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もちだ すしの

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「ごちそうさまでした!本当においしかったー!」

「涼くんにそう言ってもらえて嬉しいわ!」

こんなごちそうを食べたのはいつぶりだろう。莉緒ちゃんはお気に入りのアニメが始まったのかテレビに釘付けだ。光生なんてあれからずっと不機嫌で、たった今おつかいを頼まれコンビニに行ってしまった。

「涼くん今日泊まって行くでしょ?莉緒がテレビ見てる間に光生の部屋でゆっくりしてきて!またお風呂沸いたら声かけるから!」

「ぇえ!?そんな急に申し訳ないです!」

「そんなこと気にしなくていいの!着替えは光生のがあるし!それにこのままじゃあの子ずっと不機嫌なままだから泊まっていってあげて!」

うふふっと笑う姿は優しくて光生と似ている。

「あの子、高校に行くまでずっと楽しくなさそうでね、中学の時なんて誰も家に連れて来なかったのよ!友達なんていらないが口癖で最初は高校も行かないって言ってたの!」

光生のお母さんは微笑みながらも切なそうに昔のことを話し始めた。光生は自分のことを話さないから全く知らなかったことに黙って聞くことしかできない。

「夢ちゃんわかるかしら?夢ちゃんが一緒の高校に行こうって説得してくれたみたいで仕方なく受験して、でも受かった日もすぐに高校なんか辞めるって言ってたの!それが入学式の日に帰って来てすっごい嬉しそうにしてたから驚いちゃって!何かあったのか聞いてみたら好きな人ができたって言ったのよ!」

「………え?入学式の日?」

それってもしかして俺と光生が初めて出会った日のことを言っているのだろうか。

「きっと涼くんに一目惚れしたのね!それからの光生なんて見たことないくらいずっとご機嫌で本当に涼くんには感謝してるの!光生と付き合ってくれて本当にありがとうね!」

「あっ、いや、俺は何も、、」

「ううん!あんなに光生が笑うところもやきもち妬いてるところも初めて見たの!」

そういえば同じようなことを夢ちゃんも言っていた。

「毎日つまらなさそうにしてた光生が今は優しい顔で帰ってくるたびに私すごく嬉しいの!今日も涼くんと一緒にいれて幸せだったんだろうなって!」

そんなことを言われると涙が出そうになってくる。でもこんなところで泣くわけにもいかず必死に我慢するしかない。

「いや、、幸せなのは俺の方で、、」

「うふふっ、光生が涼くんのことを好きになった理由がわかるわ!」

俺には全くわからない。もっと詳しく聞きたいのにガチャッと扉が開く音がする。

「あら、もう帰ってきたわ!この話は光生には秘密ね!」

光生のお母さんはニコッと笑う。

「ただいま。涼、ちゃんとご飯食べた?」

「え?あぁ、うん!いっぱい食べたよ!ありがとう!」

あんな話を聞いた後だと照れてまともに光生の顔が見れない。

「なに?なんかあった?」

このままでは勘の鋭い光生にばれてしまう。

「ほらほら、なにもないから光生の部屋でゆっくりしてきて!」

ニコッと笑う光生のお母さんはバレないようにポンポンと俺の背中を叩いてくれる。久しぶりの光生の部屋に行くとやっぱりきれいで広くてカーペットは変わらずふかふかのままだ。

「外すっごい真っ暗だったよ。普通あんな暗い中おつかいなんて行かせないでしょ。」

光生は窓の外を見ながら文句を言っている。

「んふふっ、光生こっちおいで!」

座っている俺は膝をポンポンと叩くと光生は嬉しそうに寝転がってくれるから頭を撫でてみる。

「今日は光生の誕生日だもんね!いっぱい甘えていいよ!」

「ん、もっと撫でて。」

そう言って俺の手を掴みグイッと強く頭に押し付けられる。それからほっぺたをスリスリと撫でれば気持ちよさそうに目を閉じる。

「ふふっ、光生疲れちゃった?今日はいろんなことがあったもんね、、」

「んーん、涼のおかげで疲れ吹っ飛んだ。」

そう言いながらも眠そうに俺の手を握ってくる光生はそれからすぐに寝てしまった。

「今日は誕生日だったのに怒っちゃってごめんね、、」

きっと光生はそんな俺をいつもみたいに笑って許してくれる。光生の夢の中に俺が出てきたらいいのになんて思いながら寝顔を見ているとしばらくしてパチッと突然起きた。
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