街の事は忘れておらず、助けになりたいと供給ラインを繋ぎ、菜園で育てた作物を届けているのです。
でも⋯⋯ある時私がこの街に供給しに来た時、既に街の人々は誰もいなくなっていました。私は必死で探しました。隅々まで。
しかしそこには私に向けてくれる人々の笑顔はもうありませんでした。そこにあったのは⋯⋯無残に殺された人々の姿だったのです。
でも私はこの事を管理官にお伝えすることはできなかった。管理官の悲しむ顔を見たくないのです。
私達は管理官の元気な声だけを聞いていたかったのです。それから時が経ち、今でも管理官はこのありさまは知らないままなのです。
いや⋯⋯もしかしたら知っているのかもしれません。ですが私にはどうする事もできないのです」
私はそんな過去を聞いて何も言えず、励ます事すらできなかった。
その人達の遺体はこのロボットがこの街に全て埋めたらしい。
なんて乱暴な言い方⋯⋯。
こっちは頼んでるほうなのに。
「残念ですがそれは無理ですね」
ほらね、やっぱり。
普通頼み事って低姿勢でお願いするよね。
「あ、あの⋯⋯ロボットさんーー」
私が全部言い終わる前にロボットが話を続けた。それにしてもロボットさんって⋯⋯。
「ここでは私達6人が住むのが精いっぱいです。育てた野菜は分けてあげますよ! ほら!」
ロボットはそういって少しの野菜を私に手渡した。
「いや、管理官、俺達が欲しいのは野菜じゃなくて寝床だ。わかるだろ?」
プリンは少し険しい顔をしてそう言った。
「そうですね⋯⋯わかりました! ではこれをグリンフィズに届けてください。そうしたらあなた方の寝床を用意しましょう! どうです? いい提案でしょう?」
ロボットはそう言いながら、ウィーンという機械音を鳴らしている。本当にテンションが高いロボットだ。
「そこに荷物を届けたら、ここを俺達の場所にしていいんだな?」
「えぇ! 考えておきますよ。きちんとね。これは新鮮な野菜や果物! 腐らないうちに早くグリンフィズへ届けてください! さぁ、行った行った!」
ちょっと待って。新鮮な野菜や果物って⋯⋯もしかしてまだ供給する気? もうゲームのままの街とは限らない。
むしろ荒らされている確率のほうが高い。
ここのロボット達はまだゲーム通りに動いているんだ⋯⋯意味ないのに。
まぁでもこれで寝床が確保できるなら⋯⋯いいか。
「わかった。じゃあこれを届ければいいのね? 行ってくる」
私とプリンはそう言ってロボットに背を向けて歩き始めた。
すると背後からウイーンという機械音が聞こえてきた。
「ねぇプリン、なんか付いてくるよ?」
「あぁ? 見張りだろ」
なるほど。私達がちゃんと届けるかどうか見張る為って事ね。
まぁ、いいか。いざとなったら戦力になるしね。
グリンフィズとはここから南に少し行ったところにある街だ。
本当に少し歩けば着くところ。
荒らされてなきゃいいけど⋯⋯。
でも未だに供給を続けているって事は、無事って事なのかな?
「あれ、グリンフィズってこんな遠かったっけ?」
私はふとそう思い、プリンに訪ねてみた。
「ゲームだと近く感じるがな」
そっか、ゲームだとすぐの距離だったけど、今は実際に歩いてるんだもんね。距離感覚おかしくなってるわ。
しかしやっぱりそう遠くなかったグリンフィズへは、何の苦労もする事なく無事に辿り着いた。
発見 グリンフィズ EXP120
着いたけど、誰も人がいない。やっぱり誰かに占拠されちゃったのかな。
「ここはもうしばらく前から誰も住んでいません。しかし管理官は⋯⋯」
「管理官は知らないの?」
私がそう聞くとロボットは悲しそうな声で答えた。
「私達はずっと昔、ここの街の人達と一緒に暮らしていました。しかしある時から街の人は変わってしまった。私達を人ではないからと、追い出したのです。そして私達はこの街の近くに菜園を築き暮らし始めたのです。グリーンヒルズ菜園と名付けて」
そうだったんだ。F.o.D.のファンだけど、そこまで詳しくは知らなかった。
ロボットは浅い溜息を付き、更に続けた。
「街を追い出されてもなお、管理官は街の事は忘れておらず、助けになりたいと供給ラインを繋ぎ、菜園で育てた作物を届けているのです。
でも⋯⋯ある時私がこの街に供給しに来た時、既に街の人々は誰もいなくなっていました。私は必死で探しました。隅々まで。
しかしそこには私に向けてくれる人々の笑顔はもうありませんでした。そこにあったのは⋯⋯無残に殺された人々の姿だったのです。
でも私はこの事を管理官にお伝えすることはできなかった。管理官の悲しむ顔を見たくないのです。
私達は管理官の元気な声だけを聞いていたかったのです。それから時が経ち、今でも管理官はこのありさまは知らないままなのです。
いや⋯⋯もしかしたら知っているのかもしれません。ですが私にはどうする事もできないのです」
私はそんな過去を聞いて何も言えず、励ます事すらできなかった。
その人達の遺体はこのロボットがこの街に全て埋めたらしい。
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