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出産

第一子出産

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なんてことない日だった
いつも通り病院で出された夕食を食べ、点滴の量が減ったのでナースコールで点滴を変えてもらう
お風呂も排泄も自分ではできないので、歯磨きをしてベッドに横になった

お腹いつもよりチクチクするな・・・
なんて思いながらゲームをしていた

夜9時、消灯の看護師が部屋に来て数秒後、いきなりベッドが冷たくなった

何!?

そう思って手元の明かりを急いでつけるとベッドが一面血の海だった・・・

ナースコールで状況を伝え、ベッドのまま分娩室に運ばれた

「ちょっと動ける?」

そういわれて、分娩台に座った

お医者さんから自然分娩では間違いなく産めないから帝王切開になると聞いていたので、なぜ分娩台に座るのか意味がわからなかった

隣の部屋からは一生懸命いきむ声がする

「いつもより強い点滴打ってたから、これ以上の点滴はうちではできない」

看護師からそんな声が聞こえてきた

「先生は?分娩中?誰に指示を受けたらいいの?」

ここで理解した
夜間で、担当医も手が離せない
そして私のこの状況・・・どうしたらいいのかわからないんだ

一応携帯は握りしめていたので、旦那にメールをした
「出血多量で今分娩室にいる」

旦那からの返事は
「そうなんだ」
の、たった一言だった

世の男は出産に前向きではないと入院中、大学教授が言ってたのを思い出し
「こんなもんなんだな」
と自分に言い聞かせた

結局その日は寝ることができぬまま、分娩台に座って朝を迎えた

そして朝一で担当医にお腹を診てもらったら

「今から産まなくちゃ、母体も子供も危険な状態だ!!!」

そう言われ、書類を手渡される

・手術に関する同意事項
・手術中に起こりうる事故例
・分娩時の同意書

本来は旦那に書いてもらう物らしい
旦那が出産まではまだ先だと思い提出してなかったので、手術準備をしながら私が書くことになった

泣きながら書いたのを私は一生忘れないと思う
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