112 / 240
112 光生side
しおりを挟む「遅かったね。大丈夫?」
トイレから戻ってきた涼の顔が少し赤くなっている気がして心配になり聞いてみる。
「光生……」
「ん?なんかあった?」
「あっ、いやなんでもない!」
首を横にブンブンと振る涼が気になるけど俺の勘違いかもしれないししつこく聞くのもどうなのかなと思いニコッと笑えば涼の表情は少し柔らぐ。
「……光生と話すと落ち着く」
「なに急に。やっぱりなんかあったでしょ?」
「んーん、光生の顔見たら安心しただけ!」
朝は俺の顔を見れないなんて恥ずかしがっていたくせに今はそんなことを言うなんて絶対になにかあった気がする。授業中もいろいろと考えてみるけど検討もつかずあっという間に昼休みになってしまった。
「光生~、おなかすいたね!」
「うん、俺ずっとお腹鳴ってた。」
「んふふっ、授業中聞こえてたよ!あっ、俺飲み物買ってくるから待ってて!」
そんなの俺が買ってくるのに涼はそのまま走って教室を出ていってしまった。ていうか今の笑い方すごいかわいかったな。
「さくらちゃんいるー?」
それからすぐにドアの方から聞き覚えのある声がして見てみれば星くんが立っていた。ばっちり目が合うとこちらに向かってきて涼の席に座る。
「あれ?さくらちゃんは?」
「飲み物買いに行った。」
自分でも無愛想だなとは思うけど星くんはライバルだからしょうがない。
「そっか~、椎名くんってさくらちゃんと仲良いよね!」
「まぁ、それなりに。」
「さくらちゃんってついからかいたくなるよね!からかったときの顔も反応もかわいいし!」
これは俺が涼のことを好きだと知っていてわざと言っているのだろうか。それにさっきからさくらちゃんさくらちゃんって名前を呼びすぎなことにイラッとくる。
「あんまり涼のこと困らせないでね。見ての通り素直で純粋だから仲の良い俺としてはすっごい心配。」
「あははっ、椎名くんって過保護だよね!」
笑いながらそう言われるとバカにされている気分になるけど過保護になるのなんて当たり前だ。あんなにかわいいのに自分のかわいさに気づいていないんだから。
「で、涼になんか用事があったんじゃないの?」
「あ~、、さくらちゃんに朝のこと謝りにきたんだけど、、」
少し気まずそうにする星くんを見てすぐに今朝の涼のことを思い出した。星くんが絡んでいるとなると何があったか聞かずにはいられない。
「朝?」
「いやそれがさ~朝トイレで会った時さくらちゃんの見てかわいいねって言ったら怒っちゃったから、、」
「……は?」
突然のことに理解が追いつかず星くんの言葉が何度も頭の中で勝手に繰り返される。涼のを見たなんてどういう状況だったのかわからないけど俺の機嫌は一気に悪くなる。
「ふふっ、椎名くんってさくらちゃんのことになると怖いくらい態度にでるよね!そんなに好きなんだ?」
「うん、すっごい大好き。毎日一緒にいても足りないくらい大好き。」
「そっかそっか!俺もさくらちゃんのこと大好き!」
喧嘩でも売っているのか笑いながら大好きと言う星くんに腹が立つ。俺の方が好きだしそもそも俺のものだ。
「あははっ、そんな怖い顔しないでよ!そんな顔してたらさくらちゃんが心配するんじゃない?」
「俺が涼の前でこんな顔すると思う?」
「ははっ、そうだよね!するわけないか!」
返事をするのもだるくてニコッと作り笑いをすれば星くんにはバレているらしく何も言ってこない。
「光生!遅くなってごめん!」
どんなタイミングで帰ってくるんだと思わずツッコミたくなるほど今の状況でここに涼がいるのはよろしくない。
「えっ!なんで星くんがここにいるの!?」
「さくらちゃん朝はごめんね!怒らせちゃったかなと思って謝りにきた!」
「あっ、いや、怒ってないけどびっくりしちゃって、、俺の方こそごめんね、、」
「さくらちゃんが謝んないでよ。じゃあ俺そろそろ戻らないと!またね!」
涼は手を振った後ニコニコして俺の方を見る。
「光生のも買ってきたからあげる!」
へへっと笑いながらリンゴジュースをくれる涼を今すぐに抱きしめたい。涼の声を聞いた星くんは教室を出る前に振り返りまた戻ってくる。
「さくらちゃんたまにはカフェオレも飲んでよね!」
そう言って涼の手からリンゴジュースを取って帰って行った星くんはきっと嫉妬していてそれに気づいていない涼はぽかんとした顔で見ている。
0
お気に入りに追加
90
あなたにおすすめの小説
膀胱を虐められる男の子の話
煬帝
BL
常におしがま膀胱プレイ
男に監禁されアブノーマルなプレイにどんどんハマっていってしまうノーマルゲイの男の子の話
膀胱責め.尿道責め.おしっこ我慢.調教.SM.拘束.お仕置き.主従.首輪.軟禁(監禁含む)
部室強制監獄
裕光
BL
夜8時に毎日更新します!
高校2年生サッカー部所属の祐介。
先輩・後輩・同級生みんなから親しく人望がとても厚い。
ある日の夜。
剣道部の同級生 蓮と夜飯に行った所途中からプチッと記憶が途切れてしまう
気づいたら剣道部の部室に拘束されて身動きは取れなくなっていた
現れたのは蓮ともう1人。
1個上の剣道部蓮の先輩の大野だ。
そして大野は裕介に向かって言った。
大野「お前も肉便器に改造してやる」
大野は蓮に裕介のサッカーの練習着を渡すと中を開けて―…
くまさんのマッサージ♡
はやしかわともえ
BL
ほのぼの日常。ちょっとえっちめ。
2024.03.06
閲覧、お気に入りありがとうございます。
m(_ _)m
もう一本書く予定です。時間が掛かりそうなのでお気に入りして頂けると便利かと思います。よろしくお願い致します。
2024.03.10
完結しました!読んで頂きありがとうございます。m(_ _)m
今月25日(3/25)のピクトスクエア様のwebイベントにてこの作品のスピンオフを頒布致します。詳細はまたお知らせ致します。
2024.03.19
https://pictsquare.net/skaojqhx7lcbwqxp8i5ul7eqkorx4foy
イベントページになります。
25日0時より開始です!
※補足
サークルスペースが確定いたしました。
一次創作2: え5
にて出展させていただいてます!
2024.10.28
11/1から開催されるwebイベントにて、新作スピンオフを書いています。改めてお知らせいたします。
2024.11.01
https://pictsquare.net/4g1gw20b5ptpi85w5fmm3rsw729ifyn2
本日22時より、イベントが開催されます。
よろしければ遊びに来てください。
男だけど女性Vtuberを演じていたら現実で、メス堕ちしてしまったお話
ボッチなお地蔵さん
BL
中村るいは、今勢いがあるVTuber事務所が2期生を募集しているというツイートを見てすぐに応募をする。無事、合格して気分が上がっている最中に送られてきた自分が使うアバターのイラストを見ると女性のアバターだった。自分は男なのに…
結局、その女性アバターでVTuberを始めるのだが、女性VTuberを演じていたら現実でも影響が出始めて…!?
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
3人の弟に逆らえない
ポメ
BL
優秀な3つ子に調教される兄の話です。
主人公:高校2年生の瑠璃
長男の嵐は活発な性格で運動神経抜群のワイルド男子。
次男の健二は大人しい性格で勉学が得意の清楚系王子。
三男の翔斗は無口だが機械に強く、研究オタクっぽい。黒髪で少し地味だがメガネを取ると意外とかっこいい?
3人とも高身長でルックスが良いと学校ではモテまくっている。
しかし、同時に超がつくブラコンとも言われているとか?
そんな3つ子に溺愛される瑠璃の話。
調教・お仕置き・近親相姦が苦手な方はご注意くださいm(_ _)m
目が覚めたら囲まれてました
るんぱっぱ
BL
燈和(トウワ)は、いつも独りぼっちだった。
燈和の母は愛人で、すでに亡くなっている。愛人の子として虐げられてきた燈和は、ある日家から飛び出し街へ。でも、そこで不良とぶつかりボコボコにされてしまう。
そして、目が覚めると、3人の男が燈和を囲んでいて…話を聞くと、チカという男が燈和を拾ってくれたらしい。
チカに気に入られた燈和は3人と共に行動するようになる。
不思議な3人は、闇医者、若頭、ハッカー、と異色な人達で!
独りぼっちだった燈和が非日常な幸せを勝ち取る話。
寒がり高校生は、ホットドリンクを飲みすぎて部活の外周中におしっこを催してしまい…?
こじらせた処女
BL
寒がりな高校1年生の梓(あずさ)は、温かい水分を摂りすぎて外周中、トイレがないところでおしっこがしたくなってしまい…?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる