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"ねこ"との暮らし

にゃー太

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「病院でカルテを作るから名前を教えてほしいって言われて、"にゃー太"って書いたんだ」

父は何にでも「太」と付けたがる

学校の宿題で

「自分の名前の由来を聞いて作文にしましょう」

と、いうものがあった

宿題の内容を話して、どうして『みほこ』という名前にしたのか理由を聞いてみたら

「実は産まれるまでは性別を聞かないようにしていたんだ。それでずっと男の子が産まれると思っていたから男の子の名前しか考えてなかった。でも産まれたばかりのみほこの顔を見たらスっと名前が浮かんだんだ」

と、言われた

「ちなみに男の子だったら、どんな名前だったの?」

と、聞いてみたら

ふとし

ドヤ顔で言われ、自分が女でよかったと思った

なので新しいお客さんのねこの名前は"にゃー太"に決まった

にゃー太は、よほど怖い思いをしてきたのか
新聞をめくる音ですら、ビクっとする
寝ていても、新聞紙の音で起きてダッシュで隠れる
臆病な子だった

そして、にゃー太を保護して3ヶ月経過したが、にゃー太の飼い主は見つからなかった
病院の先生のいう通り、野良だったのかもしれない

私と父は、母に見つからないように店の倉庫で、にゃー太を飼う事を決めた

父からは

「生き物を飼うということは、責任を伴うから、飼うならきちんと面倒をみなくてはいけない」
「最後まできちんと面倒をみることを約束できるか?」

と、言われた

悩むこともなく二つ返事で

「わかった」

と、うなづいた

にゃー太は正式にうちの子になった

みほこ小5の夏の出来事だった

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