スタートライン

もちだ すしの

文字の大きさ
上 下
202 / 240

201

しおりを挟む



パッと目が覚めればまだ夜中でいつのまにか寝ていたらしい。何枚も俺に毛布がかかっていて横を見れば光生のほうには毛布1枚すらない。

「……俺に全部かけてくれたの?」

光生の手に触れると寝ているのにギュッと握ってくれる。隣には渡したプレゼントが置いてありラッピングの紙まで綺麗に折りたたんである。

「光生大好き……」

俺にかかっていた毛布を全部かけてその中に入りこめば光生は起きてしまった。

「あっ、、ごめんね、起こしちゃった、、」

「んーん、もっと近くきて。」

ゆっくりと首を横に振る光生は俺のことを引き寄せる。

「……涼あったかい……」

抱き枕のようにしがみつかれ光生はまたすぐに寝てしまった。光生の体温といつもの匂いにホッとしてそれからすぐに俺も寝てしまったらしく起きた時はお昼の12時だった。

「わっ!!すっごい寝てた!!」

光生にしがみついて寝ていたらしく先に起きていた光生はその体勢のままスマホでゲームをしていた。

「ふふっ、おはよ。よく眠れた?」

ぐっすりすぎるほど寝てしまったくらいだ。

「うん、、俺がしがみついてたから光生動けなかったでしょ?本当ごめん、、」

「ん?すっごい幸せだったから気にしなくていいのに。」

光生は昨日に続き今日も甘い。

「ふふっ、涼の寝癖かわいい。」

髪がはねているらしく指で触って楽しそうにしている光生の手をギュッと握る。

「……光生のセットしてない髪型もかっこいいよ、、」

少しボサボサなところもかっこよくて普段は見られないから特別感があっていい。ドサッと俺の方に倒れ込んでくる光生はそのまま動かない。

「………まだ時間あるし今日はずっとゴロゴロしてようよ。どうせ莉緒が帰ってきたら騒がしいし。」

だめだ、やっぱり好きすぎる。それから2人でベッドに寝たまま話していれば玄関のドアが開く音がした。

「あー!!涼くんの靴がある!!」

かわいらしい声が響いたと同時にドタドタと階段を上がってくる音がする。ベッドから飛び起きドアを開ければ莉緒ちゃんが抱きついてきてくれる。

「涼くんだー!!」

やっぱりかわいすぎて眩しい。少し伸びた髪は可愛く結んであってそれもまたかわいい。

「莉緒ちゃん久しぶりだね!元気だった?」

「うん!涼くんこっち来て!お庭でピクニックするの!」

「えー!なにそれ!すごい楽しそう!」

手をグイグイと引っ張る莉緒ちゃんの手はすぐさま光生によって離される。

「だめ。今日はピクニックしない。」

相変わらずな光生を睨めばまた悪びれる様子もなくツンとしている。
 
「莉緒とピクニックなんかしたら永遠におままごとに付き合わされるんだよ。それなんかより俺と昨日の続きしてたほうが楽しいでしょ?」

「っっ!!ちょっと!!」

よくそんなことを堂々と言えるなと本気で思ってしまう。

「あらあら、涼くん!騒がしくてごめんなさいね!」

光生のお母さんもいつも通り綺麗で優しい。

「あっ!お邪魔してます!」

「うふふっ!そんなかしこまらないで!もう涼くんはうちの家族だから!」

そんなことを言ってくれる光生のお母さんに昨日のお礼を伝えていれば莉緒ちゃんにリビングに連れていかれる。それからすぐにご飯を用意してくれたらしく広すぎる庭に莉緒ちゃんはレジャーシートを敷いている。

「ごめんなさいね、、莉緒ったら勝手にあんなことして、、どうしても涼くんとピクニックしたいみたいで、、」

申し訳なさそうに謝る光生のお母さんに全力で首を横に振る。

「いえ全然!むしろこんなにご馳走まで用意してもらって申し訳ないです、、」

ピクニックだからかホットドッグにサンドイッチにおいしそうなフルーツまである。

「あらそんなことは気にしなくていいのよ!むしろたくさん食べてくれたら嬉しいわ!」

そんな話をしている隣で光生は不満そうな顔をしている。

「母さんが帰ってくるの早すぎて涼と何もできなかったじゃん。」

いやいやいやなんてことを言ってるんだ。自分の親にそんなことを平気で言える光生はおかしくなってしまったのだろうか。

「あらそれは私のせいじゃないわ!光生が奥手なのが悪いんじゃない?」

いやだからなんて会話をしてるんだ。完全に親子だななんてもはや関心してしまう。

「涼くんっ!!早くこっちに来て!」

莉緒ちゃんに呼ばれレジャーシートの上に座ると太陽があたりポカポカしていて気持ちいい。隣には不満そうに座る光生もいてなんて幸せな時間なんだ。

「涼くん一緒にこれ食べたい!」

おしゃれな紙皿にサンドイッチを乗せ俺の膝に座ってくる莉緒ちゃんにもうデレデレだ。

「うん!一緒に食べよう!」

あーんと食べさせてあげれば光生にそっくりな嬉しそうな顔で笑ってくれる。

「莉緒!そこ俺の特等席だからだめ。」

割と本気のトーンで怒っている光生にサンドイッチを近づければ一口で食べてくれる。

「んふふっ、光生はまた今度2人きりの時ね!」

莉緒ちゃんに聞こえないようにこっそりと言えばめずらしく素直に頷いてくれる。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない

月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。 人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。 2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事) 。 誰も俺に気付いてはくれない。そう。 2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。 もう、全部どうでもよく感じた。

変態高校生♂〜俺、親友やめます!〜

ゆきみまんじゅう
BL
学校中の男子たちから、俺、狙われちゃいます!? ※この小説は『変態村♂〜俺、やられます!〜』の続編です。 いろいろあって、何とか村から脱出できた翔馬。 しかしまだ問題が残っていた。 その問題を解決しようとした結果、学校中の男子たちに身体を狙われてしまう事に。 果たして翔馬は、無事、平穏を取り戻せるのか? また、恋の行方は如何に。

塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)

ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。 そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

お兄ちゃんはお兄ちゃんだけど、お兄ちゃんなのにお兄ちゃんじゃない!?

すずなり。
恋愛
幼いころ、母に施設に預けられた鈴(すず)。 お母さん「病気を治して迎えにくるから待ってて?」 その母は・・迎えにくることは無かった。 代わりに迎えに来た『父』と『兄』。 私の引き取り先は『本当の家』だった。 お父さん「鈴の家だよ?」 鈴「私・・一緒に暮らしていいんでしょうか・・。」 新しい家で始まる生活。 でも私は・・・お母さんの病気の遺伝子を受け継いでる・・・。 鈴「うぁ・・・・。」 兄「鈴!?」 倒れることが多くなっていく日々・・・。 そんな中でも『恋』は私の都合なんて考えてくれない。 『もう・・妹にみれない・・・。』 『お兄ちゃん・・・。』 「お前のこと、施設にいたころから好きだった・・・!」 「ーーーーっ!」 ※本編には病名や治療法、薬などいろいろ出てきますが、全て想像の世界のお話です。現実世界とは一切関係ありません。 ※コメントや感想などは受け付けることはできません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 ※孤児、脱字などチェックはしてますが漏れもあります。ご容赦ください。 ※表現不足なども重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけたら幸いです。(それはもう『へぇー・・』ぐらいに。)

処理中です...