スタートライン

もちだ すしの

文字の大きさ
上 下
52 / 240

52 光生side

しおりを挟む




「ほら家まで送るから帰るよ。」 

「、、ありがと。」

俺の顔に照れたのか一切目を合わせてくれなくなった涼がかわいくてしょうがない。

「いつまで照れてんの?」

隣を離れて歩いている涼に聞けば黙ったまま俺の方に少し寄ってきた。いちいちすることがかわいい。どうやら今の俺の感情はかわいいしかないらしい。

「そういえば袖ありがとね。」

「え?あぁ!水で濡れそうだったから!」

そう言いながら俺の顔を見てきた涼にニコッと笑えばすぐにパッと顔をそらされる。

「さっきからそんなにかっこいい顔しないで!」

「いやいつも通りの顔なんですけど。」
 
なんで怒られたのかは謎だが涼が俺のことをかっこいいと思ってくれているのなら別にいい。
だけどさっきから話してはくれるけど顔を見せてくれないのがなんとも悲しい。

「ねぇ、いい加減こっち向いてよ。もう家着いちゃうじゃん。」

「むり!今は見れない!」

「え~、俺今日めちゃくちゃ傷ついたのにな~それなのに涼の顔も見れないなんて超ショックだなぁ~。」

俺がわざとらしく悲しめば素直な涼は突然止まり歩いていた俺の手を両手でギュッと掴み後ろに軽く引っ張られる。

「おわっ!」

突然引っ張られた俺は何事かと涼を見れば少し俯いたままゆっくりと上目遣いで見上げてきた。

「……光生のいじわる。」

潤んだ目で見つめられてそんなことを言う涼に落ちない人はいないレベルでかわいい。もっとその顔が見たくなった俺はまた少しいじわるをする。

「だって俺にはあーんってしてくれなかったのに苺ちゃんにはしてたしあれすっごい傷ついたな~。」

「うぅ、、ごめんね。もうしない!でもなんか傷ついたって言う割には言い方が軽いような、、」

「は?俺めちゃくちゃ怒ってるけど?」

涼が苺ちゃんに優しくするところを目の前で見せられて怒っていないわけがない。ただ苺ちゃんの気持ちに気づいていない涼を怒れるわけもないしその前にさっきからかわいすぎて俺だって怒っていることを忘れかけていた。

「、、ちょっと来て!」

そのまま手を引っ張られながら着いた場所は涼の家だった。ガチャッとドアを開けて涼の部屋に連れて行かれたかと思えばすぐに俺に抱きついてきた。

「さっきは照れて離れてたくせに涼ちゃんったら急に大胆じゃん。」

少しからかえば涼はキッと俺のことをかわいい顔で睨んだ。

「朝の3分使う!」

抱きついたまま腕をギュッと握られ大好きな顔を目の前で見せられれば今度は俺が照れてしまう。

「俺が残しておいた3分取らないでよ!てかあれは外で手を繋げる3分だから。」

「だめ!俺が今から使うの!」

なぜか急に強気になった涼は背伸びをして俺にキスをした。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない

月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。 人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。 2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事) 。 誰も俺に気付いてはくれない。そう。 2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。 もう、全部どうでもよく感じた。

変態高校生♂〜俺、親友やめます!〜

ゆきみまんじゅう
BL
学校中の男子たちから、俺、狙われちゃいます!? ※この小説は『変態村♂〜俺、やられます!〜』の続編です。 いろいろあって、何とか村から脱出できた翔馬。 しかしまだ問題が残っていた。 その問題を解決しようとした結果、学校中の男子たちに身体を狙われてしまう事に。 果たして翔馬は、無事、平穏を取り戻せるのか? また、恋の行方は如何に。

塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)

ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。 そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

お兄ちゃんはお兄ちゃんだけど、お兄ちゃんなのにお兄ちゃんじゃない!?

すずなり。
恋愛
幼いころ、母に施設に預けられた鈴(すず)。 お母さん「病気を治して迎えにくるから待ってて?」 その母は・・迎えにくることは無かった。 代わりに迎えに来た『父』と『兄』。 私の引き取り先は『本当の家』だった。 お父さん「鈴の家だよ?」 鈴「私・・一緒に暮らしていいんでしょうか・・。」 新しい家で始まる生活。 でも私は・・・お母さんの病気の遺伝子を受け継いでる・・・。 鈴「うぁ・・・・。」 兄「鈴!?」 倒れることが多くなっていく日々・・・。 そんな中でも『恋』は私の都合なんて考えてくれない。 『もう・・妹にみれない・・・。』 『お兄ちゃん・・・。』 「お前のこと、施設にいたころから好きだった・・・!」 「ーーーーっ!」 ※本編には病名や治療法、薬などいろいろ出てきますが、全て想像の世界のお話です。現実世界とは一切関係ありません。 ※コメントや感想などは受け付けることはできません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 ※孤児、脱字などチェックはしてますが漏れもあります。ご容赦ください。 ※表現不足なども重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけたら幸いです。(それはもう『へぇー・・』ぐらいに。)

処理中です...