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12 夜【ヴェルディーン視点】
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就寝間近い時間、ヴェルディーンが寝室で書き物をしていると戸がノックされた。
入室を許可すると、執事だった。
「夜分失礼いたします。確認したい点が」
「何だい?」
「屋敷の護衛達に何かご命令を出されましたでしょうか」
当屋敷は元王子と勇者という国の要人がいる以上、厳重な警護体制があり、その予算と人員は王宮から出ていた。
現在のローテーションでは青の騎士団が担当し、門や庭、屋敷の要所などを警護している筈だ。
「いや。私は何も言っていない。何かあったのか?」
「見当たりません。少なくとも目の届く数ヵ所の配備箇所は」
ヴェルディーンの目が一瞬で鋭くなった。
「いつから?」
「全体は分かりません。私個人は、夕食後頃の時間に玄関前にいる護衛を見かけたのが最後です」
夜も更けた先程、たまたま下男の一人が馬房に忘れ物を取りに行って玄関の護衛の不在に気づいた。
何気なく周囲にそれを話したら、事態の重さに気づいた執事が飛んできてすぐ状況確認を手配した、という流れだった。
異常事態だ。警護は三交代だが、当然次の時間帯の担当が来てから持ち場を離れる。持ち場を空にすることはありえない。手違いで済まされることでもない。
意図的に、屋敷を無防備にされたのだ。
クレシュの--勇者の不在時に。
「気づくのが遅れ申し訳ございません」
「いや、よく気付いてくれた」
伯爵家屋敷使用人と王宮派遣の護衛では命令系統が違う。屋敷の統括である執事が、職務外の者の動きまでよく気付いてくれた。しかもこんな夜遅くに。
夕食後から今までというと最大3時間無防備だったことになる。時間の空白が痛いが、それでもかなり早く事態を把握できた方だろう。
勿論、護衛が空になるだけで終わる訳がない。--恐らくこの屋敷は襲撃される。
王宮派遣の護衛を引き上げる程の権力が関わっているなら、只の物取りの筈もない。狙いは元王子か勇者、勇者不在の今はヴェルディーンだろう。
「王宮に人をやってくれ。護衛不在の状況を伝え、代わりを寄越すよう要請を。護衛が消えた責任追求は後でする、とにかく一刻も早く護衛を再配備しろと」
「かしこまりました。--しかしまずは貴方様の安全確保が最優先です。差し出がましいことを申しますが、ご自身が王宮に向かわれては…?」
「いや、私が逃げるにはもう遅いだろう」
恐らく既にこの屋敷は監視されている。ヴェルディーンが屋敷を出ればそれを襲うだろう。
狩人は、焦って巣穴から飛び出した獲物を見逃さない。巣穴を攻めるより遥かに仕留めるのが楽なのだ。
「使いの者は徒歩で最寄りの酒場まで行った後馬車を拾うように。私と間違えられて討たれないよう安全に注意してやってくれ」
「はい」
「それから--」
深夜を回った時刻。屋敷は灯が落ち静まり返っている。雲が立ち込めた空は暗い。
2階のバルコニーに2つの人影があった。そこはヴェルディーンの部屋だ。本来その窓を庭から監視し警備する者は今はいない。
窓に金具を差し込み音もなく止め金を外して窓の中へ人影が滑り込む。そして--ベッドがもぬけの殻であることに気付く。
二人で部屋中を探すが、目指す人物はいない。
--やむを得ない。プランAは失敗。プランBに移行する。
窓から、庭に待機している仲間達に合図を送った。10人程の男達が、屋敷の戸をこじ開け侵入していった。
ガシャーン……
何かが砕ける音が遠くで聞こえた。しかし音がくぐもっていて様子ははっきりとは分からない。
暗闇で、身を竦める気配が複数あった。
「やはり来たね。ここは丈夫だから、このまま隠れていて」
落ち着いた、穏やかな声だった。
そこは、屋敷の地下の食料貯蔵庫だった。
地下階はほかに薪置き場、用具倉庫などがあり、それらに分散して使用人全員とヴェルディーンが隠れていた。椅子はないので皆むき出しの石の床に座っている。
石造建築文化の強みで、地下室は大変丈夫だ。そして開口部が少なく、この屋敷の場合は入口が使用人通路にあるため外部から分かり辛い。
ヴェルディーンはここに全員で籠城することを決めた。
こうした屋敷の使用人の多くは住み込みだ。そして日の出前から働くので夜は早い。使用人の大半は既に就寝していたので申し訳なかったが、全て起こしここに避難させた。
ヴェルディーンがいないとなれば、家捜しされ使用人達にも居所を聞くだろう。--その方法は暴力的なものだろうし、犯人について証言できぬよう口封じされるかもしれない。
彼らも匿う必要があった。
「うちの執事が優秀なお陰で先手を打てた。いずれ助けが来るから頑張って。」
助けのあては3つ。使者が伝えた護衛要請が通り派遣されるか。夜が明け食材を搬入する出入り業者が来て異常に気付き通報するか。さもなくば--我らが勇者が帰還するか。
まぁ、出張の帰還日程はまた数日先だから3つ目はさておき。
少なくとも夜明けまで持ちこたえれば助けが見込める。
それに、ここは地方の領地等ではなく王都内の屋敷だ。隣近所が隣接している訳ではないが、道路も整備され人目が多い。襲撃犯は夜明け前に夜陰に紛れて撤収せざるを得ないだろう。
屋敷の主人クレシュと違い戦闘など縁のない使用人達の不安を和らげるために、ヴェルディーンは落ち着いた口調を心がけてそうしたことを説明した。
実はヴェルディーンとて自信をもって豪胆に構えている訳ではない。そう見えるよう振る舞ってはいるが。
こうした襲撃への対応など初めてだし、これだけの数の非戦闘員の命を最前線で背負うのは重い。
けれど指揮官として、配下の者を守り支柱になるべき振るまいは王子時代に身に付けていた。
また一つ、階上で大きな家具が倒れるような音がした。食料貯蔵庫に「俺達の屋敷を滅茶滅茶にしやがって……」悲痛な呻き声が上がる。
一人の男性が立ち上がり、ヴェルディーンの方を向いて言った。
「恐れながら申し上げます。やはり俺達も戦いましょう。若い男衆だけでも集団で行って隙をつけば結構いける筈です」
ヴェルディーンは首を振る。
「ダメだよ。向こうはプロだし人数もいる。絶対こちらに犠牲者が出る。私は君らの誰も失いたくない。当主であるクレシュもそう思う筈だ。彼女は非戦闘員を戦場に出そうとはしないだろう。
それに、もし君らの誰かが人質にされれば、私は投降せざるを得なくなる。私のためにも、ここに隠れていてくれ」
男性は逡巡するように目をさ迷わせる。
「屋敷を大切に思ってくれてありがとう。君達が心を込めて整えてくれている家だし、クレシュの帰る家でもある。
それが傷つくのは辛いけれど、命と違って、まだ取り返しがつくものだから」
男性は弱々しく頷いて座り直した。
--これが最善策かは分からない。そう、ヴェルディーンは思う。
クレシュなら、もっと上手く指揮できるだろう。いや、クレシュなら単独で敵を倒してくれそうだ。
けれど、今彼女はいない。
武人のクレシュが夜会という畑違いの場所でも戦ってくれたように、自分も戦闘という畑違いの場所でも最善をつくそう。
別室の使用人達の所へも励まして回る。そして通路で、共に回った執事に尋ねる。
「通いの者は別として、屋敷にいる住み込みの使用人はこれで全員だね?」
執事は即答しなかった。眉をひそめるヴェルディーンに頭を下げて言った。
「……一人、足りません」
ヴェルディーンは思わず反射的に上を見上げた。勿論そこには石造りの天井しかないが、その先、屋敷の陸上階には使用人部屋がある。まだそこにいるのか。襲撃者が跋扈する場所に。
「いえ!上にはいません!」
階上に助けに行くと言わんばかりの彼の袖を引き、執事は慌てて言った。
「地下室へ集合するよう声をかけて回った時、既に部屋は空だったそうです。
……実はこれまでにも、無断外泊があるようだとメイド長からも相談を受けたことのある者で。その、今日もそういうことかと。教育不行き届きで誠に申し訳ない限りです」
「いや……そういうことならいいんだ」
ヴェルディーンは息を吐き、執事の肩を軽く叩いて安心させる。
そのメイドは数ヵ月前から雇われた新参で、癖のある赤い髪の若い女性だという。
そう、ただの無断外泊ならいい。
襲撃の日に偶然遊びに出ていて難を逃れたなら。
けれど偶然ではなかったら?
--そのメイドが襲撃者側の内通者で、かなり前から屋敷に入り込んでいたのだとしたら。
ヴェルディーンの背に冷たい汗が流れた。
入室を許可すると、執事だった。
「夜分失礼いたします。確認したい点が」
「何だい?」
「屋敷の護衛達に何かご命令を出されましたでしょうか」
当屋敷は元王子と勇者という国の要人がいる以上、厳重な警護体制があり、その予算と人員は王宮から出ていた。
現在のローテーションでは青の騎士団が担当し、門や庭、屋敷の要所などを警護している筈だ。
「いや。私は何も言っていない。何かあったのか?」
「見当たりません。少なくとも目の届く数ヵ所の配備箇所は」
ヴェルディーンの目が一瞬で鋭くなった。
「いつから?」
「全体は分かりません。私個人は、夕食後頃の時間に玄関前にいる護衛を見かけたのが最後です」
夜も更けた先程、たまたま下男の一人が馬房に忘れ物を取りに行って玄関の護衛の不在に気づいた。
何気なく周囲にそれを話したら、事態の重さに気づいた執事が飛んできてすぐ状況確認を手配した、という流れだった。
異常事態だ。警護は三交代だが、当然次の時間帯の担当が来てから持ち場を離れる。持ち場を空にすることはありえない。手違いで済まされることでもない。
意図的に、屋敷を無防備にされたのだ。
クレシュの--勇者の不在時に。
「気づくのが遅れ申し訳ございません」
「いや、よく気付いてくれた」
伯爵家屋敷使用人と王宮派遣の護衛では命令系統が違う。屋敷の統括である執事が、職務外の者の動きまでよく気付いてくれた。しかもこんな夜遅くに。
夕食後から今までというと最大3時間無防備だったことになる。時間の空白が痛いが、それでもかなり早く事態を把握できた方だろう。
勿論、護衛が空になるだけで終わる訳がない。--恐らくこの屋敷は襲撃される。
王宮派遣の護衛を引き上げる程の権力が関わっているなら、只の物取りの筈もない。狙いは元王子か勇者、勇者不在の今はヴェルディーンだろう。
「王宮に人をやってくれ。護衛不在の状況を伝え、代わりを寄越すよう要請を。護衛が消えた責任追求は後でする、とにかく一刻も早く護衛を再配備しろと」
「かしこまりました。--しかしまずは貴方様の安全確保が最優先です。差し出がましいことを申しますが、ご自身が王宮に向かわれては…?」
「いや、私が逃げるにはもう遅いだろう」
恐らく既にこの屋敷は監視されている。ヴェルディーンが屋敷を出ればそれを襲うだろう。
狩人は、焦って巣穴から飛び出した獲物を見逃さない。巣穴を攻めるより遥かに仕留めるのが楽なのだ。
「使いの者は徒歩で最寄りの酒場まで行った後馬車を拾うように。私と間違えられて討たれないよう安全に注意してやってくれ」
「はい」
「それから--」
深夜を回った時刻。屋敷は灯が落ち静まり返っている。雲が立ち込めた空は暗い。
2階のバルコニーに2つの人影があった。そこはヴェルディーンの部屋だ。本来その窓を庭から監視し警備する者は今はいない。
窓に金具を差し込み音もなく止め金を外して窓の中へ人影が滑り込む。そして--ベッドがもぬけの殻であることに気付く。
二人で部屋中を探すが、目指す人物はいない。
--やむを得ない。プランAは失敗。プランBに移行する。
窓から、庭に待機している仲間達に合図を送った。10人程の男達が、屋敷の戸をこじ開け侵入していった。
ガシャーン……
何かが砕ける音が遠くで聞こえた。しかし音がくぐもっていて様子ははっきりとは分からない。
暗闇で、身を竦める気配が複数あった。
「やはり来たね。ここは丈夫だから、このまま隠れていて」
落ち着いた、穏やかな声だった。
そこは、屋敷の地下の食料貯蔵庫だった。
地下階はほかに薪置き場、用具倉庫などがあり、それらに分散して使用人全員とヴェルディーンが隠れていた。椅子はないので皆むき出しの石の床に座っている。
石造建築文化の強みで、地下室は大変丈夫だ。そして開口部が少なく、この屋敷の場合は入口が使用人通路にあるため外部から分かり辛い。
ヴェルディーンはここに全員で籠城することを決めた。
こうした屋敷の使用人の多くは住み込みだ。そして日の出前から働くので夜は早い。使用人の大半は既に就寝していたので申し訳なかったが、全て起こしここに避難させた。
ヴェルディーンがいないとなれば、家捜しされ使用人達にも居所を聞くだろう。--その方法は暴力的なものだろうし、犯人について証言できぬよう口封じされるかもしれない。
彼らも匿う必要があった。
「うちの執事が優秀なお陰で先手を打てた。いずれ助けが来るから頑張って。」
助けのあては3つ。使者が伝えた護衛要請が通り派遣されるか。夜が明け食材を搬入する出入り業者が来て異常に気付き通報するか。さもなくば--我らが勇者が帰還するか。
まぁ、出張の帰還日程はまた数日先だから3つ目はさておき。
少なくとも夜明けまで持ちこたえれば助けが見込める。
それに、ここは地方の領地等ではなく王都内の屋敷だ。隣近所が隣接している訳ではないが、道路も整備され人目が多い。襲撃犯は夜明け前に夜陰に紛れて撤収せざるを得ないだろう。
屋敷の主人クレシュと違い戦闘など縁のない使用人達の不安を和らげるために、ヴェルディーンは落ち着いた口調を心がけてそうしたことを説明した。
実はヴェルディーンとて自信をもって豪胆に構えている訳ではない。そう見えるよう振る舞ってはいるが。
こうした襲撃への対応など初めてだし、これだけの数の非戦闘員の命を最前線で背負うのは重い。
けれど指揮官として、配下の者を守り支柱になるべき振るまいは王子時代に身に付けていた。
また一つ、階上で大きな家具が倒れるような音がした。食料貯蔵庫に「俺達の屋敷を滅茶滅茶にしやがって……」悲痛な呻き声が上がる。
一人の男性が立ち上がり、ヴェルディーンの方を向いて言った。
「恐れながら申し上げます。やはり俺達も戦いましょう。若い男衆だけでも集団で行って隙をつけば結構いける筈です」
ヴェルディーンは首を振る。
「ダメだよ。向こうはプロだし人数もいる。絶対こちらに犠牲者が出る。私は君らの誰も失いたくない。当主であるクレシュもそう思う筈だ。彼女は非戦闘員を戦場に出そうとはしないだろう。
それに、もし君らの誰かが人質にされれば、私は投降せざるを得なくなる。私のためにも、ここに隠れていてくれ」
男性は逡巡するように目をさ迷わせる。
「屋敷を大切に思ってくれてありがとう。君達が心を込めて整えてくれている家だし、クレシュの帰る家でもある。
それが傷つくのは辛いけれど、命と違って、まだ取り返しがつくものだから」
男性は弱々しく頷いて座り直した。
--これが最善策かは分からない。そう、ヴェルディーンは思う。
クレシュなら、もっと上手く指揮できるだろう。いや、クレシュなら単独で敵を倒してくれそうだ。
けれど、今彼女はいない。
武人のクレシュが夜会という畑違いの場所でも戦ってくれたように、自分も戦闘という畑違いの場所でも最善をつくそう。
別室の使用人達の所へも励まして回る。そして通路で、共に回った執事に尋ねる。
「通いの者は別として、屋敷にいる住み込みの使用人はこれで全員だね?」
執事は即答しなかった。眉をひそめるヴェルディーンに頭を下げて言った。
「……一人、足りません」
ヴェルディーンは思わず反射的に上を見上げた。勿論そこには石造りの天井しかないが、その先、屋敷の陸上階には使用人部屋がある。まだそこにいるのか。襲撃者が跋扈する場所に。
「いえ!上にはいません!」
階上に助けに行くと言わんばかりの彼の袖を引き、執事は慌てて言った。
「地下室へ集合するよう声をかけて回った時、既に部屋は空だったそうです。
……実はこれまでにも、無断外泊があるようだとメイド長からも相談を受けたことのある者で。その、今日もそういうことかと。教育不行き届きで誠に申し訳ない限りです」
「いや……そういうことならいいんだ」
ヴェルディーンは息を吐き、執事の肩を軽く叩いて安心させる。
そのメイドは数ヵ月前から雇われた新参で、癖のある赤い髪の若い女性だという。
そう、ただの無断外泊ならいい。
襲撃の日に偶然遊びに出ていて難を逃れたなら。
けれど偶然ではなかったら?
--そのメイドが襲撃者側の内通者で、かなり前から屋敷に入り込んでいたのだとしたら。
ヴェルディーンの背に冷たい汗が流れた。
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