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5 光生side
しおりを挟む「兄ちゃーん!お母さんがいい加減起きなさいって怒ってるよー!!」
気持ちよく寝てたところに勢いよく部屋のドアを開けて妹の莉緒が何回も起こしにくる。
「ん~、わかったわかった。もうすぐ起きるって言っといて。」
普段から部屋の鍵をかけてないことに後悔しながらまた寝ようとした時に今日が高校の入学式だったことを思い出す。時計を見れば8時丁度。準備をして家を出たとしてギリギリ着くくらいならもう今日は行かないでもいいかなんて思いながらも重い体を起こしリビングに行く。
「光生いつまで寝てるの?もうお母さん莉緒を幼稚園に連れて行くから早く出なさいよ!」
ようやく起きた俺を怒る母親に適当に返事をして用意されているご飯を適当に食べる。
「じゃあ、幼稚園行ってからパートに行くからね!お母さん入学式行けないけどちゃんと行ってよ~!」
玄関から声がするけどすぐに出て行ったようで家には俺だけになった。
「はぁ~、入学式とかめんどくさすぎ。もうこのまま休もっかな。」
休むか散々迷った挙句、結局制服に着替え髪を整える。最後にお気に入りの香水をつけて俺は家を出た。
ゆっくり準備をしたせいでもうこのまま行っても9時からの入学式には間に合わない。のんびり歩いて行くことにした俺は通学路の道に咲いた桜並木を見ながら学校へ向かう。
ひらひら降ってくる桜を見ながらぼんやりと考える。物心ついた時から自分が他の人より顔がかっこいいことも嫌味ではなく知っている。それなりにモテてきたし恋愛に不自由したことはなかった。自分ではかっこいいなんてそんなこと思わないけど周りの人がこの顔のおかげで特別な対応をしてくれるのもわかっている。
「どうせ高校もつまんないよな。」
そんな独り言は桜吹雪にかき消される。中学生になるといろんな女の子から告白されて付き合ったりしたけど本気で好きになったことはない。誰かに特別好意があるわけでもなくむしろ他人のことなんて全く興味がない。適当に付き合って適当に別れる。
女の子に全く恋愛感情がないあまり俺はホモなのかと中学の時に思ったけど特別男子とも仲良くなりたいわけでもないし学校で目立つ存在になってしまったから特に男友達もできないまま卒業した。
また3年間つまらない学校生活を送るのかと考えていたとき後ろからドサっとなにか音がした。
振り返ると同じ制服の人がこけている。なんでこんななにもない道でこけるのかわからないけどなぜか気になり近寄って声をかける。
「ふっ、すごい音聞こえたけど大丈夫?」
「あっ、これくらい全然平気、平気!」
こけた体勢のまま答えるその人は俺を見上げ目が合う。その瞬間俺の心臓はどんどん速くなる。この感情が何かはすぐにわかった。一目惚れだった。なにか話したくてとっさに頭についていた桜の花びらを取り手を差し伸べる。
起き上がってお礼を言うその人を見ると同じネクタイの色をしていて入学式に急いでいたのかなと思って聞いてみる。
「ところで走らなくていいの?もうそろそろ入学式始まるみたいだけど。」
「え、、、ちょっとまって、、やばいっ!そうじゃん、入学式!俺はなにしてんだ!!ほら早く行こう!」
急に腕を引っ張られて焦って走り出すその人があまりにもかわいくて俺は思わず手を握った。自分だけ急げば良いのに俺のことも間に合うように連れて行ってくれることが嬉しくて手を引いて前を走る姿をずっと眺める。
なんとか間に合い2人だけになりたくてみんな着席していることを理由に先生にお願いして後ろに椅子を並べて座る。
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